1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.2 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあり、特に本剤投与開始及び増量後1〜2日に多く認められている。本剤の投与開始前及び休薬後の再開前に腫瘍量に基づく腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、リスクに応じた予防措置を適切に行うこと。また、本剤投与開始前及び投与中は、血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[7.3、7.6、8.2-8.4、11.1.1参照]
<効能共通>
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
<再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫>
2.2 用量漸増期における強いCYP3A阻害剤(リトナビル、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、コビシスタット含有製剤、エンシトレルビル、ロナファルニブ
○再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
○再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫
○急性骨髄性白血病
<再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)>
通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は第1週目に20mg、第2週目に50mg、第3週目に100mg、第4週目に200mg、第5週目に400mgをそれぞれ1日1回、7日間食後に経口投与する。その後の維持投与期は、400mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
<再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫>
イブルチニブとの併用において、通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は第1週目に20mg、第2週目に50mg、第3週目に100mg、第4週目に200mg、第5週目に400mgをそれぞれ1日1回、7日間食後に経口投与する。その後の維持投与期は、400mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
<急性骨髄性白血病>
アザシチジン併用の場合
通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は1日目に100mg、2日目に200mg、3日目に400mgをそれぞれ1日1回、食後に経口投与する。その後の維持投与期は、400mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
シタラビン少量療法併用の場合
通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は1日目に100mg、2日目に200mg、3日目に400mg、4日目に600mgをそれぞれ1日1回、食後に経口投与する。その後の維持投与期は、600mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
<効能共通>
8.1 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査(血球数算定等)を行うこと。[7.3、7.6、7.9、11.1.2参照]
<再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)>
8.2 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、以下の点に注意すること。[1.2、7.3、11.1.1参照]
・本剤投与開始前に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行い、電解質異常のある場合は本剤投与開始に先立ち補正を行うこと。
・本剤投与開始前から、高尿酸血症治療剤の投与を行うこと。
・本剤投与開始前に、X線(CT検査)等による腫瘍量の評価により、腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、本剤投与開始前及び用量漸増期には、腫瘍量に応じて、以下の表1及び表2を参考に対応すること。なお、具体的な方法、検査頻度等は患者の状態を考慮して判断すること。
| 水分補給注1) | 本剤による治療開始の2日前から開始し、用量漸増期を通じて1.5〜2L/日を摂取する。 | |
| 血液検査頻度 | 20mg及び50mgの各初回投与時注2) | 投与前、投与6〜8時間後、投与24時間後 |
| その後の各漸増用量の初回投与時 | 投与前 | |
| 水分補給注1) | 本剤による治療開始の2日前から開始し、用量漸増期を通じて1.5〜2L/日摂取に加え、補液投与(可能であれば150〜200mL/時)を行う。 | |
| 血液検査頻度 | 20mg及び50mgの各初回投与時注2) | 投与前及び投与4、8、12、24時間後 |
| その後の各漸増用量の初回投与時 | 投与前、投与6〜8時間後、投与24時間後 | |
注1):経口摂取困難な場合は補液投与を行うこと。
注2):クレアチニンクリアランスが80mL/min未満の中腫瘍量の患者では、20mg及び50mgの各初回投与時には高腫瘍量の場合の表を参照すること。
・本剤投与開始後、2週間以上休薬した後に再開する場合には、本剤投与開始前及び用量漸増期と同様の腫瘍崩壊症候群のリスク評価及び予防措置を行うこと。
・維持投与期においては、定期的に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行うこと。
<再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫>
8.3 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、以下の点に注意すること。[1.2、7.6、11.1.1参照]
・本剤投与開始前に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行い、電解質異常のある場合は本剤投与開始に先立ち補正を行うこと。
・本剤投与開始前から、高尿酸血症治療剤の投与を行うこと。
・本剤投与開始前に、X線(CT検査)等による腫瘍量の評価により、腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、本剤投与開始前及び用量漸増期には、腫瘍量に応じて、以下の表3及び表4を参考に対応すること。なお、具体的な方法、検査頻度等は患者の状態を考慮して判断すること。
| 水分補給注1) | 本剤による治療開始の2日前から開始し、用量漸増期を通じて1.5〜2L/日を摂取する。 | |
| 血液検査頻度 | 20mg及び50mgの各初回投与時 | 投与前、投与6〜8時間後、投与24時間後 |
| その後の各漸増用量の初回投与時 | 投与前 | |
| 水分補給注1) | 本剤による治療開始の2日前から開始し、用量漸増期を通じて1.5〜2L/日摂取に加え、補液投与(可能であれば150〜200mL/時)を行う。 | |
| 血液検査頻度 | 20mg及び50mgの各初回投与時 | 投与前及び投与4、8、12、24時間後 |
| その後の各漸増用量の初回投与時 | 投与前、投与6〜8時間後、投与24時間後 | |
注1):経口摂取困難な場合は補液投与を行うこと。
・本剤投与開始後、用量漸増期に1週間以上休薬した後又は維持投与期に2週間以上休薬した後に再開する場合には、本剤投与開始前及び用量漸増期と同様の腫瘍崩壊症候群のリスク評価及び予防措置を行うこと。
・維持投与期においては、定期的に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行うこと。
<急性骨髄性白血病>
8.4 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、以下の点に注意すること。[1.2、11.1.1参照]
・白血球数が25×103/μL未満となるよう、本剤開始前に調整を行うこと。
・本剤投与開始前に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行い、電解質異常のある場合は本剤投与開始に先立ち補正を行うこと。
