昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)[10.1参照]
統合失調症
通常、ペロスピロン塩酸塩として成人1回4mg1日3回より始め、徐々に増量する。維持量として1日12〜48mgを3回に分けて食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は48mgを超えないこと。
悪性症候群の発現に伴いCKが上昇すること、また、本剤によりCKが高くなる場合があることから、観察を十分に行うこと。なお、他の抗精神病薬において、急激な増量により悪性症候群があらわれたとの報告がある。[9.1.4、11.1.1参照]
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
興奮、非協調性、緊張、衝動性の調節障害等の陽性症状を悪化させることがあるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することが考えられるので注意すること。[11.1.3参照]
本剤の投与により、高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤の投与に際しては、あらかじめこれらの副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。[9.1.6、11.1.8参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心・血管疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者
一過性の血圧降下があらわれることがある。
9.1.2 パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者
錐体外路症状が悪化するおそれがある。
9.1.3 てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下させるおそれがある。
9.1.4 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者
悪性症候群が起こりやすい。[8.1、11.1.1参照]
9.1.5 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者
症状を悪化させるおそれがある。
9.1.6 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者
血糖値が上昇することがある。[8.5、11.1.8参照]
9.1.7 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。[11.1.9参照]
9.2 腎機能障害患者
腎障害モデル動物(ラット)で本剤の血中濃度の増大が認められている。
9.3 肝機能障害患者
肝障害モデル動物(ラット)で本剤の血中濃度の増大が認められている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
少量(1回4mg)から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では錐体外路症状等の副作用があらわれやすく、また、一般に生理機能が低下している。動物実験(ラット)で老齢動物、肝障害及び腎障害モデル動物において血清中濃度の増大等が認められている。
14.1 薬剤交付時の注意
本剤の吸収は食事の影響を受けやすいので、食後に服用するよう指導すること。[16.2.1参照]
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。
外国で実施された
を対象とした17の臨床試験において、類薬の非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6〜1.7倍高かったとの報告がある。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。
ヒトにおけるプロラクチン上昇と腫瘍発生との関連については、明確にはわかっていないが、種々の疫学調査の結果では、ヒトにおけるこの種の薬剤の長期間投与と腫瘍発生との関連性は示されていない。
15.2 非臨床試験に基づく情報
げっ歯類(マウス、ラット)のがん原性試験において、乳腺腫瘍(雌マウス100mg/kg以上で腺癌、雌マウス300mg/kg以上で腺棘細胞腫、雌ラット5mg/kg以上で腺癌)、下垂体腫瘍(雌マウス300mg/kg以上で前葉腺腫)及び膵臓内分泌部腫瘍(雄ラット15mg/kg以上で島細胞腺腫)の発生頻度の上昇が報告されている。これらの所見は、プロラクチンに関連した変化として、げっ歯類ではよく知られている。
動物(雌ラット)の慢性毒性試験において、1mg/kg以上で骨量(骨密度)の減少を伴う病理組織学的な骨梁減少が認められた。これらの所見はプロラクチン上昇に起因するエストロゲン分泌抑制に基づく変化と考えられ、他の抗精神病薬(ハロペリドール等)でも認められている。
本剤は、主としてCYP3A4によって代謝される。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)ボスミン[2.4参照] | アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすことがある。 | アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アドレナリン含有歯科麻酔剤リドカイン・アドレナリン | 血圧降下を起こすことがある。 | アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
中枢神経抑制剤バルビツール酸誘導体等 | 相互に中枢神経抑制作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 | ともに中枢神経抑制作用を有する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ドパミン作動薬レボドパ製剤ブロモクリプチン | 相互に作用が減弱することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 | 本剤はドパミン受容体遮断作用を有する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
降圧剤 | 相互に降圧作用を増強する可能性があるので、減量するなど慎重に投与すること。 | ともに降圧作用を有する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ドンペリドンメトクロプラミド | 内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現しやすくなることがある。 | ともにドパミン受容体遮断作用を有する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アルコール(飲酒) | 相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。 | ともに中枢神経抑制作用を有する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
H2受容体遮断薬シメチジン等 | 相互に胃液分泌抑制作用を増強する可能性があるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。 | ともに胃液分泌抑制作用を有する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP3A4の選択的阻害剤マクロライド系抗生物質等 | 本剤による副作用が強くあらわれる可能性があるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。 | 本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP3A4によって代謝される薬剤シサプリドトリアゾラム 等 | CYP3A4によって代謝される薬剤及び本剤による副作用が強くあらわれる可能性があるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。 | 本剤とこれら併用薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、代謝を競合的に阻害する可能性がある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 悪性症候群(1%未満)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。[8.1、9.1.4参照]
11.1.2 遅発性ジスキネジア(0.1〜1%未満)
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
11.1.3 麻痺性イレウス(1%未満)
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。[8.4参照]
11.1.4 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(1%未満)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。なお、抗精神病薬の高用量、長期間投与がSIADH発現の危険因子になるとの報告がある。
(頻度不明)
11.1.6 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
(いずれも頻度不明)
11.1.8 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明)
高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがある。口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.5、9.1.6参照]
11.1.9 肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明)
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.7参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
循環器 | 心悸亢進、胸内苦悶感、血圧低下 | 頻脈、心室性期外収縮、徐脈、血圧上昇 | ||
錐体外路症状※) | パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎、仮面様顔貌、寡黙寡動、歩行障害等)(25.6%)、アカシジア(静坐不能)(25.4%)、ジスキネジア(口周部・四肢等の不随意運動、構音障害、嚥下障害等)(13.1%) | ジストニア(斜頚、眼球上転発作等) | ||
肝臓 | AST、ALT上昇 | ALP、γ-GTP上昇 | LDH上昇 | |
眼 | 視力障害、眼のかすみ、角膜びらん | |||
過敏症 | 発疹、紅斑 | |||
消化器 | 便秘、悪心・嘔吐、食欲減退 | 食欲亢進 | 腹部不快感、下痢、腹痛 | |
内分泌 | プロラクチン上昇 | 月経異常 | 乳汁分泌 | |
泌尿器 | 排尿障害 | 頻尿 | ||
血液 | 白血球増加、白血球減少、白血球分類異常、赤血球増加、赤血球減少、ヘモグロビン増加、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット増加、ヘマトクリット減少、血小板減少 | |||
精神神経系 | 不眠(22.8%)、眠気(14.5%)、焦燥・不安、めまい・ふらつき、過度鎮静 | 興奮・易刺激性、頭重・頭痛、うつ状態 | 頭部異常感、しびれ感、眼瞼下垂、頭鳴 | 痙攣発作、躁状態、自殺企図、精神病症状の増悪、妄想、幻覚、衝動行為、思考異常 |
その他 | 脱力倦怠感、口渇、CK上昇 | 無力感、発汗、尿蛋白 | 発熱、ほてり(顔面紅潮)、射精障害、鼻閉、体重増加、水中毒、多飲症、気分不快感、喀痰、総コレステロール上昇、総コレステロール低下、総蛋白低下、尿糖、尿ウロビリノーゲン、血清ナトリウム低下、血清クロール低下 | 血糖上昇 |
※)症状があらわれた場合には、必要に応じて減量又は抗パーキンソン薬の投与等、適切な処置を行うこと。
ルーラン錠4mg 9.6円/錠
ルーラン錠8mg 18.7円/錠
ルーラン錠16mg 32.7円/錠
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副作用の頻度
投稿日: 2015/03/28 参考率: 100%(3人/3人)
精神・神経科/50代/処方経験あり