胆汁・腎排泄型ACE阻害剤
| 一般名 |
テモカプリル塩酸塩
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|---|---|
| 製造/販売 | アルフレッサファーマ |
| 剤形/規格 |
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2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 血管
2.3 デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスを施行中の患者[10.1参照]
2.4 アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69)を用いた血液透析施行中の患者[10.1参照]
2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
2.6 アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[10.1参照]
2.7 アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)を投与中の患者、あるいは投与中止から36時間以内の患者[10.1参照]
高血圧症、腎実質性高血圧症、腎血管性高血圧症
通常、成人にはテモカプリル塩酸塩として1日1回2〜4mg経口投与する。ただし、1日1回1mgから投与を開始し、必要に応じ4mgまで漸次増量する。
8.1 降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.2 手術前24時間は投与しないことが望ましい。アンジオテンシン変換酵素阻害剤投与中の患者は、麻酔及び手術中にレニン−アンジオテンシン系の抑制作用による高度な血圧低下を起こすおそれがある。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。
9.1.2 高カリウム血症の患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。高カリウム血症を増悪させるおそれがある。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。
9.1.3 重症の高血圧症患者
低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす場合がある。
9.1.4 厳重な減塩療法中の患者
低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす場合がある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
クレアチニンクリアランス値が30mL/min以下、又は血清クレアチニン値が3mg/dLを超える場合には、投与量を減らすか、又は投与間隔をのばすなど慎重に投与すること。過度の血圧低下が起こるおそれがある。
9.2.2 血液透析中の患者
低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす場合がある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
肝機能が悪化するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性
妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている
本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。[9.5参照]
(1)本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
(2)次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。
・妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。
・妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。
・妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある。[2.5、9.4.1参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
低用量(例えば1mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
吸湿及び光により、微黄〜微黄白色に変化及び含量低下のおそれがあるので、アルミピロー開封後は湿気を避け、遮光して保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスの施行リポソーバー、イムソーバTR、セルソーバ[2.3参照] | ショックを起こすおそれがある。 | 陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートによりブラジキニンの産生が刺激される。さらに本剤が、ブラジキニンの代謝を抑制するため、ブラジキニンの血中濃度が上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69)を用いた透析[2.4参照] | アナフィラキシーを発現することがある。 | 陰性に荷電したAN69膜によりブラジキニンの産生が刺激される。さらに本剤が、ブラジキニンの代謝を抑制するため、ブラジキニンの血中濃度が上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アリスキレンフマル酸塩ラジレス(糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く。)[2.6参照] | 非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。 | レニン−アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(エンレスト)[2.7参照] | 血管性浮腫があらわれるおそれがある。本剤投与終了後にARNIを投与する場合は、本剤の最終投与から36時間後までは投与しないこと。また、ARNIが投与されている場合は、少なくとも本剤投与開始36時間前に中止すること。 | 併用により相加的にブラジキニンの分解が抑制され、ブラジキニンの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カリウム保持性利尿剤スピロノラクトン、トリアムテレン等カリウム補給剤塩化カリウム等 | 血清カリウム値が上昇するおそれがある。 | 機序:本剤はアンジオテンシンII産生を抑制し、アルドステロンの分泌を低下させるため、カリウム排泄を減少させる。危険因子:腎機能障害のある患者 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 利尿降圧剤トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等 | 本剤初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、低用量から投与を開始すること。増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと。 | 利尿降圧剤によるナトリウム排泄によって、レニン−アンジオテンシン系が亢進されているため、本剤によりアンジオテンシンIIの産生が抑制されると、降圧作用が増強されると考えられている。なお、最近利尿降圧剤投与を開始した患者では特に注意すること。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リチウム製剤炭酸リチウム | 他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤(カプトプリル、エナラプリルマレイン酸塩、リシノプリル水和物)との併用により、リチウム中毒を起こすことが報告されている。 | 明確な機序は不明であるが、ナトリウムイオン不足はリチウムイオンの貯留を促進するといわれているため、本剤がナトリウム排泄を促進することにより起こると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ニトログリセリン | 降圧作用が増強されるおそれがある。 | 両剤の降圧作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アリスキレンフマル酸塩 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。 | レニン−アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アンジオテンシンII受容体拮抗剤 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。 | レニン−アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 非ステロイド性消炎鎮痛剤 | 降圧作用が減弱するおそれがある。 | 非ステロイド性消炎鎮痛剤は、血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成阻害作用により、本剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 非ステロイド性消炎鎮痛剤 | 腎機能を悪化させるおそれがある。 | プロスタグランジンの合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カリジノゲナーゼ製剤 | 過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。 | 血管平滑筋の弛緩が増強される可能性がある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血管
呼吸困難を伴う顔面、舌、声門、喉頭の腫脹を症状とする血管
11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、LDH、γ-GTP、ALPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
11.1.3 血小板減少(頻度不明)
11.1.4 高カリウム血症(頻度不明)
11.1.5 天疱瘡様症状(頻度不明)
紅斑、水疱、そう痒、発熱、粘膜疹等があらわれることがある。
11.1.6 汎血球減少、無顆粒球症(いずれも頻度不明)
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.5%以上 | 0.1〜0.5%未満 | 頻度不明 | |
| 過敏症 | − | 発疹、そう痒 | 蕁麻疹 |
| 血液 | − | 白血球減少、好酸球増多 | 貧血、血小板減少 |
| 精神神経系 | − | めまい、頭痛・頭重 | 眠気 |
| 消化器 | 胃部不快感 | 嘔気、食欲不振、下痢 | 嘔吐、腹痛 |
| 肝臓 | AST上昇、ALT上昇 | ALP上昇、LDH上昇 | γ-GTP上昇、肝機能異常 |
| 循環器 | − | − | 動悸、低血圧 |
| 腎臓 | − | − | BUN上昇、血清クレアチニン上昇 |
| その他 | 咳嗽(4.5%)注)、CK上昇 | 血清カリウム上昇、口渇、抗核抗体の陽性例 | 低血糖、嗄声、胸部不快感、咽頭不快感、顔面潮紅、倦怠感、味覚異常、浮腫 |
注)男性3.1%、女性5.7%
エースコール錠1mg 16.5円/錠
エースコール錠2mg 32.9円/錠
エースコール錠4mg 61.9円/錠
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