本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
通常、軽度〜中等度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、1日1回27.5mgを貼付する。高度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、27.5mgで4週間以上経過後、55mgに増量する。なお、症状により1日1回27.5mgに減量できる。
本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
8.1 定期的に認知機能検査を行う等患者の状態を確認し、本剤使用で効果が認められない場合、漫然と使用しないこと。
8.2 アルツハイマー型認知症では、自動車の運転等の機械操作能力が低下する可能性がある。また、本剤により、意識障害、めまい、眠気等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう患者等に十分に説明すること。
8.3 本剤の貼付による皮膚症状を避けるため、貼付部位を毎回変更すること。皮膚症状があらわれた場合には、ステロイド軟膏又は抗ヒスタミン外用剤等を使用するか、本剤の一時休薬、あるいは使用を中止するなど適切な処置を行うこと。[14.2.5参照]
8.4 本剤を同一部位に連日貼付・除去を繰り返した場合、皮膚角質層の剥離等が生じ、血中濃度が増加するおそれがあるため、貼付部位を毎回変更すること。[14.2.5参照]
8.5 本剤の貼り替えの際、貼付している製剤を除去せずに新たな製剤を貼付すると過量投与となるおそれがあるため、貼り替えの際は先に貼付している製剤を除去したことを十分確認するよう患者及び介護者等に指導すること。[13.1参照]
8.6 光線過敏症が発現するおそれがあるので、衣服で覆う等、貼付部位への直射日光を避けること。また、本剤を剥がした後も、貼付していた部位への直射日光を避けること。[14.2.6、15.2.2参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)を有する患者、電解質異常(低カリウム血症等)のある患者
QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)等があらわれることがある。[11.1.1参照]
9.1.2 洞不全症候群、心房内及び房室接合部伝導障害等の心疾患のある患者
迷走神経刺激作用により、徐脈あるいは不整脈を起こす可能性がある。
9.1.3 消化性潰瘍の既往歴のある患者
胃酸分泌の促進及び消化管運動の促進により、消化性潰瘍を悪化させる可能性がある。
9.1.4 気管支喘息又は閉塞性肺疾患の既往歴のある患者
気管支平滑筋の収縮及び気管支粘液分泌の亢進により、症状が悪化する可能性がある。
9.1.5 錐体外路障害(パーキンソン病、パーキンソン症候群等)のある患者
線条体のコリン系神経を亢進することにより、症状を誘発又は増悪する可能性がある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療での有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。ドネペジル塩酸塩経口製剤において、動物実験(ラット経口10mg/kg)で出生率の減少、死産児頻度の増加及び生後体重の増加抑制が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
ラットに14C-ドネペジル塩酸塩を経口投与したとき、乳汁中へ移行することが認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
13.1 症状
コリンエステラーゼ阻害剤の過量投与は高度な嘔気、嘔吐、流涎、発汗、徐脈、低血圧、呼吸抑制、虚脱、痙攣及び縮瞳等のコリン系副作用を引き起こす可能性がある。筋脱力の可能性もあり、呼吸筋の弛緩により死亡に至ることもあり得る。[8.5参照]
13.2 処置
アトロピン硫酸塩水和物のような3級アミン系抗コリン剤が本剤の過量投与の解毒剤として使用できる。アトロピン硫酸塩水和物の1.0〜2.0mgを初期投与量として静注し、臨床反応に基づいてその後の用量を決める。他のコリン作動薬では4級アンモニウム系抗コリン剤と併用した場合、血圧及び心拍数が不安定になることが報告されている。
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 使用するまでは包装袋を開封せず、開封後は速やかに貼付すること。
14.1.2 小児の手及び目の届かない、高温にならない所に保管すること。
14.2 薬剤貼付部位に関する注意
14.2.1 本剤は、背部、上腕部又は胸部の正常で健康な皮膚で、清潔で乾燥した体毛が少ない、衣服を着用してもこすれにくい部位に貼付すること。
14.2.2 皮膚の損傷又は湿疹・皮膚炎等がみられる部位には貼付しないこと。
14.2.3 貼付部位にクリーム、ローション又はパウダー等を塗布しないこと。
14.2.4 貼付部位の皮膚を拭い、清潔にしてから本剤を貼付すること。
14.2.5 皮膚刺激を避けるため、貼付部位を毎回変更し、同一部位への貼付は、7日以上の間隔をあけること。[8.3、8.4参照]
14.2.6 本剤を剥がした後は、貼付部位への直射日光を3週間は避けるよう指導すること。[8.6参照]
14.3 薬剤貼付時の注意
14.3.1 原則、1回につき1枚のみ貼付すること。また、貼付24時間後に新しい製剤に貼り替えること。
14.3.2 本剤が剥がれた場合は、その時点で新しい製剤に貼り替え、予定していた次の貼り替え時間に改めて新しい製剤に貼り替えること。
14.3.3 貼付部位を外部熱(過度の直射日光、あんか、サウナ等のその他の熱源)に曝露させないこと。貼付部位の温度が上昇すると本剤からのドネペジルの吸収量が増加し、血中濃度が上昇するおそれがある。
14.3.4 包装袋は手で破り開封し、本剤を取り出すこと。
14.3.5 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。
14.3.6 本剤を使用する際には、ライナーを剥がして使用すること。
14.4 薬剤貼付後の注意
14.4.1 貼付24時間後も本剤の成分が残っているため、使用済みの製剤は接着面を内側にして折りたたみ、小児の手及び目の届かない所に安全に廃棄すること。
14.4.2 本剤を扱った後は、手に付着した薬剤を除去するため、手を洗うこと。手洗い前に目に触れないこと。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物実験(イヌ)で、麻酔下にドネペジル塩酸塩を投与した場合、呼吸抑制があらわれ死亡に至ったとの報告がある。
15.2.2 本剤を用いた動物実験(モルモット)で、皮膚光感作性が確認されている。[8.6参照]
