重篤な刺激伝導障害(完全房室ブロック等)のある患者[刺激伝導障害を増悪させるおそれがある。][11.1.1参照]
重篤なうっ血性心不全の患者[心筋収縮力低下により、心不全を悪化させるおそれがある。]
妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
下記の状態で他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合
頻脈性不整脈
通常、成人にはアプリンジン塩酸塩として、1日40mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mgまで増量し、1日2〜3回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
本剤の投与中に、無顆粒球症、顆粒球減少あるいは白血球減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うこと。なお、無顆粒球症による死亡例が報告
されている。[11.1.2参照]
本剤の投与に際しては、頻回に患者の状態を観察し、心電図、脈拍、血圧、心胸比を定期的に調べること。PQの延長、QRS幅の増大、QTの延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。[9.1.1-9.1.3、9.1.6、9.8、11.1.1参照]
本剤の投与中に、AST、ALT、Al-P、LDH等、肝・胆道系酵素値及び総ビリルビンの上昇があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。特に投与初期においては2週間に1回検査を行うことが望ましい。[11.1.4参照]
本剤の投与中に、手指振戦、めまい、ふらつき等の精神神経系症状が発現し、増悪する傾向がある場合には、直ちに減量又は投与を中止すること(精神神経系の症状は用量依存的に発現しやすい)。また、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 うっ血性心不全の患者(重篤なうっ血性心不全の患者を除く)又は基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者
開始後1〜2週間は入院させること。また、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。
心室頻拍、心室細動等が発現するおそれが高い。うっ血性心不全の患者においては心筋収縮力低下により、心不全を悪化させるおそれがある。[8.2、11.1.1参照]
9.1.2 軽度の刺激伝導障害(不完全房室ブロック、脚ブロック等)のある患者
刺激伝導障害を増悪させるおそれがある。[8.2、11.1.1参照]
9.1.3 著明な洞性徐脈の患者
徐脈を助長させるおそれがある。[8.2、11.1.1参照]
9.1.4 パーキンソン症候群の患者
パーキンソン様症状を増悪させるおそれがある。
9.1.5 血清カリウム低下のある患者
QT延長、催不整脈(Torsades de pointes等)などを発現させるおそれがある。[11.1.1参照]
9.1.6 他の抗不整脈薬を投与中の患者
少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。併用時の有効性、安全性は確立していない。[8.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
腎機能障害を増悪させるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
肝機能障害を増悪させるおそれがある。また、アプリンジンは肝代謝型の薬剤であるため、肝機能障害のある患者では血中アプリンジン濃度が上昇するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。動物実験で、母体の一般状態悪化による二次的影響と考えられるが、経口投与(ラット)による胎児の発育抑制、静脈内投与(ウサギ)による生存胎児数の減少及び胎児死亡数の増加がみられている。[2.3参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物(ラット)の乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
入院させて開始することが望ましい。少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい。[8.2参照]
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
小児の手の届かない所に保管するよう指導すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
本剤の静脈内投与により失神、痙攣があらわれたとの報告がある。
外箱開封後は遮光して保存すること。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジソピラミドキニジン硫酸塩水和物メキシレチン塩酸塩 | 動物実験において作用増強の報告があることから、刺激伝導障害(房室ブロック、脚ブロック等)を起こすおそれがあるので、慎重に投与すること。 | 心筋の最大脱分極速度を抑制することから、本剤並びに併用薬剤の刺激伝導系の抑制作用を相加的又は相乗的に増強すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジルチアゼム塩酸塩 | 両剤の血中濃度が上昇したとの報告があるので、併用する場合には両剤共減量する等、慎重に投与すること。 | 肝臓の同一薬物代謝酵素に影響を及ぼし合い、両剤の血中濃度を上昇させる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アミオダロン塩酸塩 | アプリンジンの血中濃度が上昇するとの海外報告があるため、併用する場合には慎重に投与すること。 | 機序不明 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
局所麻酔剤メピバカイン塩酸塩 | 両剤の中枢神経系及び心臓に対する副作用が増強される可能性が報告されているので、併用する場合には慎重に投与すること。 | 両剤の抗不整脈作用及び局所麻酔作用が、併用により相加することが考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ベラパミル塩酸塩 | アプリンジンの血中濃度が上昇するとの報告があるので、併用する場合には慎重に投与すること。 | ベラパミルによるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用による。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 催不整脈(頻度不明)
心室頻拍(Torsades de pointesを含む)等があらわれることがある。[2.1、8.2、9.1.1-9.1.3、9.1.5参照]
11.1.2 無顆粒球症(頻度不明)
無顆粒球症(初期症状:発熱、咽頭痛、全身倦怠感等)があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.3 間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎(初期症状:咳嗽、息切れ、呼吸困難、発熱等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を行い、副腎皮質ホルモン剤等の投与など適切な処置を行うこと。
11.1.4 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。[8.3参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
0.5〜5%未満 | 0.5%未満 | 頻度不明 | |
肝臓 | AST、ALT、γ-GTP、Al-P、LDH、総ビリルビンの上昇 | 肝炎、胆汁うっ滞性肝炎 | |
血液 | 白血球減少 | 貧血、顆粒球減少 | 好酸球増多、血小板減少 |
循環器 | 徐脈、前胸部痛、PQ・QRS・QTcの延長、血圧低下 | 動悸、房室ブロック、洞停止、心不全 | |
精神神経系 | 振戦、めまい・ふらつき | 眠気、足のもつれ、しびれ感、不眠、抑うつ症状、頭がボーとする、沈みこむ感じ | 幻覚、言語障害 |
視覚器 | 視力異常、緑視、複視 | ||
消化器 | 悪心・嘔気、食欲不振、口渇、嘔吐 | 消化不良、下痢、便秘、腹痛 | |
過敏症 | 発疹 | そう痒感 | |
腎臓 | 排尿障害 | 腎機能異常 | |
その他 | 発熱 | 倦怠感、頭痛、頭重感、抗核抗体の陽性化 | CKの上昇、発汗 |
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