1.1 本剤の投与は、統合失調症の診断、治療に精通し、無顆粒球症、心筋炎、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重篤な副作用に十分に対応でき、かつクロザリル患者モニタリングサービス(Clozaril Patient Monitoring Service:CPMS)注)に登録された医師・薬剤師のいる登録医療機関・薬局において、登録患者に対して、血液検査等のCPMSに定められた基準がすべて満たされた場合にのみ行うこと。また、基準を満たしていない場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を講じること。[2.3、8.1、11.1.1、11.1.2、11.1.4参照]
1.2 本剤の投与に際しては、治療上の有益性が危険性を上回っていることを常に検討し、投与の継続が適切であるかどうか定期的に判断すること。
1.3 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の死亡に至ることのある重大な副作用が発現するおそれがあるので、本剤投与中はCPMSに準拠して定期的に血糖値等の測定を行うこと。また、臨床症状の観察を十分に行い、高血糖の徴候・症状に注意するとともに、糖尿病治療に関する十分な知識と経験を有する医師と連携して適切な対応を行うこと。特に、糖尿病又はその既往歴もしくはその危険因子を有する患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。なお、糖尿病性ケトアシドーシス又は糖尿病性昏睡の徴候が認められた場合には投与を中止し、インスリン製剤を投与するなど適切な処置を行うこと。[8.6、8.7、9.1.1、9.1.2、11.1.4参照]
1.4 本剤の投与にあたっては、患者又は代諾者に本剤の有効性及び危険性を文書によって説明し、文書で同意を得てから投与を開始すること。また、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の耐糖能異常に関しては、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意し、異常が認められた場合には、直ちに医師の診察を受けるよう指導すること。[8.6、8.7、9.1.1、9.1.2、11.1.4参照]
1.5 無顆粒球症等の血液障害は投与初期に発現する例が多いので、原則として投与開始後18週間は入院管理下で投与を行い、無顆粒球症等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。[8.11、11.1.1参照]
注)定期的な血液モニタリング等を実施し、無顆粒球症等の早期発見を目的として規定された手順
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 CPMSへの患者登録前(4週間以内)の血液検査で、白血球数が4,000/mm3未満又は好中球数が2,000/mm3未満の患者[無顆粒球症が発現するおそれがある。]
2.3 CPMSの規定を遵守できない患者[1.1、8.1参照]
2.4 CPMSで定められた血液検査の中止基準により本剤の投与を中止し、CPMSで定められた再投与検討基準に該当しない患者[無顆粒球症が発現するおそれがある。][8.2.5、9.1.3参照]
2.5 骨髄機能障害のある患者[骨髄機能が悪化し、無顆粒球症が発現するおそれがある。]
2.6 骨髄抑制を起こす可能性のある薬剤を投与中の患者又は放射線療法、化学療法等の骨髄抑制を起こす可能性のある治療を行っている患者[10.1参照]
2.7 持効性抗精神病剤(ハロペリドールデカン酸エステル注射液、フルフェナジンデカン酸エステル注射液、リスペリドン持効性懸濁注射液、パリペリドンパルミチン酸エステル持効性懸濁注射液、アリピプラゾール水和物持続性注射剤)を投与中の患者[10.1参照]
2.8 重度の痙攣性疾患又は治療により十分な管理がされていないてんかん患者[症状が悪化するおそれがある。]
2.9 アルコール又は薬物による急性中毒、昏睡状態の患者[これらの状態を悪化させるおそれがある。]
2.10 循環虚脱状態の患者又は中枢神経抑制状態の患者[これらの状態を悪化させるおそれがある。]
2.11 重度の心疾患(心筋炎等)のある患者[心疾患が悪化するおそれがある。]
2.12 重度の腎機能障害のある患者[腎機能が悪化するおそれがある。][9.2.1参照]
2.13 重度の肝機能障害のある患者[肝機能が悪化するおそれがある。][9.3.1参照]
2.14 麻痺性イレウスの患者[抗コリン作用により症状が悪化するおそれがある。]
2.15 アドレナリン作動薬(アドレナリン、ノルアドレナリン)を投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)[10.1、13.2参照]
治療抵抗性統合失調症
通常、成人にはクロザピンとして初日は12.5mg(25mg錠の半分)、2日目は25mgを1日1回経口投与する。3日目以降は症状に応じて1日25mgずつ増量し、原則3週間かけて1日200mgまで増量するが、1日量が50mgを超える場合には2〜3回に分けて経口投与する。維持量は1日200〜400mgを2〜3回に分けて経口投与することとし、症状に応じて適宜増減する。ただし、1回の増量は4日以上の間隔をあけ、増量幅としては1日100mgを超えないこととし、最高用量は1日600mgまでとする。
