心機能異常又はその既往歴のある患者[心筋障害があらわれることがある。]
本剤に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療が限界量(ドキソルビシン塩酸塩では総投与量が体表面積当り500mg/m2、ダウノルビシン塩酸塩では総投与量が体重当り25mg/kg等)に達している患者[心筋障害があらわれることがある。]
下記疾患の自覚的・他覚的症状の寛解並びに改善
頭頸部癌、乳癌、胃癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍)、卵巣癌、子宮癌、急性白血病、悪性リンパ腫
投与方法
投与は疾患別に下記の方法に準じて行う。
静脈内注射の場合
頭頸部癌はIII法又はIV法を、乳癌及び胃癌はI法又はIII法を、卵巣癌及び子宮癌はI法を、尿路上皮癌はI法又はII法を、急性白血病はV法を、悪性リンパ腫はI法又はIV法を標準的用法・用量として選択する。
I法(3〜4週1回法)〔乳癌、胃癌、卵巣癌、子宮癌、尿路上皮癌、悪性リンパ腫〕
ピラルビシンとして、1日1回、40〜60mg(25〜40mg/m2)(力価)を投与し、3〜4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
II法(3〜4週2回法)〔尿路上皮癌〕
ピラルビシンとして、1日1回、30〜40mg(20〜25mg/m2)(力価)を2日間連日投与し、3〜4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
III法(週1回法)〔頭頸部癌、乳癌、胃癌〕
ピラルビシンとして、1日1回、20〜40mg(14〜25mg/m2)(力価)を1週間間隔で2〜3回投与し、3〜4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
IV法(連日法)〔頭頸部癌、悪性リンパ腫〕
ピラルビシンとして、1日1回、10〜20mg(7〜14mg/m2)(力価)を3〜5日間連日投与し、3〜4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
V法(連日法)〔急性白血病〕
ピラルビシンとして、1日1回、10〜30mg(7〜20mg/m2)(力価)を5日間連日投与する。骨髄機能が回復するまで休薬し、投与を繰り返す。
動脈内注射による頭頸部癌、膀胱癌の場合
ピラルビシンとして、1日1回、10〜20mg(7〜14mg/m2)(力価)を連日又は隔日に5〜10回投与する。
膀胱内注入による膀胱癌の場合
カテーテルを用いて導尿した後、ピラルビシンとして、1日1回、15〜30mg(力価)を500〜1,000μg(力価)/mLの溶液として週3回、各1〜2時間膀胱内把持する。これを1クールとし、2〜3クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
骨髄抑制、心筋障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、心機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。心機能検査としては、心電図等を原則としてクール(通常3〜4週)ごとに実施することが望ましい。
急性白血病の治療の場合には、末梢血液及び骨髄所見を随時検査し、投与期間を短縮又は延長すること。
アントラサイクリン系薬剤未治療例で、本剤の総投与量が950mg/m2(体表面積)を超えると、うっ血性心不全を起こすことが多くなるので十分に注意すること。
前治療等により950mg/m2以下の総投与量でもうっ血性心不全が起こることがあるので、他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者、心臓部あるいは縦隔に放射線療法を受けた患者及び本剤の総投与量が700mg/m2を超える患者では心機能検査を行い慎重に投与すること。
感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
肝障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
腎障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
骨髄抑制のある患者[骨髄抑制を増悪させるおそれがある。]
感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染を増悪させるおそれがある。]
高齢者[「5.高齢者への投与」の項参照]
水痘患者[致命的な全身障害があらわれるおそれがある。]
投与経路
皮下・筋肉内には投与しないこと。
膀胱癌の動脈内投与療法に際し阻血を行った症例で、高濃度の薬剤が坐骨神経に流れ、坐骨神経麻痺を起こしたとの報告があるので、このような投与方法を行う場合には慎重に投与すること。
調製時
本剤は溶解時のpHにより力価の低下及び濁りを生じることがあるので、他の薬剤との混注を避け、日局ブドウ糖注射液
