本剤又は他のキサンチン系薬剤に対し重篤な副作用の既往歴のある患者
気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、肺性心、うっ血性心不全、肺水腫、心臓喘息、チェーン・ストークス呼吸、閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)における呼吸困難、狭心症(発作予防)、脳卒中発作急性期
アミノフィリン水和物として、通常成人1回250mgを1日1〜2回生理食塩液又は糖液に稀釈して5〜10分を要して静脈内に緩徐に注入する。必要に応じて点滴静脈内注射する。
小児には1回3〜4mg/kgを静脈内注射する。投与間隔は8時間以上とし、最高用量は1日12mg/kgを限度とする。必要に応じて点滴静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
うっ血性心不全の患者に投与する場合は、テオフィリン血中濃度が上昇することがあるので注意して使用すること。
テオフィリンによる副作用の発現は、テオフィリン血中濃度の上昇に起因する場合が多いことから、血中濃度のモニタリングを適切に行い、患者個々人に適した投与計画を設定することが望ましい。
副作用が発現した場合には減量又は投与を中止し、テオフィリン血中濃度を測定することが望ましい。
急性心筋梗塞、重篤な心筋障害のある患者[心筋刺激作用を有するため症状を悪化させることがある。]
てんかんの患者[中枢刺激作用によって発作を起こすことがある。]
甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進に伴う代謝亢進、カテコールアミンの作用を増強することがある。]
急性腎炎の患者[腎臓に対する負荷を高め、尿蛋白が増加するおそれがある。]
肝障害のある患者[テオフィリンクリアランスが低下し、テオフィリン血中濃度が上昇することがあるので、血中濃度測定等の結果により減量すること。]
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、産婦、授乳婦(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
小児
小児、特に乳幼児は成人に比べて痙攣を惹起しやすく、また、テオフィリンクリアランスが変動しやすいのでテオフィリン血中濃度のモニタリングを行うなど慎重に投与すること。なお、次の小児にはより慎重に投与すること。
てんかん及び痙攣の既往歴のある小児[痙攣を誘発することがある。]
発熱している小児[テオフィリン血中濃度の上昇や痙攣等の症状があらわれることがある。]
6ヵ月未満の乳児[乳児期にはテオフィリンクリアランスが一定していない。6ヵ月未満の乳児ではテオフィリンクリアランスが低く、テオフィリン血中濃度が上昇することがある。]
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
症状
テオフィリン血中濃度が高値になると、血中濃度の上昇に伴い、消化器症状(特に悪心、嘔吐)や精神神経症状(頭痛、不眠、不安、興奮、痙攣、せん妄、意識障害、昏睡等)、心・血管症状(頻脈、心室頻拍、心房細動、血圧低下等)、低カリウム血症その他の電解質異常、呼吸促進、横紋筋融解症等の中毒症状が発現しやすくなる。なお、軽微な症状から順次発現することなしに重篤な症状が発現することがある。
処置
過量投与時の処置には、テオフィリンの除去、出現している中毒症状に対する対症療法がある。血中テオフィリンの除去として輸液による排泄促進、活性炭の経口投与、活性炭を吸着剤とした血液灌流、血液透析等がある。なお、テオフィリン血中濃度が低下しても、組織に分布したテオフィリンにより血中濃度が再度上昇することがある。
痙攣、不整脈の発現がない場合
投与を中止し、テオフィリン血中濃度をモニターする。
痙攣の発現が予測されるようなら、フェノバルビタール等の投与を考慮する。ただし、フェノバルビタールは呼吸抑制作用を示すことがあるので、使用に際しては注意すること。
痙攣の発現がある場合
気道を確保する。
酸素を供給する。
痙攣治療のためにジアゼパム静注等を行う。痙攣がおさまらない場合には全身麻酔薬投与を考慮する。
バイタルサインをモニターする。血圧の維持及び十分な水分補給を行う。
痙攣後に昏睡が残った場合
気道を確保し、酸素吸入を行う。
テオフィリン血中濃度が低下するまでICU管理を継続し、十分な水分補給を続ける。血中濃度が下がらない場合には、活性炭による血液灌流、血液透析も考慮する。
不整脈の発現がある場合
不整脈治療としてペーシング、直流除細動、抗不整脈薬の投与等適切な処置を行う。
バイタルサインをモニターする。血圧の維持及び十分な水分補給を行う。また、電解質異常がある場合はその補正を行う。
調製・投与時
本剤をブドウ糖及び果糖液で稀釈した場合、経時的に添加物のエチレンジアミンと糖含量が低下し、黄変を認める可能性があるため、調製後は速やかに使用すること。
投与速度
本剤を急速に静脈内注射すると、上記副作用(ショック、不整脈等)や過呼吸、熱感があらわれることがあるので、生理食塩液又は糖液に稀釈して、ゆっくり注射すること。
輸液容器・輸液セット(ポリカーボネート製)の使用時
本剤はエチレンジアミンを含有しており、本剤を10倍未満で稀釈して使用した場合はポリカーボネート製の三方活栓のコネクター部にひび割れが生じ、液漏れ等が発生する可能性がある。また、過度な締め付けが、破損の発生を助長する要因となるので注意すること。
取扱い上の注意
本剤は緩衝性が強く、他剤を本剤のpH域に近づける性質がある。したがって、アルカリ性で不安定な薬剤や酸性の薬剤等とは変化を生ずる場合があるので注意すること。
安定性試験
は、最終包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6ヵ月)の結果、遮光保存において3年間安定であることが推測された。また、最終包装製品を用いた長期保存試験(遮光保存、3年)の結果、外観及び含量等は規格の範囲内であり、遮光保存における3年間の安定性が確認された。
本剤は主として肝薬物代謝酵素CYP1A2で代謝される。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
他のキサンチン系薬剤テオフィリンコリンテオフィリンジプロフィリンカフェイン等中枢神経興奮薬エフェドリン塩酸塩マオウ等 | 過度の中枢神経刺激作用があらわれることがある(「過量投与」の項参照)。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 併用により中枢神経刺激作用が増強される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
交感神経刺激剤(β刺激剤)イソプレナリン塩酸塩クレンブテロール塩酸塩ツロブテロール塩酸塩テルブタリン硫酸塩プロカテロール塩酸塩水和物等 | 低カリウム血症、心・血管症状(頻脈、不整脈等)等のβ刺激剤の副作用症状を増強させることがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 心刺激作用をともに有しており、β刺激剤の作用を増強するためと考えられる。低カリウム血症の増強についての機序は不明である。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ハロタン | 不整脈等の副作用が増強することがある。また、連続併用によりテオフィリン血中濃度が上昇することがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | テオフィリンとハロタンの心臓に対する作用の相加又は相乗効果と考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ケタミン塩酸塩 | 痙攣があらわれることがある。痙攣の発現に注意し、異常が認められた場合には抗痙攣剤の投与など適切な処置を行うこと。 | 痙攣閾値が低下するためと考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
