本剤の投与は、ナルコレプシーの診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行うとともに、それら薬局においては、調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤を行うこと。
過度の不安、緊張、興奮性のある患者〔中枢神経刺激作用により症状を悪化させることがある。〕
緑内障のある患者〔眼圧を上昇させるおそれがある。〕
甲状腺機能亢進のある患者〔循環器系に影響を及ぼすことがある。〕
不整頻拍、狭心症のある患者〔症状が悪化するおそれがある。〕
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
運動性チック、Tourette症候群の患者又はその既往歴・家族歴のある患者〔症状を悪化又は誘発させることがある。〕
重症うつ病の患者〔抑うつ症状が悪化するおそれがある。〕
褐色細胞腫のある患者〔血圧を上昇させるおそれがある。〕
モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者(「3.相互作用」の項参照)
ナルコレプシー
メチルフェニデート塩酸塩として、通常成人1日20〜60mgを1〜2回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
本剤を投与する医師又は医療従事者は、投与前に患者又は家族等に対して、本剤の治療上の位置づけ、依存性等を含む本剤のリスクについて、十分な情報を提供するとともに、適切な使用法について指導すること。
小児に中枢神経刺激剤を長期投与した場合に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。本剤の投与が長期にわたる場合には患児の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくない時は投与を中断すること。(「7.小児等への投与」の項参照)
本剤を長期間投与する場合には、定期的に血液学的検査を行うことが望ましい。
患者の心疾患に関する病歴、突然死や重篤な心疾患に関する家族歴等から、心臓に重篤ではないが異常が認められる、若しくはその可能性が示唆される患者に対して本剤の投与を検討する場合には、投与開始前に心電図検査等により心血管系の状態を評価すること。
心血管系に対する影響を観察するため、本剤の投与期間中は、定期的に心拍数(脈拍数)及び血圧を測定すること。
視覚障害の症状(視調節障害、霧視)が報告されている。視覚障害が認められた場合には、眼の検査を実施し、必要に応じて投与を中断又は中止すること。
通常量の本剤を服用していた精神病性障害や躁病の既往がない患者において、幻覚等の精神病性又は躁病の症状が報告されている。このような症状の発現を認めたら、本剤との関連の可能性を考慮すること。投与中止が適切な場合もある。
覚醒効果があるので、不眠に注意し、夕刻以後の服薬は原則として避けさせること。
めまい、眠気、視覚障害等が発現するおそれがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないように注意すること。
てんかん又はその既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させ、発作を誘発させるおそれがある。〕
高血圧の患者、心不全、心筋梗塞を起こしたことのある患者〔血圧又は心拍数を上昇させるおそれがある。〕
脳血管障害(脳動脈瘤、血管炎、脳卒中等)のある患者又はその既往歴のある患者〔これらの症状を悪化又は再発させることがある。〕
下記の精神系疾患のある患者〔行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそれがある。〕
統合失調症、精神病性障害、双極性障害
薬物依存又はアルコール中毒等の既往歴のある患者〔慢性的乱用により過度の耐性及び様々な程度の異常行動を伴う精神的依存を生じる可能性がある。〕
心臓に構造的異常又は他の重篤な問題のある患者〔因果関係は確立していないが、中枢神経刺激作用を有する薬剤の投与による突然死の報告がある。〕
徴候、症状
主に中枢神経系の過剰刺激及び過度の交感神経興奮に起因する次の諸症状
嘔吐、激越、振戦、反射亢進、筋攣縮、痙攣(昏睡を続発することがある)、多幸感、錯乱、幻覚、せん妄、発汗、潮紅、頭痛、高熱、頻脈、心悸亢進、不整脈、高血圧、散瞳、粘膜乾燥
処置
症状に応じた支持療法を行う。自己損傷の防止、過刺激症状をさらに悪化させる外部刺激の排除に留意。
徴候、症状がそれほど重篤でなく、患者に意識がある場合には催吐あるいは胃洗浄によって胃内容物を除去する。重篤な場合は胃洗浄の前に短時間作用型バルビツール酸系薬剤を用量に注意し投与する。又は活性炭や下剤の投与を行う。血液循環と呼吸の維持に集中治療を行う。高熱に対しては物理的な解熱処置をとる。リタリン過量服用に対する腹膜透析、血液透析の有効性は確立していない。
因果関係は確立していないが、本剤とクロニジンとの併用により、突然死が報告されている。
適応外疾患〔注意欠陥多動性障害(ADHD)〕に対する投与で、全身痙攣が報告されている。