溶解後
溶解後はできるだけ速やかに使用すること。
なお、やむを得ず保存を必要とする場合には、室温保存では6時間以内に使用すること。
投与時
血管内投与により、ときに血管痛、静脈炎等を起こすことがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意すること。
血管内投与に際し、薬液が血管外に漏れると注射部位に硬結・壊死、炎症を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないよう慎重に投与すること。
本剤を溶解した液とシリンジに塗布されているシリコンオイルが接触することで、シリンジ内にまれにシリコンオイルの浮遊物がみられることがある。
その場合はフィルターを使用して投与すること。
本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
本剤の尿中排泄により尿が赤色になることがある。
ラットに腹腔内投与した実験で、発癌性がみられたとの報告がある。
投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射、アントラサイクリン系薬剤等潜在的に心毒性を有する他の抗悪性腫瘍剤[心筋障害が増強されるおそれがある。]
他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射[骨髄抑制等の副作用が増強することがある。]
静脈内投与
総症例3,591例(承認時699例、使用成績調査2,892例)における副作用発現率は71.2%であった。主な副作用は白血球減少50.4%、血小板減少14.5%等の骨髄抑制と食欲不振36.4%、悪心31.9%、嘔吐23.6%等の消化管障害であり、その他脱毛21.5%、全身倦怠18.1%等であった。〔再審査終了時〕
動脈内投与
総症例460例(承認時74例、使用成績調査386例)における副作用発現率は56.7%であった。主な副作用は白血球減少32.0%等の骨髄抑制と食欲不振24.1%、悪心23.0%、嘔吐15.4%等の消化管障害であり、その他脱毛16.7%、全身倦怠12.6%等であった。〔再審査終了時〕
膀胱内注入
総症例1,233例(承認時50例、使用成績調査1,183例)における副作用発現率は26.2%であった。主な副作用は排尿痛18.2%、頻尿17.4%等の膀胱刺激症状であった。〔再審査終了時〕
心筋障害(0.1〜5%未満)
心筋障害更に心不全等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬又は投与を中止すること。
また、総投与量が950mg/m2(体表面積)を超えるとうっ血性心不全を起こすことが多くなるので、十分に注意すること。
特に他のアントラサイクリン系薬剤(ダウノルビシン、ドキソルビシン、アクラルビシン、エピルビシン等)投与後症例への本剤の投与には、十分注意すること。
汎血球減少(0.3%)等の骨髄抑制
汎血球減少、貧血、白血球減少、好中球減少、血小板減少、出血傾向等があらわれることがあるので、末梢血液の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等適切な処置を行うこと。
ショック(0.1%未満)
ショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(0.1%未満)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線像異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
萎縮膀胱(0.4%)
膀胱内注入療法によって萎縮膀胱があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | |
| 心臓 | 心電図異常、頻脈、不整脈 | ||
| 肝臓 | 肝障害(AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTP、LDH、総ビリルビン上昇等) | ||
| 腎臓 | 腎障害(蛋白尿、BUN上昇、クレアチニン上昇等) | ||
| 消化器 | 食欲不振、悪心・嘔吐、口内炎 | 下痢、腹痛 | 消化管出血注)、イレウス注)、便秘 |
| 皮膚 | 脱毛 | 色素沈着 | |
| 精神神経系 | 全身倦怠 | 頭痛、めまい、しびれ | |
| 泌尿器 | 排尿痛、血尿 | ||
| 泌尿器(膀胱内注入時) | 頻尿、排尿痛、血尿等の膀胱刺激症状 | 排尿障害 | |
| 過敏症 | 発疹等の過敏症状 | 皮膚炎 | |
| その他 | 発熱 | 感染症、胸痛、浮腫、動悸、息切れ、血清総蛋白減少、電解質異常、味覚異常 | 顔面潮紅、耳鳴 |
注)異常が認められた場合には、投与を中止すること。
ピノルビン注射用10mg 6101円/瓶
ピノルビン注射用20mg 11841円/瓶
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