シメチジンメキシレチン塩酸塩プロパフェノン塩酸塩アミオダロン塩酸塩エノキサシン水和物ピペミド酸水和物塩酸シプロフロキサシンノルフロキサシントスフロキサシントシル酸塩水和物パズフロキサシンメシル酸塩プルリフロキサシンエリスロマイシンクラリスロマイシンロキシスロマイシンチアベンダゾールチクロピジン塩酸塩ベラパミル塩酸塩ジルチアゼム塩酸塩フルボキサミンマレイン酸塩フルコナゾールジスルフィラム デフェラシロクス | テオフィリンの中毒症状があらわれることがある(「過量投与」の項参照)。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 肝薬物代謝酵素が阻害され、テオフィリンクリアランスが低下するため、テオフィリン血中濃度が上昇すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アシクロビルバラシクロビル塩酸塩インターフェロンイプリフラボンシクロスポリンアロプリノール | テオフィリンの中毒症状があらわれることがある(「過量投与」の項参照)。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | テオフィリン血中濃度の上昇によると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ザフィルルカスト | テオフィリンの中毒症状があらわれることがある(「過量投与」の項参照)。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、ザフィルルカストの血中濃度を低下させることがある。 | 肝薬物代謝酵素が阻害され、テオフィリンクリアランスが低下するため、テオフィリン血中濃度が上昇すると考えられる。ザフィルルカストの血中濃度低下についての機序は不明である。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
リファンピシンフェノバルビタールランソプラゾールリトナビル | テオフィリンの効果が減弱することがある。テオフィリン血中濃度が低下することがあるので、適切な処置を行うこと。 | 肝薬物代謝酵素の誘導によりテオフィリンクリアランスが上昇するため、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
フェニトインカルバマゼピン | テオフィリン及び相手薬の効果が減弱することがある。テオフィリン血中濃度が低下することがあるので、適切な処置を行うこと。また、相手薬の効果減弱や血中濃度の低下に注意すること。 | 肝薬物代謝酵素の誘導によりテオフィリンクリアランスが上昇するため、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジピリダモール | ジピリダモールの作用を減弱させることがある。 | アデノシン拮抗作用による。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ラマトロバン | ラマトロバンの血中濃度が上昇することがある。 | ラマトロバンの血中濃度上昇についての機序は不明である。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
リルゾール | リルゾールの作用を増強(副作用発現)するおそれがある。 | in vitro試験でリルゾールの代謝を阻害することが示唆されている。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
タバコ | 禁煙(禁煙補助剤であるニコチン製剤使用時を含む)によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある(「過量投与」の項参照)。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 喫煙により肝薬物代謝酵素が誘導され、テオフィリンクリアランスが上昇し、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。また、禁煙により血中濃度が上昇すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 | セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている。 |
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
(頻度不明)
ショック、アナフィラキシーショック
ショック、アナフィラキシーショック(蕁麻疹、蒼白、発汗、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
痙攣、意識障害
痙攣又はせん妄、昏睡等の意識障害があらわれることがあるので、抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと。
急性脳症
痙攣、意識障害等に引き続き急性脳症に至ることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症
横紋筋融解症があらわれることがあるので、脱力感、筋肉痛、CK(CPK)上昇等に注意し、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うとともに横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
消化管出血
潰瘍等による消化管出血(吐血、下血等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
赤芽球癆
赤芽球癆があらわれることがあるので、貧血があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸
肝機能障害(AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等)、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
頻呼吸、高血糖症
頻呼吸、高血糖症があらわれることがある。
頻度不明 | |
過敏症 | 発疹、 |
精神神経系 | 頭痛、不眠、神経過敏(興奮、不機嫌、いらいら感)、不安、めまい、耳鳴、振戦、しびれ、不随意運動、筋緊張亢進 |
循環器 | 顔面潮紅、動悸、頻脈、顔面蒼白、不整脈(心室性期外収縮等) |
消化器 | 悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢、腹部膨満感、消化不良(胸やけ等)、しゃっくり |
泌尿器 | 蛋白尿、頻尿 |
代謝異常 | 血清尿酸値、CK(CPK)の上昇等 |
肝臓 | AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、LDH、γ-GTPの上昇等 |
血液 | 貧血、好酸球増多 |
その他 | むくみ、倦怠感、関節痛、四肢痛、発汗、胸痛、低カリウム血症、鼻出血、しびれ(口、舌周囲) |
ニチフィリン注PB250mg
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