昏睡状態の患者又はバルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者〔中枢神経抑制作用を増強させるおそれがある。〕
重症の心不全患者〔症状を悪化させるおそれがある。〕
パーキンソン病
本剤の成分又はブチロフェノン系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)〔「相互作用」の項参照〕
統合失調症
通常、成人にはピパンペロン塩酸塩として、最初1〜2週間は1日50〜150mg、以後漸増し、1日150〜600mgを3回にわけて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<参考:製剤換算表>
| 販売名 | 成人1日量(通常) | |
| 最初1〜2週間 | 最初1〜2週間以後 | |
| プロピタン錠50mg | 1〜3錠 | 3〜12錠 |
| プロピタン散10% | 0.5〜1.5g | 1.5〜6g |
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
本剤は制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意すること。
肝障害のある患者〔症状を悪化させるおそれがある。〕
心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者〔一過性の血圧降下があらわれることがある。〕
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させることがある。〕
高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
小児〔「小児等への投与」の項参照〕
薬物過敏症の既往歴のある患者
症状
主な症状は、重症の錐体外路症状、低血圧、過度の鎮静である。また、まれにQT延長、心室性不整脈(Torsades de pointesを含む)、心停止があらわれることがある。
処置
一般的な薬物除去法(胃洗浄、活性炭投与等)を行う。特異的な解毒剤はない。QT延長のリスクがあるため心電図異常に注意すること。気道確保(必要であれば人工呼吸)等の維持療法や対症療法を行う。低血圧や循環虚脱があらわれた場合には、輸液、血漿製剤、アルブミン製剤、ドパミン、ドブタミン等の昇圧剤(アドレナリンは禁忌)の投与により処置を行う。また、重症の錐体外路症状に対して、抗コリン作用のある抗パーキンソン剤を投与する。
薬剤交付時(錠)
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能・効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6〜1.7倍高かったとの報告がある。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)(ボスミン) | アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。 | アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 中枢神経抑制剤バルビツール酸誘導体等 | 中枢神経抑制作用が増強することがあるので、減量するなど注意すること。 | 本剤およびこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アルコール | 飲酒により相互に作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意すること。 | アルコールは中枢神経抑制作用を有する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リチウム | 心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性の悪性症候群(Syndrome malin)、非可逆性の脳障害を起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。 | 機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗ドパミン作用を有する薬剤ベンザミド系薬剤メトクロプラミドスルピリドチアプリド等ドンペリドン等 | 内分泌機能異常、錐体外路症状が発現することがある。 | 併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| タンドスピロンクエン酸塩 | 錐体外路症状を増強するおそれがある。 | タンドスピロンクエン酸塩は弱い抗ドパミン作用を有する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ドパミン作動薬レボドパ製剤ブロモクリプチン等 | これらの薬剤のドパミン作動薬としての作用が減弱することがある。 | ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。 |
総症例2,157例について副作用を検討した。(再評価結果時)
(頻度不明)
悪性症候群(Syndrome malin)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、他のブチロフェノン系化合物の投与中、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
腸管麻痺
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。
なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
突然死
他のブチロフェノン系化合物による治療中、原因不明の突然死が起きたとの報告がある。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
類似化合物(ハロペリドール等)で、低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることが報告されている。
無顆粒球症、白血球減少
無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肺塞栓症、深部静脈血栓症
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
| 循環器注1) | 血圧降下 | 頻脈 | 心電図変化(QT間隔の延長、T波の変化等) | |
| 肝臓注2) | 肝障害 | |||
| 錐体外路症状 | パーキンソン症候群(手指振戦、筋強剛、流涎等) | アカシジア(静坐不能)、ジスキネジア(痙攣性斜頸、顔面及び頸部の攣縮、後弓反張、眼球回転発作等) | 長期投与による口周部等の不随意運動 注3) | |
| 眼 | 眼の調節障害 | 長期又は大量投与による角膜・水晶体の混濁、角膜等の色素沈着 | ||
| 皮膚注4) | 光線過敏症 | |||
| 過敏症注4) | 発疹 |
|
||
| 消化器 | 悪心・嘔吐、食欲不振、便秘、腹痛 | |||
| 内分泌 | 体重増加 | 月経異常、乳汁分泌、高プロラクチン血症、女性型乳房 | ||
| 精神神経系 | 焦躁感、不眠、眠気、眩暈、頭痛・頭重 | 興奮 | ||
| その他 | 倦怠感 | 口渇、鼻閉 |
注1)観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止すること。
注2)観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。
注3)投与中止後も持続することがある。
注4)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
プロピタン錠50mg 13.3円/錠
プロピタン散10% 25.4円/g
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。