本剤と硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬が投与されないよう十分注意すること。[「禁忌」の項参照]
ただし、肺動脈性肺高血圧症の治療において一酸化窒素吸入療法と本剤の併用が治療上必要と判断される場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、肺動脈性肺高血圧症の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで、慎重に投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)を投与中の患者[「警告」、「相互作用」の項参照]
重度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh Class C)
リトナビル
アミオダロン
可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
肺動脈性肺高血圧症
通常、成人にはシルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
エポプロステノールを除く他の肺動脈性肺高血圧症治療薬と併用する場合には、有効性、安全性が確立していないので十分な観察を行いながら投与すること。
肺血管拡張薬は、肺静脈閉塞性疾患を有する患者の心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。肺静脈閉塞性疾患を有する患者における有効性及び安全性は確立していないため、このような患者に対しては本剤を投与しないことが望ましい。
めまいや視覚障害、色視症、霧視等が認められているので自動車の運転や機械の操作に従事する場合には注意させること。
出血の危険因子(ビタミンK拮抗薬等の抗凝固療法、抗血小板療法、結合組織疾患に伴う血小板機能異常、経鼻酸素療法)を保有している肺動脈性肺高血圧症患者に本剤の投与を開始した場合、鼻出血等の出血の危険性が高まることがあるため、必要に応じて適切な処置を行うこと。[「相互作用」の項参照]
本剤投与後に急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合には、速やかに眼科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること。[「その他の注意」の項参照]
本剤投与後に急激な聴力低下又は突発性難聴(耳鳴り、めまいを伴うことがある)があらわれた場合には、速やかに耳鼻科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること。[「その他の注意」の項参照]
4時間以上の勃起の延長又は持続勃起(6時間以上持続する痛みを伴う勃起)が外国市販後有害事象で少数例報告されている。持続勃起に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるので、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合、直ちに医師の診断を受けるよう指導すること。
脳梗塞・脳出血又は心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者[これらの患者における有効性及び安全性は確立していない。]
出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者[ニトロプルシドナトリウム(NO供与薬)の血小板凝集抑制作用を増強することが認められている。出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者に対する安全性は確立していない。]
チトクロームP450(CYP)3A4阻害薬(サキナビル、エリスロマイシン、シメチジン、アタザナビル、ネルフィナビル、クラリスロマイシン、テリスロマイシン等)を投与中の患者[本剤の血漿中濃度が上昇することが認められているので、慎重に投与すること。(「相互作用」の項参照)]
重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス:Ccr<30mL/min)のある患者[血漿中濃度が上昇することが認められているので、慎重に投与すること。(「薬物動態」の項参照)]
軽度又は中等度の肝機能障害のある患者[血漿中濃度が上昇することが認められているので、慎重に投与すること。(「薬物動態」の項参照)]
α遮断薬を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
低血圧(血圧<90/50mmHg)、体液減少、重度左室流出路閉塞、自律神経機能障害等が認められる患者[本剤の血管拡張作用によりこれらの基礎疾患を増悪させるおそれがある。]
網膜色素変性症患者[網膜色素変性症の患者にはホスホジエステラーゼの遺伝的障害を持つ症例が少数認められている。]
カルペリチドを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
高齢者[「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照]
陰茎の構造上欠陥(屈曲、陰茎の線維化、Peyronie病等)のある患者[本剤の薬理作用により勃起が起こり、その結果陰茎に痛みを引き起こす可能性がある。]
鎌状赤血球貧血、多発性骨髄腫、白血病等の患者[持続勃起症の素因となり得る。]
症状
外国において、健康被験者に800mgまで単回投与した場合、有害事象は低用量で認められたものと同様であったが、その頻度と重症度は上昇した。200mg投与では有害事象(頭痛、潮紅、めまい、消化不良、鼻炎、視覚異常)の発現率は増加した。
措置方法