本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2D6で代謝される。[16.4参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| スキサメトニウム塩化物水和物 | 筋弛緩作用を増強する可能性がある。 | 併用薬剤の脱分極性筋弛緩作用を増強する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| コリン賦活剤アセチルコリン塩化物カルプロニウム塩化物ベタネコール塩化物コリンエステラーゼ阻害剤アンベノニウム塩化物ジスチグミン臭化物ピリドスチグミン臭化物ネオスチグミン等 | 迷走神経刺激作用などコリン刺激作用が増強される可能性がある。 | 本剤とともにコリン作動性の作用メカニズムを有している。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A阻害剤イトラコナゾールエリスロマイシン等 | 本剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性がある。 | 併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)阻害作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ブロモクリプチンメシル酸塩イストラデフィリン | 本剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性がある。 | 併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)阻害作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| キニジン硫酸塩水和物等 | 本剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性がある。 | 併用薬剤のチトクロームP450(CYP2D6)阻害作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カルバマゼピンデキサメタゾンフェニトインフェノバルビタールリファンピシン等 | 本剤の代謝を促進し、作用を減弱させる可能性がある。 | 併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の誘導による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 中枢性抗コリン剤トリヘキシフェニジル塩酸塩ピロヘプチン塩酸塩ビペリデン塩酸塩等アトロピン系抗コリン剤ブチルスコポラミン臭化物アトロピン硫酸塩水和物等 | 本剤と抗コリン剤は互いに干渉し、それぞれの効果を減弱させる可能性がある。 | 本剤と抗コリン剤の作用が、相互に拮抗する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 非ステロイド性消炎鎮痛剤 | 消化性潰瘍を起こす可能性がある。 | コリン系の賦活により胃酸分泌が促進される。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 QT延長(1〜3%未満)、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈(いずれも頻度不明)、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)(0.1〜1%未満)、失神(頻度不明)
心停止に至ることがある。[9.1.1参照]
11.1.2 心筋梗塞、心不全(いずれも頻度不明)
11.1.3 消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血(いずれも頻度不明)
本剤のコリン賦活作用による胃酸分泌及び消化管運動の促進によって消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血があらわれることがある。
11.1.4 肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1〜1%未満)、黄疸(頻度不明)
11.1.5 脳性発作(てんかん、痙攣等)、脳出血、脳血管障害(いずれも頻度不明)
11.1.6 錐体外路障害(頻度不明)
寡動、運動失調、ジスキネジア、ジストニア、振戦、不随意運動、歩行異常、姿勢異常、言語障害等の錐体外路障害があらわれることがある。
11.1.7 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、使用を中止し、体冷却、水・電解質管理等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
11.1.8 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CKの上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等があらわれた場合には、使用を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.9 呼吸困難(頻度不明)
11.1.10 急性膵炎(頻度不明)
11.1.11 急性腎障害(頻度不明)
11.1.12 原因不明の突然死(頻度不明)
11.1.13 血小板減少(頻度不明)
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 3%以上 | 1〜3%未満 | 1%未満 | 頻度不明注) | |
| 適用部位障害 | 適用部位そう痒感(24.9%)、適用部位紅斑(24.3%)、接触皮膚炎(12.6%) | 適用部位小水疱、適用部位丘疹、適用部位変色 | 適用部位浮腫、適用部位皮膚剥脱、適用部位びらん、適用部位発疹、適用部位乾燥、適用部位湿疹、適用部位蕁麻疹、適用部位ざ瘡 | |
| 皮膚 | 痒疹、湿疹 | 発疹、そう痒感 | ||
| 消化器 | 下痢、食欲不振 | 胃炎、嘔気、嘔吐、腹部不快感、消化不良、胃食道逆流性疾患、軟便 | 腹痛、便秘、流涎、嚥下障害、便失禁 | |
| 精神神経系 | 不眠 | 易怒性、攻撃性、抑うつ、易刺激性 | 興奮、不穏、眠気、幻覚、せん妄、妄想、多動、無感情、リビドー亢進、多弁、躁状態、錯乱、悪夢 | |
| 中枢・末梢神経系 | めまい | 徘徊、振戦、頭痛、昏迷 | ||
| 肝臓 | ALT、γ-GTPの上昇 | LDH、AST、Al-Pの上昇 | ||
| 循環器 | 心室性期外収縮、徐脈、心筋虚血、結節性調律、不整脈、上室性期外収縮、頻脈、血圧上昇 | 動悸、血圧低下、心房細動 | ||
| 泌尿器 | 夜間頻尿 | BUNの上昇、尿失禁、頻尿、尿閉 | ||
| 血液 | 貧血 | 白血球減少、ヘマトクリット値減少 | ||
| その他 | CK、トリグリセライドの上昇、体重減少、体重増加、湿性咳嗽、鼻漏 | 総コレステロール、アミラーゼ、尿アミラーゼの上昇、倦怠感、むくみ、転倒、筋痛、顔面紅潮、脱力感、胸痛、発汗、顔面浮腫、発熱、縮瞳 |
注)本剤承認時までの臨床試験では発現していないが、ドネペジル塩酸塩経口製剤の電子添文に記載のある副作用を、頻度不明として記載した。
アリドネパッチ27.5mg 286.4円/枚
アリドネパッチ55mg 437.6円/枚
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