血漿分画製剤[静注用人免疫グロブリン製剤(液状)]
| 一般名 |
pH4処理酸性人免疫グロブリン
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|---|---|
| 製造/販売 | 日本血液製剤機構 |
| 剤形/規格 |
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本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者
低又は無ガンマグロブリン血症
重症感染症における抗生物質との併用
特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で、著明な出血傾向があり、外科的処置又は出産等一時的止血管理を必要とする場合)
川崎病の急性期(重症であり、冠状動脈障害の発生の危険がある場合)
本剤は、効能又は効果に応じて以下のとおり投与する。なお、直接静注する場合は、きわめて徐々に行うこと。
低又は無ガンマグロブリン血症に使用する場合
通常、1回人免疫グロブリンGとして200〜600mg(4〜12mL)/kg体重を3〜4週間隔で点滴静注又は直接静注する。患者の状態に応じて適宜増減する。
重症感染症における抗生物質との併用に使用する場合
通常、成人に対しては、1回人免疫グロブリンGとして2,500〜5,000mg(50〜100mL)を、小児に対しては、1回人免疫グロブリンGとして50〜150mg(1〜3mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。症状に応じて適宜増減する。
特発性血小板減少性紫斑病に使用する場合
通常1日に、人免疫グロブリンGとして400mg(8mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。なお、5日間使用しても症状に改善が認められない場合は、以降の投与を中止すること。年齢及び症状に応じて適宜増減する。
川崎病の急性期に使用する場合
通常1日に、人免疫グロブリンGとして200mg(4mL)/kg体重を5日間点滴静注又は直接静注、もしくは2,000mg(40mL)/kg体重を1回点滴静注する。なお、年齢及び症状に応じて5日間投与の場合は適宜増減、1回投与の場合は適宜減量する。
<患者への説明>
本剤の使用にあたっては疾病の治療における必要性とともに、本剤は採血から製品化にいたるまで、感染症の伝播を防止するための種々の安全対策を講じているが、ヒトの血液を原料とすることに由来する感染症伝播等のリスクを完全には排除できないことを患者に説明し、患者の理解を得るよう努めること。
本剤の原材料となる血液は、問診等の検診により健康状態を確認した国内の献血者から採血し、梅毒トレポネーマ、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1及びHIV-2)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)及びヒトパルボウイルスB19についての血清学的検査及び肝機能(ALT(GPT))検査に適合したものである。さらに、HBV-DNA、HCV-RNA及びHIV-RNAについてのプールした試験血漿を用いた核酸増幅検査に適合しているが、当該血液に核酸増幅検査等の検出限界以下のウイルス等が混入している可能性が常に存在する。そのため、原料血漿を6カ月間以上貯留保管して安全性が疑われる血液を極力排除している。
また、製造工程では、コーンの低温エタノール分画法によりウイルスを除去・不活化し、有機溶媒/界面活性剤※処理、pH4の条件下での液状インキュベーション処理によりウイルスを不活化している。
本剤には上記のような各種検査やウイルスの除去・不活化などの安全対策を講じているが、投与に際しては、次の点に十分に注意すること。
※有機溶媒:リン酸トリ-n-ブチル
界面活性剤:コール酸ナトリウム
血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に除去・不活化することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
現在までに本剤の投与により、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分に行い、治療上の必要性を十分に検討の上投与すること。
ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので、注意して使用し、経過を十分に観察すること。特に小児等に使用する場合には投与速度に注意するとともに、経過を十分に観察すること。(<用法及び用量に関連する使用上の注意>を参照)
本剤は抗A及び抗B血液型抗体を有する。したがって血液型がO型以外の患者に大量投与したとき、溶血性貧血を起こすことがある。
本剤による特発性血小板減少性紫斑病の治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。
小児の急性特発性血小板減少性紫斑病は多くの場合自然寛解するものであることを考慮すること。
川崎病の患者における追加投与は、本剤投与における効果不十分(発熱の持続等)で症状の改善が見られない等、必要と思われる時のみに行うこと(本剤の追加投与に関しては有効性、安全性は確立していない)。
IgA欠損症の患者[抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。]
腎障害のある患者[腎機能を悪化させるおそれがある。]
脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者[大量投与による血液粘度の上昇等により脳梗塞又は心筋梗塞等の血栓塞栓症を起こすおそれがある。]
血栓塞栓症の危険性の高い患者[大量投与による血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こすおそれがある。]
溶血性・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。]
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。]
心機能の低下している患者[大量投与により、心不全を発症又は悪化させるおそれがある。]
調製時
他剤との混合注射を避けること。
投与時
不溶物の認められるもの又は混濁しているものは使用しないこと。
凍結した溶液は使用しないこと。
残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。[本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり、しかも保存剤が含有されていないため。]
静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れないよう注意すること。[乳幼児において、点滴静注時に血管外へ漏れ、投与部位を中心に皮膚潰瘍、皮膚壊死があらわれた例が報告されている。]
記録の保存