過量投与の際の特異的な薬物療法はないが、適切な対症療法を行うこと。なお、本剤は血漿蛋白結合率が高く、尿中排泄率が低いため腎透析によるクリアランスの促進は期待できない。
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
勃起不全治療薬として使用されたシルデナフィルの市販後の自発報告において、心筋梗塞、心突然死、心室性不整脈、脳出血、一過性脳虚血発作などの重篤な心血管系障害がシルデナフィル投与後に発現している。これらの多くが心血管系のリスクファクターを有している患者であった。多くの事象が、性行為中又は性行為後に認められ、少数例ではあるが、性行為なしにシルデナフィル投与後に認められたものもあった。その他は、シルデナフィルを投与し性行為後の数時間から数日後に報告されている。これらの症例について、シルデナフィル、性行為、本来患者が有していた心血管系障害、これらの要因の組み合わせ又は他の要因に直接関連するかどうかを確定することはできない。
薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において男性勃起不全治療薬として使用された本剤を含むホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬に関する市販後調査では、まれに視力低下や視力喪失の原因となりうる非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現が報告されている。これらの患者の多くは、NAIONの危険因子[年齢(50歳以上)、糖尿病、高血圧、冠動脈障害、高脂血症、喫煙等]を有していた。
外国において、NAIONを発現した45歳以上の男性(肺動脈性肺高血圧症に使用された症例は除く)を対象として実施された自己対照研究では、PDE5阻害薬の投与から半減期(t1/2)の5倍の期間内(シルデナフィルの場合約1日以内に相当)は、NAION発現リスクが約2倍になることが報告されている
薬剤との因果関係は明らかではないが、急激な聴力低下又は突発性難聴が本剤を含むPDE5阻害薬の市販後及び臨床試験において、まれに報告されている。
薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において本剤を含むPDE5阻害薬投与後に、まれに、痙攣発作の発現が報告されている。
ラットの経口1ヵ月毒性試験では45及び200mg/kg群で腸間膜動脈炎がみられたとの報告があるが、6ヵ月試験及びがん原性試験では認められなかった。また、ビーグル犬の経口長期毒性試験(6ヵ月、12ヵ月)の最高用量50mg/kg群において、雄動物に特発性若年性多発性動脈炎がみられたとの報告がある。しかし、これらの病変のヒトへの外挿性は低いものと判断されている。
動物実験で、メラニン色素に富む網膜との親和性が高いとの報告があるので、長期間投与する場合には眼科的検査を行うなど注意して投与すること。
本製剤の効能・効果は、「肺動脈性肺高血圧症」であること。
本製剤が「勃起不全」の治療目的で処方された場合には、保険給付の対象としないこととする。
本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝される。CYP2C9もわずかではあるが関与している。[「薬物動態」の項参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 硝酸薬及びNO供与薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)[「警告」の項参照] | 併用により、降圧作用を増強することがある 。 | NOはcGMPの産生を刺激し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する降圧作用が増強する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リトナビル含有製剤 (ノービア、カレトラ、ヴィキラックス)ダルナビル含有製剤 (プリジスタ、プレジコビックス)インジナビル(クリキシバン)イトラコナゾール(イトリゾール)テラプレビル(テラビック)コビシスタット含有製剤(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス) | 本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。リトナビルとの併用により、本剤の血漿中濃度が上昇し、最高血漿中濃度(Cmax)及び血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)がそれぞれ3.9倍及び10.5倍に増加した。[「薬物動態」の項参照] | CYP3A4阻害薬は本剤の代謝を阻害するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アミオダロン塩酸塩 (アンカロン錠) | アミオダロン塩酸塩によるQTc延長作用が増強するおそれがある。 | 機序不明。類薬とアミオダロン塩酸塩の併用により、QTc延長があらわれるおそれがあるとの報告がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| sGC刺激剤リオシグアト(アデムパス) | 併用により、症候性低血圧を起こすことがある。 | リオシグアト投与により細胞内cGMP濃度が増加し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの細胞内濃度が増大し、全身血圧に相加的な影響を及ぼすおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4阻害薬(サキナビル、エリスロマイシン、シメチジン、アタザナビル、ネルフィナビル、クラリスロマイシン、テリスロマイシン等) | 本剤の血漿中濃度が上昇したとの報告がある。