本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
妊婦
又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照]
心原性ショックの患者[血圧低下により症状が悪化するおそれがある.]
急性心筋梗塞の患者[急激な血行動態の変化により,病態が悪化するおそれがある.]
本態性高血圧症,腎性高血圧症
狭心症
ニフェジピンとして,通常成人1回10mgを1日3回経口投与する.症状に応じ適宜増減する.
カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき,症状が悪化した症例が報告されているので,本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し,観察を十分に行うこと.また患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること.
まれに過度の血圧低下を起こし,ショック症状や一過性の意識障害,脳梗塞があらわれることがあるので,そのような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.なお,速効性を期待した本剤の舌下投与(カプセルをかみ砕いた後,口中に含むか又はのみこませること)は,過度の降圧や反射性頻脈をきたすことがあるので,用いないこと.
降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので,高所作業,自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること.
大動脈弁狭窄,僧帽弁狭窄のある患者,肺高血圧のある患者[血管拡張作用により重篤な血行動態の悪化を招くおそれがある.]
過度に血圧の低い患者[更に血圧が低下するおそれがある.]
血液透析療法中の循環血液量減少を伴う高血圧患者[過度に血圧が低下するおそれがある.]
重篤な腎機能障害のある患者[急速な降圧等により腎機能が悪化するおそれがある.]
重篤な肝機能障害のある患者[血中濃度が上昇することがある.また門脈圧が上昇するおそれがある.]
うっ血性心不全(特に高度の左室収縮機能障害)のある患者[心不全が悪化するおそれがある.]
不安定狭心症の患者[急激な血行動態の変化により,症状が悪化するおそれがある.]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
徴候と症状
過量投与に関する情報は少ないが,主要な臨床症状として過度の血圧低下等が引き起こされる可能性がある.また肝機能障害があると症状が遷延することがある.
処置
本剤の急性中毒に対しては,通常,胃洗浄若しくは催吐,下剤及び活性炭の投与などの初期治療を行う.心電図や呼吸機能等のモニターを行いながら,下肢の挙上,また必要に応じて輸液,カルシウムの静注,昇圧剤の投与など積極的な支持・対症療法を行う.なお,蛋白結合率が高いので,強制利尿,血液透析等は本剤の除去にはそれほど有用ではないと考えられる.
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること.[PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている.]
外国においてニフェジピン(徐放剤を除く)に関し,急性心筋梗塞及び不安定狭心症等の患者を対象にした複数文献報告を用いたメタアナリシスの結果,高用量(1日80mg)投与群で非心臓死を含む全死亡へのリスク比が増加したとの報告や,高齢の高血圧症患者を対象にした観察研究で,本剤投与群の生存率が他の降圧剤投与群と比べて低かったとの報告がある.
軟カプセル剤であるので,高温・多湿の場所に保管しないこと.
PTPシートが破損された場合,保管中にカプセルの軟化・変形・変色等を生じることがあるので,アルミ袋の開封後はPTPが破損せぬよう取扱いに注意すること.
本剤は主にチトクロームP-450 3A4(CYP3A4)により代謝される.
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
他の降圧剤レセルピン,メチルドパ水和物,プラゾシン塩酸塩等 | 相互に血圧低下作用を増強することがある.患者の状態を注意深く観察し,過度の血圧低下が認められた場合,本剤又は他の降圧剤を減量若しくは中止するなど適切な処置を行う. | 薬理学的な相加・相乗作用によるものと考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
β遮断剤アテノロール,アセブトロール塩酸塩,プロプラノロール塩酸塩等 | 相互に作用を増強することがある.患者の状態を注意深く観察し,過度の血圧低下や心不全等の症状が認められた場合,本剤又はβ遮断剤を減量若しくは中止するなど適切な処置を行う. | 薬理学的な相加・相乗作用によるものと考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジゴキシン | ジゴキシンの血中濃度が上昇することがある.ジゴキシン中毒症状(悪心・嘔吐,頭痛,視覚異常,不整脈等)が認められた場合,症状に応じジゴキシンの用量を調節又は本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う. | 機序は完全には解明されていないが,ジゴキシンの腎及び腎外クリアランスが減少するためと考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
シメチジン | 本剤の血中濃度が上昇し,作用が増強されることがある.患者の状態を注意深く観察し,過度の血圧低下や頻脈等の症状が認められた場合,本剤を減量又はシメチジンの投与を中止するなど適切な処置を行う. | シメチジンが肝血流量を低下させ,本剤の肝ミクロソームでの酵素代謝を抑制する一方で,胃酸を低下させ,本剤の吸収を増加させるためと考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジルチアゼム | 本剤の血中濃度が上昇し,作用が増強されることがある.患者の状態を注意深く観察し,過度の血圧低下等の症状が認められた場合,本剤を減量又はジルチアゼムの投与を中止するなど適切な処置を行う. | 発現機序の詳細は不明であるが,ジルチアゼムが本剤の肝代謝(チトクロームP-450酵素系)反応を抑制し,クリアランスを低下させるためと考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
