重篤な刺激伝導障害(完全房室ブロック等)のある患者[心停止を起こすおそれがある。]
本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者
期外収縮(心室性)、発作性頻拍(心室性)、急性心筋梗塞時及び手術に伴う心室性不整脈の予防
期外収縮(上室性)、発作性頻拍(上室性)
静脈内1回投与法
リドカイン塩酸塩として、通常、成人1回50〜100mg(1〜2mg/kg)(2.5〜5mL)を、1〜2分間で、緩徐に静脈内注射する。
効果が認められない場合には、5分後に同量を投与する。また、効果の持続を期待する時には10〜20分間隔で同量を追加投与してもさしつかえないが、1時間内の基準最高投与量は300mg(15mL)とする。
本剤の静脈内注射の効果は、通常10〜20分で消失する。
過量投与を避けるため、できるだけ頻回の血圧測定及び心電図の連続監視下で投与すること。
著明な洞性徐脈、刺激伝導障害のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]
循環血液量が減少している患者、ショック状態にある患者、あるいは心不全のある患者[心停止を起こすおそれがある。]
重篤な肝機能障害又は腎機能障害のある患者[中毒症状が発現しやすくなる。]
高齢者(「5.高齢者への投与」の項参照)
徴候、症状
中枢神経系の症状
初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲の知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。
心血管系の症状
血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。
処置
呼吸を維持し、酸素を十分投与することが重要である。必要に応じて人工呼吸を行う。振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。心機能抑制に対しては、カテコールアミン等の昇圧剤を投与する。心停止を来した場合には直ちに心マッサージを開始する。
投与経路
静脈内1回投与のみに使用すること。
投与時
高度の洞性徐脈、あるいは房室ブロック等の徐拍性不整脈とともに心室性不整脈(期外収縮、頻拍)が認められる場合には、人工ペースメーカーによって心拍数を増加させ、本剤を用いること。
調製時
本剤中のリドカインは塩酸塩であり、アルカリ性注射液(炭酸水素ナトリウム液等)との配合により、リドカインが析出するので配合しないこと。
アンプルカット時
本剤はワンポイントカットアンプルであるが、アンプルのカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。
本剤の投与により、新生児にメトヘモグロビン血症があらわれたとの報告がある。
ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発するおそれがある。
安定性試験
最終包装製品を用いた長期保存試験(25℃、60%RH、36ヵ月)の結果、3年間安定であることが確認された。
本剤は、主として肝代謝酵素CYP1A2及びCYP3A4で代謝される。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
シメチジン | リドカインの血中濃度が上昇したとの報告がある。 | シメチジンの肝代謝酵素阻害作用により、リドカインの代謝が抑制されると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
メトプロロール、プロプラノロール、ナドロール | リドカインの血中濃度が上昇することがある。 | これらの薬剤の心拍出量、肝血流量減少作用により、リドカインの代謝が遅延すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
リトナビル、ホスアンプレナビルカルシウム水和物、アタザナビル硫酸塩 | リドカインのAUCが上昇することが予想される。 | 肝代謝酵素に対する競合的阻害作用により、リドカインの代謝が遅延すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | リドカインの代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、リドカイン投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 | 肝代謝酵素誘導作用により、リドカインの代謝が促進され、血中濃度が低下すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
クラスIII抗不整脈剤アミオダロン等 | 心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと。 | 併用により血中濃度が上昇し、作用が増強することが考えられる。 |
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
刺激伝導系抑制、ショック
PQ間隔の延長又はQRS幅増大等の刺激伝導系抑制、あるいは徐脈、血圧低下、ショック、意識障害等を生じ、心停止を来すことがある。また、アナフィラキシーショックを起こしたとの報告があるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。
意識障害、振戦、痙攣
意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「8.過量投与」の項参照)
悪性高熱
原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液の暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱があらわれることがある。本剤を投与中、悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに投与を中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素による過換気、酸塩基平衡の是正等、適切な処置を行うこと。また、本症は腎不全を続発することがあるので、尿量の維持を図ること。
頻度不明 | |
中枢神経注) | せん妄、めまい、眠気、不安、多幸感、しびれ感等 |
消化器注) | 嘔吐等 |
過敏症 | 蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等 |
注)症状があらわれた場合には、投与を中止又は減量し、必要に応じて適切な処置を行うこと。(太字)
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