・本剤投与開始前から、高尿酸血症治療剤の投与を行うこと。
・本剤投与開始前及び用量漸増期には、以下の表5を参考に対応すること。また、本剤投与開始前に、腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、腫瘍崩壊症候群の危険因子を有する患者の場合、頻回な検査の実施や本剤を減量して開始するなど、追加の予防策を考慮すること。なお、具体的な方法、検査頻度等は患者の状態を考慮して判断すること。
| 水分補給注1) | 本剤による治療開始前から用量漸増期を通じて1.5〜2L/日を摂取する。 | |
| 血液検査頻度 | 用量漸増期 | 投与前、投与6〜8時間後 |
| 用量漸増期最終日 (アザシチジン併用の場合400mg到達時。シタラビン少量療法併用の場合600mg到達時) |
上記に加え、投与24時間後 | |
・維持投与期においては、定期的に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行うこと。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)の患者
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。[16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後30日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.4.2 生殖可能な年齢の男性に本剤を投与する場合には、性腺に対する影響を考慮すること。動物実験(イヌ)において、本剤1日1回400mg投与した時の臨床曝露量の約0.5倍の曝露に相当する用量で精原細胞を標的とした精巣毒性が認められており、回復性は確認されていない
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。胚・胎児発生試験(マウス)において、本剤1日1回400mg投与した時の臨床曝露量の約1.2倍の曝露に相当する用量で着床後胚損失率上昇及び胎児体重減少が報告されている
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において乳汁中への移行が認められている
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
海外臨床試験において、皮膚有棘細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌等の二次性悪性腫瘍が発現したとの報告がある
本剤は主にCYP3Aにより代謝される。また、本剤はP-糖タンパク(P-gp)の基質であり、P-gpを阻害する。[16.4参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| <再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫の用量漸増期>強いCYP3A阻害剤リトナビル[ノービア]クラリスロマイシン[クラリス]イトラコナゾール[イトリゾール]ボリコナゾール[ブイフェンド]ポサコナゾール[ノクサフィル]コビシスタット含有製剤[スタリビルド]エンシトレルビル[ゾコーバ]ロナファルニブ[ゾキンヴィ]セリチニブ[ジカディア][2.2、7.4、7.7、10.2、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照] | 腫瘍崩壊症候群の発現が増強されるおそれがある。 | これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| <再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫の維持投与期、急性骨髄性白血病>強いCYP3A阻害剤クラリスロマイシンイトラコナゾールボリコナゾールポサコナゾール 等[7.4、7.7、7.10、10.1、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照] | 本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 中程度のCYP3A阻害剤エリスロマイシンジルチアゼムフルコナゾール 等[7.4、7.7、7.10、16.7.8参照] | 本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| グレープフルーツ含有食品 | 本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、摂取しないよう注意すること。 | これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 強い又は中程度のCYP3A誘導剤カルバマゼピンリファンピシンエファビレンツ 等セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品[16.7.3、16.7.8参照] | 本剤の効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。 | これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 生ワクチン又は弱毒生ワクチン | 接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行うこと。 | ワクチン接種に対する応答が不明であり、また、生ワクチンによる二次感染が否定できない。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ワルファリン[16.7.5参照] | ワルファリンの作用が増強されるおそれがあるので、プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等の血液凝固能の変動に十分注意すること。 | 機序は不明であるが、ワルファリンの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| P-gp阻害剤シクロスポリンタクロリムスリファンピシン 等[16.7.3参照] | 本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤がP-gpを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 治療域の狭いP-gpの基質となる薬剤ジゴキシンエベロリムスシロリムス 等[16.7.6参照] | これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アジスロマイシン[16.7.4参照] | 本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用を避けることが望ましい。 | 機序は不明であるが、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.1 腫瘍崩壊症候群(3.0%)
異常が認められた場合は、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[1.2、7.3、7.6、8.2-8.4参照]
11.1.2 骨髄抑制
好中球減少(41.8%)、貧血(14.9%)、血小板減少(25.1%)、発熱性好中球減少症(14.4%)等があらわれることがある。[7.3、7.6、7.9、8.1参照]
11.1.3 感染症(29.4%)
肺炎(10.5%)、敗血症(5.8%)等があらわれることがある。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 10%未満 | |
| 循環器 | − | 心房粗動 |
| 消化器 | 下痢(23.8%) |
|
| 一般・全身障害及び投与部位の状態 | 疲労(10.0%) | 無力症 |
| 肝胆道系障害 | − | 血中ビリルビン増加 |
| 代謝及び栄養障害 | 食欲減退(10.0%) | 体重減少 |
| 筋骨格系及び結合組織障害 | − | 関節痛 |
| 神経系障害 | − | 浮動性めまい/失神 |
| 腎及び尿路障害 | − | 血中クレアチニン増加 |
| 呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | − | 呼吸困難 |
| 血管障害 | − | 出血 |
ベネクレクスタ錠10mg 872.8円/錠
ベネクレクスタ錠50mg 3956.6円/錠
ベネクレクスタ錠100mg 7585.9円/錠
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。