トリアゾール系抗真菌剤イトラコナゾール,フルコナゾール等 | 本剤の血中濃度が上昇し,作用が増強されることがある.患者の状態を注意深く観察し,過度の血圧低下や浮腫等の症状が認められた場合,本剤を減量又はトリアゾール系抗真菌剤の投与を中止するなど適切な処置を行う. | 発現機序の詳細は不明であるが,トリアゾール系抗真菌剤が本剤の肝代謝(チトクロームP-450酵素系)反応を抑制し,クリアランスを低下させるためと考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
リファンピシンフェニトインカルバマゼピン | 本剤の有効血中濃度が得られず,作用が減弱することがある.患者の状態を注意深く観察し,血圧上昇や狭心症発作の悪化等の症状が認められた場合,他剤への変更又はリファンピシン,フェニトイン,カルバマゼピンの投与を中止するなど適切な処置を行う. | リファンピシン,フェニトイン,カルバマゼピンにより誘導された肝薬物代謝酵素(チトクロームP-450)が本剤の代謝を促進し,クリアランスを上昇させるためと考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
タクロリムス | タクロリムスの血中濃度が上昇することがある.患者の状態を注意深く観察し,腎機能障害等の症状が認められた場合,タクロリムスの用量を調節又は本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う. | 発現機序の詳細は不明であるが,本剤がタクロリムスの肝代謝(チトクロームP-450酵素系)反応を抑制し,クリアランスを低下させるためと考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
シクロスポリン | 歯肉肥厚があらわれやすいとの報告がある.患者の状態を注意深く観察し,歯肉肥厚が認められた場合,本剤又はシクロスポリンの投与を中止するなど適切な処置を行う. | 発現機序の詳細は不明であるが,両剤の相加的な作用によるものと考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
HIVプロテアーゼ阻害剤サキナビル,リトナビル等 | 本剤のAUCが上昇することが予想される.患者の状態を注意深く観察し,過度の血圧低下等の症状が認められた場合,本剤を減量するなど適切な処置を行う. | 発現機序の詳細は不明であるが,本剤とこれらの薬剤の肝代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため,競合的に拮抗し,本剤の代謝が阻害される可能性があると考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
キヌプリスチン・ダルホプリスチン | 本剤の血中濃度が上昇し,作用が増強されるおそれがある.患者の状態を注意深く観察し,過度の血圧低下等の症状が認められた場合,本剤を減量するなど適切な処置を行う. | キヌプリスチン・ダルホプリスチンが,CYP3A4を阻害し,本剤のクリアランスを低下させるためと考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
硫酸マグネシウム水和物(注射剤) | 過度の血圧低下や神経筋伝達遮断の増強があらわれることがある.[「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照] | 併用により降圧作用や神経筋伝達遮断作用が増強されると考えられている. |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
グレープフルーツジュース | 本剤の血中濃度が上昇し,作用が増強されることがある.患者の状態を注意深く観察し,過度の血圧低下等の症状が認められた場合,本剤を減量するなど適切な処置を行う.またグレープフルーツジュースとの同時服用をしないように注意する. | 発現機序の詳細は不明であるが,グレープフルーツジュースに含まれる成分が本剤の肝代謝(チトクロームP-450酵素系)反応を抑制し,クリアランスを低下させるためと考えられている. |
承認時及び承認時以降の調査並びに高血圧症効能追加時の調査での調査症例8,675例中493例(5.68%)に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められ,主な副作用は顔面潮紅107件(1.23%),頭痛81件(0.93%),めまい53件(0.61%)等であった.(効能追加時)
(0.1%未満)
次のような副作用があらわれることがある.このような副作用があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
ショック
ショックを起こすことがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
意識障害
血圧低下に伴う一過性の意識障害があらわれることがあるので,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
肝機能障害,黄疸
AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
以下のような副作用があらわれた場合には,症状に応じ適切な処置を行うこと.太字の副作用については投与を中止すること.
0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | |
肝臓 | AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇,Al-P上昇 | 黄疸 |
腎臓 | BUN上昇 | クレアチニン上昇 |
循環器 | 顔面潮紅,熱感,のぼせ,潮紅,動悸,血圧低下,起立性低血圧,浮腫(下肢,顔面等) | 胸部痛,頻脈,頻尿,発汗,悪寒 |
精神神経系 | 頭痛,めまい,倦怠感 | 眠気,不眠,脱力感,筋痙攣,四肢しびれ感,異常感覚,振戦 |
消化器 | 悪心・嘔吐,便秘 | 上腹部痛,下痢,腹部不快感,口渇,胸やけ,食欲不振,鼓腸 |
過敏症 |
発疹, |
光線過敏症,紫斑,血管浮腫 |
口腔 | 歯肉肥厚 | |
代謝異常 | 高血糖 | |
血液 | 血小板減少,貧血,白血球減少 | |
呼吸器 | 呼吸困難,咳嗽,鼻出血,鼻閉 | |
その他 | 女性化乳房,視力異常(霧視等),眼痛,筋肉痛,関節痛,関節腫脹,勃起不全 |
アダラートカプセル10mg 13.1円/カプセル
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