8.1 本剤の投与にあたっては、無顆粒球症、心筋炎、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重篤な副作用が発現するおそれがあることから、CPMSに登録された医療機関・薬局において、登録医師・薬剤師によって、登録患者に対しCPMSの規定を遵守し、本剤の投与の可否を判断した後に投与すること。[1.1、2.3参照]
8.2 本剤の投与にあたっては、以下の基準に基づき適切な頻度で血液検査を行うとともに、好中球減少症等の血液障害が発現した場合には、適切な処置を行うこと。[9.1.4、9.1.5、11.1.1参照]
8.2.1 投与前(10日以内)に血液検査を行い、白血球数が4,000/mm3以上かつ好中球数が2,000/mm3以上(下表[1]の範囲)であることを確認すること。
8.2.2 投与開始から最初の26週間は血液検査を週1回行うこと。
8.2.3 白血球数が3,000/mm3以上4,000/mm3未満又は好中球数が1,500/mm3以上2,000/mm3未満を示した場合(下表[2]の範囲)は、下表[1]の範囲に回復するまで、その後の血液検査を週2回以上行うこと。また、著しい減少傾向(直近の過去3週間以内の白血球数が最も高い値より3,000/mm3以上減少した場合)を示した場合は、再検査を行うなど減少傾向の確認を考慮すること。
8.2.4 白血球数が3,000/mm3未満又は好中球数が1,500/mm3未満を示した場合(下表[3]の範囲)は、直ちに本剤の投与を中止した上で、CPMSで定められた血液内科医等に連絡し、下表[1]の範囲に回復するまで血液検査を毎日行い、少なくとも回復後4週間までは血液検査を週1回以上行うとともに感染の徴候(発熱、咽頭痛等の感冒様症状等)を注意深く観察し、感染予防をするなど適切な処置を行うこと。
8.2.5 白血球数及び好中球数が下表[3]の範囲に減少することにより本剤の投与を中止した場合には、投与中止後に回復してもCPMSで定められた再投与検討基準に該当しない限り本剤を再投与してはならない。再投与の可否についてはCPMSで定められた血液内科医等に相談すること。なお、再投与を行う場合、再投与開始から26週間は週1回の血液検査を行うこと。また、条件を満たした場合には、26週以降は2週に1回、再投与開始から52週以降は4週に1回の血液検査とすることができる。本剤の再投与後、短期間で白血球減少症、好中球減少症が再発したとの報告がある。[2.4、9.1.3参照]
8.2.6 下表[3]の基準以外により本剤の投与を中止又は終了した場合には、投与終了後4週間はそれまでと同じ頻度で血液検査を行うこと。
8.2.7 最初の26週間の白血球数及び好中球数が下記のいずれかであり、かつ血液障害以外の理由による中断が1週間未満の場合には、その後の血液検査は中断前の頻度で行うことができる。ただし、1週間以上の投与中断があった場合には、投与再開より26週間は血液検査を週1回行うこと。なお、条件を満たした場合には、26週以降は2週に1回、投与再開から52週以降は4週に1回の血液検査とすることができる。
・下表[1]の範囲を維持
・白血球数が4,000/mm3未満3,500/mm3以上かつ好中球数が2,000/mm3以上となったが下表[1]の範囲に回復
| 白血球数(/mm3) | 好中球数(/mm3) | 処置 | |
| [1] | 4,000以上かつ2,000以上 | 投与開始可能。 投与継続可能。 投与開始から最初の26週間は血液検査を週1回行うこと。なお、条件を満たした場合には、26週以降は2週に1回、投与開始から52週以降は4週に1回の血液検査とすることができる。ただし、2週に1回又は4週に1回の血液検査に移行した後、4週間以上の投与中断があった場合には、投与再開から26週間は週1回の血液検査を行うこと。なお、条件を満たした場合には、26週以降は2週に1回、投与再開から52週以降は4週に1回の血液検査とすることができる。 |
|
| [2] | 3,000以上4,000未満又は1,500以上2,000未満 | [1]の範囲に回復するまで血液検査を週2回以上行い、注意しながら投与継続可能。 | |
| [3] | 3,000未満又は1,500未満 | 直ちに投与を中止し、[1]の範囲に回復するまで血液検査を毎日行い、十分な感染症対策を行う。少なくとも回復後4週間までは血液検査を週1回以上行うこと。 | |
8.3 好酸球増多症の報告があるので、好酸球数が3,000/mm3以上を示した場合には投与を中止することが望ましい。異常が認められた場合には、CPMSで定められた血液内科医等に相談するなど、適切な処置を行うこと。なお、投与再開は好酸球数が1,000/mm3未満に回復した場合にのみ行うこと。
8.4 血小板減少症の報告があるので、血小板数が50,000/mm3未満を示した場合は投与を中止することが望ましい。異常が認められた場合には、CPMSで定められた血液内科医等に相談するなど、適切な処置を行うこと。
