本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者
○低並びに無ガンマグロブリン血症
○重症感染症における抗生物質との併用
<効能共通>
本剤5000mgを添付の日局注射用水96mLに溶解し、点滴静注又は直接静注する。直接静注する場合は、極めて緩徐に行うこと。
<低並びに無ガンマグロブリン血症>
通常、1回人免疫グロブリンGとして200〜600mg(4〜12mL)/kg体重を3〜4週間隔で点滴静注又は直接静注する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
<重症感染症における抗生物質との併用>
通常、成人に対しては、1回2500〜5000mg(50〜100mL)を、小児に対しては、1回50〜150mg(1〜3mL)/kg体重を使用する。なお、症状により適宜増減する。
本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、ヒト血漿を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HBV-DNA、HCV-RNA、HIV-1-RNA、HIV-2-RNA及びHAV-RNAについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。同様に、ヒトパルボウイルスB19-DNAについてはプールした試験血漿で核酸増幅検査(NAT)を実施し、10
5IU/mL以下であることを確認した健康人血漿を用いている。本剤は、Cohnの低温エタノール分画法によって得られた免疫グロブリン画分を、TNBP/TritonX-100/Tween80処理することによりエンベロープを有するウイルスを不活化し、さらにイオン交換樹脂処理により夾雑たん白やウイルスを排除する工程を施しているが、ウイルス等の感染性を完全には否定できないので、投与に際しては、次の点に十分注意すること。
血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。[9.1.5、9.1.6、9.5参照]
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
本剤は抗A及び抗B血液型抗体を有する。したがって、血液型がO型以外の患者に大量投与したとき、溶血性貧血を起こすことがある。
急性腎障害があらわれることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認すること。[9.1.8、11.1.3参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
9.1.2 IgA欠損症の患者
抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。
9.1.3 脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者
適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。大量投与による血液粘度の上昇等により脳梗塞又は心筋梗塞等の血栓塞栓症を起こすおそれがある。[9.8、11.1.7参照]
9.1.4 血栓塞栓症の危険性の高い患者
適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。大量投与による血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こすおそれがある。[11.1.7参照]
9.1.5 溶血性・失血性貧血の患者
ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。[8.2.1参照]
9.1.6 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者
ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。[8.2.1参照]
9.1.7 心機能の低下している患者
大量投与により、心不全を発症又は悪化させるおそれがある。
9.1.8 急性腎障害の危険性の高い患者
投与量及び投与速度を出来るだけ低くすることが望ましい。[8.4、11.1.3参照]
9.2 腎機能障害患者
腎機能を悪化させるおそれがある。[11.1.3参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性を否定できない。[8.2.1参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児及び幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。また、一般に脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者がみられ、血栓塞栓症を起こすおそれがある。[9.1.3、11.1.7参照]
14.1 薬剤調製時の注意
本剤を溶解するときは、室温程度に戻した添付の溶剤を用い、静かに溶解する。急激な振盪溶解は避けること。
生理食塩液、ソルビトール加電解質液等の中性に近い輸液・補液剤以外の他剤との混合注射を避けること。
使用後の残液は、細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり、しかも保存剤が含有されていない。
14.2 薬剤投与時の注意
溶解したとき、不溶物の認められるものは使用しないこと。また、溶解後著しい沈殿のあるものは使用してはならない。
溶解した液をシリコンオイルが塗布されているシリンジで採取した場合、浮遊物が発生する可能性がある。投与前に薬液中に浮遊物がないか目視で確認すること。浮遊物が認められた場合には投与しないこと。
コアリングの可能性があるので、投与に際してはフィルター(ろ過網)付きの点滴セットあるいはフィルター針を使用すること。
本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与した場合は、医薬品名(販売名)、製造番号、投与した日、投与を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
非経口用生ワクチン麻疹ワクチンおたふくかぜワクチン風疹ワクチンこれら混合ワクチン水痘ワクチン等 | 本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので、生ワクチンの接種は本剤投与後3ヵ月以上延期すること。また、生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は、投与後3ヵ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい。 | 本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応により生ワクチンの効果が減弱されるおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
悪寒、全身紅潮、胸内苦悶、頻脈、脈拍微弱、血圧低下、喘鳴、呼吸困難、チアノーゼ等異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.2 無菌性髄膜炎(頻度不明)
大量投与により無菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心、嘔吐あるいは意識混濁等)があらわれることがある。
11.1.3 急性腎障害(頻度不明)
腎機能検査値(BUN、血清クレアチニン等)の悪化、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.4、9.1.8、9.2参照]
(0.1%未満
注))
11.1.5 肺水腫(頻度不明)
呼吸困難等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.6 肝機能障害、黄疸(0.1〜5%未満注))
AST、ALT、Al-P、γ-GTP、LDHの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.7 血栓塞栓症(頻度不明)
大量投与例で、血液粘度の上昇等により、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、中枢神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、胸痛、突然の呼吸困難、息切れ、下肢の疼痛・浮腫等の症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。[9.1.3、9.1.4、9.8参照]
注)発現頻度は承認時までの臨床試験及び使用成績調査の結果に基づく
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
0.1%未満注) | 頻度不明 | |
過敏症 | ふるえ、呼吸困難、発疹、じん麻疹様発疹、そう痒感、冷汗、発熱、蒼白 | |
循環器 | 頻脈 | 血圧上昇、高血圧 |
肝臓 | 血清ビリルビン上昇 | |
呼吸器 | 喘息様症状、咳嗽、胸部不快感 | |
消化器 | 悪心 | 腹痛、嘔吐、食欲減退 |
泌尿器 | クレアチニン上昇、たん白尿 | |
投与部位 | 注入部位紅斑 | |
その他 | 悪寒、戦慄、ふらつき、気分不快感 | 関節痛、筋肉痛、背部痛、不安、倦怠感、疲労、潮紅、頭痛、多汗症、咽喉絞扼感 |
注)発現頻度は承認時までの臨床試験及び使用成績調査の結果に基づく
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