メチルフェニデートの長期発癌性試験の結果、F344/Nラットを用いた試験では癌原性は認められなかった。B6C3F1マウスを用いた試験では、雌雄両性で肝細胞腺腫の増加、60mg/kg/day投与群の雄で肝芽細胞腫の発現がみられている。
メチルフェニデートは
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| MAO阻害剤セレギリン(エフピー) | MAO阻害剤の作用を増強させ、高血圧が起こることがある。 | 本剤は交感神経刺激作用を有するため。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 昇圧剤 | 昇圧作用を増強させることがある。 | 本剤は交感神経刺激作用を有するため。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クマリン系抗凝血剤ワルファリン | クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがある。 | クマリン系抗凝血剤の半減期を延長させる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗痙攣剤フェノバルビタールフェニトインプリミドン | 抗痙攣剤の作用が増強されることがある。 | 本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害すると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 三環系抗うつ剤イミプラミン等選択的セロトニン再取り込み阻害剤フルボキサミンパロキセチンセルトラリン | 三環系抗うつ剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤の作用が増強されることがある。 | 本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害すると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤アトモキセチン | 本剤の作用が増強するおそれがあるため、注意して投与すること。 | ノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クロニジン | 本剤との併用により、突然死の報告がある。(「9.その他の注意」の項参照) | 機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アルコール | 精神神経系の副作用が増強されることがある。 | アルコールは本剤の精神神経系の作用を増強させる。 |
承認時まで及び承認後の副作用調査例数の累計325例中201例(61.9%)に副作用が認められ、主な症状としては口渇(32.9%)、頭痛(14.8%)、発汗(24.3%)、食欲減退(16.9%)等がみられている。
(頻度不明)
剥脱性皮膚炎
症状があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
狭心症
症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
悪性症候群(Syndrome malin)
発熱、高度の筋硬直、CK(CPK)上昇等があらわれることがあるので、このような場合には体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。
脳血管障害(血管炎、脳梗塞、脳出血、脳卒中)
症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | 5%以上 | 5%未満 | |
| 過敏症 注1) | 血管浮腫、紅斑等 | − | 発疹 |
| 眼 | 視調節障害、霧視 | − | − |
| 精神神経系 | 興奮、チック、舞踏病様症状、Tourette症候群、ジスキネジア等 |
||
| 消化器 | − | 口渇、食欲不振、胃部不快感、便秘 | 悪心・嘔吐、下痢、口内炎等 |
| 循環器 | − | 心悸亢進、不整脈 | 頻脈、血圧上昇、血圧下降等、胸部圧迫感 |
| 血液 | 血小板減少性紫斑、白血球減少、血小板減少、貧血 | − | − |
| 肝臓 | 黄疸、肝機能検査値の異常(AST(GOT)・ALT(GPT)・ALP上昇等) | − | − |
| その他 | 発熱、体重減少、頻尿、脱毛等 | 排尿障害、性欲減退、発汗、筋緊張 | 関節痛 |
注1)このような場合には投与を中止すること。
注2)観察を十分に行い、このような場合には中枢抑制剤(睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬)の投与等適切な処置を行うこと。
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使いやすさ
投稿日: 2015/02/27 参考率: 100%(1人/1人)
麻酔科/60代/処方経験あり