8.5 感染症又は感染の徴候(発熱、咽頭痛等の感冒様症状)が発現した場合には、速やかに医師に連絡するよう、患者又は代諾者に注意を促すこと。また、感染症の症状又は徴候を認めた場合には、直ちに血液検査を行うこと。
8.6 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の死亡に至ることのある重大な副作用が発現するおそれがあるので、本剤投与中はCPMSに準拠して定期的に血糖値等の測定を行うこと。また、臨床症状の観察を十分に行い、高血糖の徴候・症状に注意するとともに、糖尿病治療に関する十分な知識と経験を有する医師と連携して適切な対応を行うこと。特に、糖尿病又はその既往歴もしくはその危険因子を有する患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[1.3、1.4、9.1.1、9.1.2、11.1.4参照]
8.7 本剤の投与にあたっては、患者又は代諾者に本剤の有効性及び危険性を文書によって説明し、文書で同意を得てから投与を開始すること。また、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の耐糖能異常に関しては、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意し、異常が認められた場合には、直ちに医師の診察を受けるよう指導すること。[1.3、1.4、9.1.1、9.1.2、11.1.4参照]
8.8 体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合には、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。
8.9 肝機能障害のある患者に投与する場合には、定期的に肝機能検査を行うこと。治療中に悪心、嘔吐、食欲不振等の肝機能障害を疑わせる症状があらわれた場合には、直ちに肝機能検査を行い、臨床上重要な検査値の上昇や黄疸が認められた場合には投与を中止し、肝機能検査値が正常に回復するまで投与を再開しないこと。投与再開後は肝機能検査値の変動に十分注意すること。[9.3.2参照]
8.10 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.11 本剤は、原則として投与開始後18週間は入院管理下で投与を行うが、本剤の有効性及び安全性が十分に確認され、以下の基準をすべて満たした場合には必要に応じて外来での治療に移行することができる。
・投与後3週間を経過し、かつ至適用量設定後1週間以上経過した場合。
・患者と同居して患者の症状を確認し、規定量の服薬及びCPMSの規定どおりの通院を支援できる者がいる場合。
ただし、感染症の徴候等血液障害に関連すると思われる症状がみられた場合には、直ちに主治医に相談するよう、退院の際に患者又は代諾者に十分説明すること。[1.5参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 糖尿病又は糖尿病の既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。血糖値が上昇するおそれがある。[1.3、1.4、8.6、8.7、11.1.4参照]
9.1.2 糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。血糖値が上昇するおそれがある。[1.3、1.4、8.6、8.7、11.1.4参照]
9.1.3 CPMSで定められた血液検査の中止基準により、本剤の投与を中止したことのある患者(CPMSで定められた再投与検討基準に該当しない患者を除く)
無顆粒球症が発現するおそれがあるため、CPMSで定められた血液内科医等との連携のもとで投与を行うこと。CPMSで定められた血液検査の中止基準により中止した後に再投与した患者では、無顆粒球症を含む血球減少関連の事象が初回投与時と比較し早期に再発し、重症例が多かったとの報告がある
9.1.4 無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者
CPMSで定められた血液内科医等との連携のもとで投与を行うこと。無顆粒球症が発現するおそれがある。[8.2、11.1.1参照]
9.1.5 軽度から中等度の好中球減少症の既往歴のある患者
血液障害が発現するおそれがある。[8.2、11.1.1参照]
9.1.6 てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下させるおそれがある。[11.1.6参照]
9.1.7 心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者
心・血管疾患の悪化及び一過性の血圧低下があらわれるおそれがある。
9.1.8 QT延長の家族歴のある患者
QT延長が起こるおそれがある。
9.1.9 前立腺肥大又は閉塞隅角緑内障のある患者
抗コリン作用により、症状が悪化するおそれがある。
9.1.10 アルコール又は薬物の依存・乱用又はその既往歴のある患者
これらの状態を悪化させるおそれがある。