本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与した場合はその名称(販売名)、製造番号、投与した日、患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。
ゴム栓に針を挿入する際に、斜めに刺したり、あるいは、ねじって刺すとゴム片が薬液中に混入するおそれがあるので、ゴム栓への針刺はゴム栓に垂直に、ゆっくりと刺すこと。ゴム片が混入した場合には使用しないこと。
安定性試験
本剤(0.5g製剤、2.5g製剤、5.0g製剤)について11±1℃、30カ月間の長期保存試験を実施した。その結果、生物学的製剤基準「pH4処理酸性人免疫グロブリン」の小分け製品の試験に定められた項目及び抗補体性試験で変化を認めず、全て規格に適合し、有効期間内は安定であることが確認された
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 非経口用生ワクチン〔麻疹ワクチンおたふくかぜワクチン風疹ワクチンこれら混合ワクチン水痘ワクチン等〕 | 本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので、生ワクチンの接種は本剤投与後3カ月以上延期すること。また、生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は、投与後3カ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい。なお、特発性血小板減少性紫斑病、川崎病に対する大量療法(200mg/kg以上)後に生ワクチンを接種する場合は、原則として生ワクチンの接種を6カ月以上(麻疹感染の危険性が低い場合の麻疹ワクチン接種は11カ月以上)延期すること。 | 本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応により生ワクチンの効果が減弱されるおそれがある。 |
ポリグロビンN(バイエル薬品株式会社)の承認時及び使用成績調査での調査症例5,260例中269例(5.11%)に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められた。効能又は効果別の副作用発現率は低又は無ガンマグロブリン血症※※2.60%(2/77)、重症感染症における抗生物質との併用3.85%(135/3,510)、特発性血小板減少性紫斑病10.86%(29/267)、川崎病8.30%(95/1,144)であった(再審査終了時)。
※※「通常、成人に対しては、1回人免疫グロブリンGとして2,500〜5,000mg(50〜100mL)を、小児に対しては、1回人免疫グロブリンGとして50〜150mg(1〜3mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。症状に応じて適宜増減する。」に従って投与された際の副作用発現状況である。
なお、川崎病の急性期を対象とした使用成績調査における副作用の発現率は8.97%(78例/870例)で、そのうちショック0%(0例0件)、ショック又はショックが疑われる症例(チアノーゼ、血圧低下等)0.23%(2例2件)であり、重篤な副作用の発現率は1.15%(10例11件)であった。また、川崎病の急性期の再審査期間中に報告された自発報告において、出荷量あたりの重篤な副作用の発現例数は4.9例/1,000kg(7例8件)で、そのうちショック0.7例/1,000kg(1例1件)、ショック又はショックが疑われる症例(チアノーゼ、血圧低下等)1.4例/1,000kg(2例2件)であった。
ショック、アナフィラキシー(0.1〜5%未満)
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、頻脈、喘鳴、胸内苦悶、血圧低下、脈拍微弱、チアノーゼ等が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸(0.1〜5%未満)
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTP、LDHの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
無菌性髄膜炎(頻度不明)
大量投与により無菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心、嘔吐あるいは意識混濁等)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全(頻度不明)
急性腎不全があらわれることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認するとともに、観察を十分に行い、腎機能検査値(BUN、血清クレアチニン等)の悪化、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、急性腎不全の危険性の高い患者においては、適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。
血小板減少(頻度不明)
血小板減少を起こすことがあるので、観察を十分に行い、このような場合には、適切な処置を行うこと。
血栓塞栓症(頻度不明)
大量投与例で、血液粘度の上昇等により、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、中枢神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、胸痛、突然の呼吸困難、息切れ、下肢の疼痛・浮腫等の症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、血栓塞栓症の危険性の高い患者においては、適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。[「慎重投与」(3)(4)及び「高齢者への投与」(2)の項参照]
心不全(頻度不明)
主として川崎病への大量投与例で、循環血漿(血液)量過多により心不全を発症又は悪化させることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、心雑音、心機能低下、浮腫、尿量減少等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、心機能の低下している患者においては、適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。[「慎重投与」(7)の項参照]
| 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
| 過敏症注) | 発熱、発疹 | そう痒等 | 蕁麻疹 |
| 血液 | 好中球減少、好酸球増多 | 溶血性貧血 | |
| その他 | 頭痛、嘔気 |
注)このような症状が発現した場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
日赤ポリグロビンN5%静注0.5g/10mL
日赤ポリグロビンN5%静注2.5g/50mL
日赤ポリグロビンN5%静注5g/100mL 40438円/瓶
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