サキナビル、エリスロマイシン及びシメチジンとの併用により、本剤の血漿中濃度が上昇し、Cmax及びAUCがそれぞれ1.5〜2.6倍及び1.6〜3.1倍に増加した 。[「薬物動態」の項参照] | CYP3A4阻害薬は本剤の代謝を阻害するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4誘導薬(デキサメタゾン、フェニトイン、リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール等) | 本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。 | これらの薬剤により誘導された代謝酵素により、本剤の代謝が促進されるおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ボセンタン(トラクリア) | (1)本剤との併用により、血圧低下作用が増強するおそれがある。(2)ボセンタンとの併用により、本剤の血漿中濃度が低下し、Cmax及びAUCがそれぞれ0.45倍及び0.37倍に減少した。[「薬物動態」の項参照] | (1)両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。(2)ボセンタンにより誘導された代謝酵素により、本剤の代謝が促進されるおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 降圧薬 | アムロジピン等の降圧剤との併用で降圧作用を増強したとの報告がある 。 | 本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| α遮断薬 | ドキサゾシン等のα遮断剤との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある。起立性低血圧が発現することを最小限に抑えるため、本剤を投与する前にα遮断薬療法中の患者の血行動態が安定していることを確認すること。 | 本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カルペリチド | 併用により降圧作用が増強するおそれがある。 | 本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ビタミンK拮抗薬(ワルファリン) | 併用により出血(鼻出血等)の危険性が高まることがある。 | 本剤は微小血管が豊富な鼻甲介の血流量を増加させるため、併用により鼻出血の発現を増強するおそれがある。また、結合組織疾患に伴う血小板機能異常がみられる患者及び経鼻酸素療法(鼻粘膜を乾燥させる)や抗凝固療法を併用している患者では鼻出血などの出血が発現しやすい。 |
外国で実施された第III相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)、第III相試験からの長期継続投与試験及びエポプロステノールとの併用投与試験において、本剤を投与された肺動脈性肺高血圧症患者408例のうち303例に副作用が発現し、発現率は74.3%であった。主な副作用は頭痛(40.7%)、消化不良(13.5%)、潮紅(13.2%)、悪心(10.5%)、下痢(10.3%)等であった。(承認時)
国内臨床試験において、本剤を投与された肺動脈性肺高血圧症患者44例のうち25例に副作用が発現し、発現率は56.8%であった。主な副作用は頭痛(22.7%)、潮紅(18.2%)、鼻出血(6.8%)、めまい(4.5%)、下痢(4.5%)等であった。(製造販売後臨床試験終了時)
| 5%以上 | 1%以上5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 注1) | |
| 神経系障害 | 頭痛、めまい | 錯感覚、片頭痛 | 感覚鈍麻、失神 | |
| 血管障害 | 潮紅 | 低血圧、ほてり | ||
| 胃腸障害 | 消化不良、悪心、下痢、腹痛 | 嘔吐、胃炎、胃食道逆流性疾患 | 腹部不快感、便秘 | |
| 筋骨格系及び結合組織障害 | 四肢痛、筋痛 | 筋痙縮、関節痛、顎痛、背部痛、頚部痛 | ||
| 呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | 鼻閉、咳嗽、呼吸困難、鼻出血 | 咽喉頭疼痛、鼻咽頭炎 | ||
| 眼障害 | 色視症(青視症、黄視症など)、霧視 | 視覚障害、眼充血、結膜充血、白内障、羞明、光視症、眼部不快感、視覚の明るさ、網膜出血、結膜炎 | 眼出血、流涙増加、眼圧迫感、眼刺激、眼部腫脹、色覚異常、眼痛、屈折障害、光輪視、複視、視野欠損 | |
| 皮膚及び皮下組織障害 | そう痒症、発疹、紅斑、多汗症 | |||
| 全身障害及び投与局所様態 | 浮腫、疲労、胸痛、疼痛、無力症 | 発熱、胸部不快感、倦怠感、熱感 | ||
| 心臓障害 | 動悸 | 心粗動、頻脈 | ||
| 精神障害 | 不眠症 | |||
| 代謝及び栄養障害 | 食欲不振 | |||
| 生殖系及び乳房障害 | 持続勃起 | |||
| 臨床検査 | ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、ヘモグロビン減少、リンパ球数減少、体重減少 |
国内臨床試験1試験及び外国で実施された臨床試験3試験の結果を合算した。外国試験3試験における本剤の投与量は、20mg1日3回、40mg1日3回、80mg1日3回のいずれかであった(日本及び外国における承認用量は20mg1日3回)。
注1:自発報告等のため頻度不明
レバチオ錠20mg 1213.5円/錠
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効果の強さ
投稿日: 2015/01/19 参考率: 100%(9人/9人)
内科/50代/処方経験あり