9.1.11 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。[11.1.8参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害のある患者
投与しないこと。[2.12参照]
9.2.2 軽度から中等度の腎機能障害のある患者
腎機能障害が悪化するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
投与しないこと。[2.13参照]
9.3.2 軽度から中等度の肝機能障害のある患者
肝機能障害が悪化するおそれがある。[8.9参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物を用いた生殖発生毒性試験において、胚・胎児毒性及び催奇形性は認められていない。プロラクチン濃度の増加に伴う二次的な影響と考えられる性周期の乱れ、交配所要日数の延長、着床前死亡数の増加及び受胎動物数の減少(ラット、20あるいは40mg/kg/日、経口)が、母動物の体重減少に伴う二次的な影響と考えられる胎児の発育遅延(ラット及びウサギ、40mg/kg/日、経口)及び流産(ウサギ、40mg/kg/日、経口)が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。抗コリン作用による尿閉・便秘等があらわれやすく、また特に循環器機能が低下している高齢者では起立性低血圧や頻脈があらわれやすいとの報告がある。
13.1 症状
中枢神経系
傾眠、嗜眠、無反射、昏睡、錯乱、幻覚、激越、せん妄、錐体外路症状、反射亢進、痙攣
自律神経系
流涎過多、散瞳、霧視、体温調節異常
循環器系
低血圧、虚脱、頻脈、不整脈
呼吸器系
嚥下性肺炎、呼吸困難、呼吸抑制、呼吸不全
13.2 処置
服用後短時間であれば催吐、活性炭投与、胃洗浄が有効である。心機能、呼吸器機能、電解質・酸塩基バランスを継続的に観察し、少なくとも5日間は遅発性作用に対応するために注意深い観察が必要である。なお、低血圧の治療にはアドレナリンの投与は避けるべきである。[アドレナリン反転によって悪化する可能性がある。][2.15、10.1参照]
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 外国で実施された
15.1.2 本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。
PTP包装から取り出した錠剤はなるべく速やかに使用すること。PTP包装から取り出し無包装状態で放置すると光により退色することがある。退色の認められたものは使用しないこと。
本剤は主に代謝酵素チトクロームP450(CYP1A2、3A4)で代謝される。[16.4参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 骨髄抑制を起こす可能性のある薬剤放射線療法化学療法[2.6参照] | 無顆粒球症の発現が増加するおそれがある。 | 血液障害の副作用が相互に増強される可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 持効性抗精神病剤ハロペリドールデカン酸エステル注射液(ハロマンス、ネオペリドール)フルフェナジンデカン酸エステル注射液(フルデカシン)リスペリドン持効性懸濁注射液(リスパダール コンスタ)パリペリドンパルミチン酸エステル持効性懸濁注射液(ゼプリオン)アリピプラゾール水和物持続性注射剤(エビリファイ持続性水懸筋注用)[2.7参照] | 副作用発現に対し速やかに対応できないため、血中から薬剤が消失するまで本剤を投与しないこと。 | 血中から消失するまでに時間を要する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アドレナリン作動薬アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)(ボスミン)ノルアドレナリン(ノルアドリナリン)[2.15、13.2参照] | アドレナリンの作用を反転させ、重篤な血圧低下を起こすおそれがある。 | 本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧上昇作用が減弱し、アドレナリンの昇圧作用が反転するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アルコールMAO阻害剤中枢神経抑制剤抗ヒスタミン剤ベンゾジアゼピン系薬剤麻薬系鎮痛剤等 | 鎮静、傾眠等の中枢神経抑制作用が強くあらわれるおそれがある。 | 相互に中枢神経抑制作用が増強される可能性が考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ベンゾジアゼピン系薬剤 | 循環虚脱を発現する危険性が高まり、重度の循環虚脱から心停止、呼吸停止に至るおそれがある。 | 心循環系の副作用が相互に増強されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗コリン作用を有する薬剤 | 抗コリン作用を増強するおそれがある。 | 共に抗コリン作用を有する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 降圧剤 | 血圧低下、起立性低血圧があらわれるおそれがある。 | 本剤のα受容体遮断作用により降圧剤の作用を増強する可能性が考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 呼吸抑制作用を有する薬剤 | 呼吸抑制作用を増強するおそれがある。 | 共に呼吸抑制作用を有する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リチウム製剤 | 悪性症候群発現の危険性が増加するとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| バルプロ酸 | てんかん発作、せん妄があらわれたとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4を誘導する薬剤リファンピシンカルバマゼピンフェニトイン等[16.7参照] | 本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱されるおそれがある。なお、喫煙については、喫煙の中止により本剤の血中濃度が増加する可能性がある。 | これらの薬剤はCYP3A4を誘導することから本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP1A2を誘導する薬剤オメプラゾールニコチン(喫煙)等 | 本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱されるおそれがある。なお、喫煙については、喫煙の中止により本剤の血中濃度が増加する可能性がある。 | これらの薬剤はCYP1A2を誘導することから本剤の代謝が促進されると考えられる。なお、喫煙については、喫煙の中止によりCYP1A2活性が低下し、本剤の代謝が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP1A2を阻害する薬剤フルボキサミンシプロフロキサシン[16.7参照] | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合は用量に注意すること。 | これらの薬剤はCYP1A2を阻害することから本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カフェイン | カフェインの摂取により本剤の血中濃度が上昇し、5日間カフェインの摂取を中止すると、本剤の血中濃度が50%減少したとの報告がある。 | これらの薬剤はCYP1A2を阻害することから本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4を阻害する薬剤エリスロマイシンシメチジンアゾール系抗真菌剤イトラコナゾールボリコナゾール等HIVプロテアーゼ阻害剤 | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合は用量に注意すること。 | これらの薬剤はCYP3A4を阻害することから本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| セルトラリン | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合は用量に注意すること。 | CYP3A4の競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| パロキセチン | 併用中の患者において、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。 | 代謝酵素の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| QTを延長させる又は電解質異常を引き起こすことが知られている薬剤 | QT延長が起こるおそれがある。 | 併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アドレナリン含有歯科麻酔剤リドカイン・アドレナリン | 重篤な血圧低下を起こすおそれがある。 | 本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧上昇作用が減弱し、アドレナリンの昇圧作用が反転するおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 無顆粒球症、白血球減少症(いずれも2.6%)、好中球減少症(7.8%)
通常、投与中止により回復するが、致死的な転帰をたどる可能性もある。[1.1、1.5、8.2、9.1.5参照]
11.1.2 心筋炎、心筋症(いずれも頻度不明)、心膜炎(1.3%)、心嚢液貯留(5.2%)
死亡例も報告されている。安静時の持続性頻脈、動悸、不整脈、胸痛や心不全の症状又は徴候(原因不明の疲労、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には循環器内科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、投与初期により多く報告されているので、投与初期及び増量時には患者の状態を注意深く観察すること。[1.1参照]
11.1.3 胸膜炎(頻度不明)
感染を伴わない胸膜炎があらわれることがあるので、呼吸困難、発熱、胸痛等があらわれた場合には速やかに胸部X線検査等を実施すること。異常が認められた場合には感染症等との鑑別診断を行い、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.4 高血糖(9.1%)、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明)
高血糖があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡から死亡に至った例も報告されている。臨床症状の観察を十分に行い、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意し、異常が認められた場合には速やかに糖尿病治療に関する十分な知識と経験を有する医師と連携して適切な対応を行うこと。また、糖尿病性ケトアシドーシス又は糖尿病性昏睡の徴候が認められた場合には投与を中止し、インスリン製剤を投与するなど適切な処置を行うこと。[1.1、1.3、1.4、8.6、8.7、9.1.1、9.1.2参照]
11.1.5 悪性症候群(1.3%)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
11.1.6 てんかん発作(1.3%)、痙攣(2.6%)、ミオクローヌス発作(1.3%)
本剤は用量依存的に痙攣閾値低下をもたらし、脳波変化を生じ、痙攣発作を引き起こすおそれがある。特にてんかんの既往歴のある患者では注意深く観察を行い、本剤の急激な増量を行わないこと。このような場合には減量又は中止し、抗痙攣剤を投与するなど適切な処置を行うこと。[9.1.6参照]
11.1.7 起立性低血圧(15.6%)、失神、循環虚脱(いずれも頻度不明)
起立性低血圧、失神があらわれることがあり、循環虚脱から心停止、呼吸停止に至ることもある。投与初期の漸増を行う時期に急激に増量した場合により多くみられるため、注意深く観察すること。
11.1.8 肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明)
肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.11参照]
11.1.9 劇症肝炎、肝炎、胆汁うっ滞性黄疸(いずれも頻度不明)
11.1.10 腸閉塞(5.2%)、麻痺性イレウス、腸潰瘍、腸管穿孔(いずれも頻度不明)
本剤の抗コリン作用により腸閉塞、麻痺性イレウス、腸潰瘍、腸管穿孔があらわれ、死亡に至った例も報告されている。便秘等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 5%未満 | 頻度不明 | |
| 血液及びリンパ系障害 | 白血球増加(33.8%)、好酸球増加(13.0%) | 血小板減少、血小板増加、貧血 | − |
| 代謝及び栄養障害 | 口渇、体重増加(18.2%)、体重減少、高トリグリセリド血症(14.3%) | 高コレステロール血症 | − |
| 精神神経系障害 | 傾眠(63.6%)、めまい(20.8%)、頭痛(10.4%) | 鎮静 | 錯乱、せん妄、落ち着きのなさ、不安・焦燥・興奮、強迫症状、吃音、コリン作動性薬物離脱症候群(発汗、頭痛、悪心、嘔吐、下痢等)、下肢静止不能症候群 |
| 錐体外路症状 | 振戦(19.5%)、アカシジア、構語障害、遅発性ジスキネジア | 筋固縮、ジストニア(側反弓) | − |
| 眼障害 | − | 霧視 | − |
| 心障害 | 頻脈(26.0%)、心電図変化 | QT延長 | 不整脈、動悸、心房細動 |
| 血管障害 | 血圧低下 | 高血圧 | − |
| 呼吸器系障害 | − | 肺炎 | 誤嚥、嚥下性肺炎、呼吸抑制、呼吸停止、下気道感染 |
| 消化器系障害 | 流涎過多(46.8%)、便秘(33.8%)、悪心(24.7%)、嘔吐(23.4%)、消化不良 | 嚥下障害、耳下腺腫大、下痢 | 口内乾燥 |
| 肝臓・胆管系障害 | 肝機能検査値上昇(ALT増加(33.8%)、AST増加(15.6%)、γ-GTP増加(15.6%)等) | − | 膵炎 |
| 皮膚・皮下組織障害 | − | 発疹 | 血管性浮腫 |
| 腎臓・泌尿器系障害 | 尿失禁(13.0%) | 尿閉 | 間質性腎炎 |
| 生殖器障害 | − | − | 持続勃起症、逆行性射精 |
| 全身障害 | 疲労・けん怠感(16.9%)、発熱(16.9%)、発汗・体温調節障害 | − | 筋力低下、筋肉痛 |
| 臨床検査 | CK増加(10.4%)、ALP増加(14.3%)、LDH増加、プロラクチン増加(13.0%)、TSH低下(10.4%) | 脳波異常 | − |
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使いやすさ
投稿日: 2015/03/31 参考率: 50%(1人/2人)
内科/50代/処方経験あり