本剤は、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者に対してのみ投与すること。
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者[9.2.1、16.6.1参照]
2.3 次の薬剤を投与中の患者
カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品[10.1、16.7.2参照]
C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変又はC型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
<未治療又は前治療歴のないC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善>
<C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善>
通常、成人には、1日1回1錠(ソホスブビルとして400mg及びベルパタスビルとして100mg)を12週間経口投与する。
<前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善>
リバビリンとの併用において、通常、成人には、1日1回1錠(ソホスブビルとして400mg及びベルパタスビルとして100mg)を24週間経口投与する。
<共通>
8.1 本剤とアミオダロンをやむを得ず併用する場合には、患者又はその家族に対して併用投与により徐脈等の重篤な不整脈が発現するリスクがあること等を十分説明するとともに、不整脈の徴候又は症状(失神寸前の状態又は失神、浮動性めまい、ふらつき、倦怠感、脱力、極度の疲労感、息切れ、胸痛、錯乱、記憶障害等)が認められた場合には、速やかに担当医師に連絡するよう指導すること。また、併用投与開始から少なくとも3日間は入院下で適切に心電図モニタリングを実施し、退院後少なくとも2週間は患者又はその家族等が心拍数を連日確認し、不整脈の徴候の発現等に注意して十分に観察し、異常が認められた場合には適切な対応を行うこと。なお、アミオダロンを長期間投与した際の血漿からの消失半減期は19〜53日と極めて長いため、本剤の投与開始前にアミオダロンの投与を中止した患者に対しても、上記の対応を実施すること。[10.2参照]
8.2 B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、C型肝炎ウイルス量が低下する一方B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。[9.1.1参照]
8.3 高血圧があらわれることがあるので、投与中は血圧の推移等に十分注意すること。[11.1.1参照]
8.4 C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、ワルファリンやタクロリムスの増量、低血糖によりインスリン等の糖尿病治療薬の減量が必要となった症例が報告されており、本剤による抗ウイルス治療に伴い、使用中の併用薬の用量調節が必要になる可能性がある。特にワルファリン、タクロリムス等の肝臓で代謝される治療域の狭い薬剤や糖尿病治療薬を使用している患者に本剤を開始する場合には、原則、処方医に連絡するとともに、PT-INRや血中薬物濃度、血糖値のモニタリングを頻回に行うなど患者の状態を十分に観察すること。
<リバビリンとの併用の場合>
8.5 投与開始前にヘモグロビン量が12g/dL以上であることを確認すること。貧血があらわれることがあるので、ヘモグロビン量を定期的に測定するなど観察を十分に行うこと。[11.1.3参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者
B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)に本剤を投与する場合は、HBV DNA量等のB型肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、C型肝炎ウイルス量が低下する一方B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。[8.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者
投与しないこと。[2.2、16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
<リバビリンとの併用の場合>
妊娠していないことを確認するため、治療開始に先立ち、妊娠検査を実施すること。[9.5.1参照]
9.5 妊婦
<リバビリンとの併用の場合>
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。本剤と併用投与するリバビリンの動物実験で催奇形性及び胚・胎児致死作用が認められている。[9.4参照]
<リバビリンと併用しない場合>
9.5.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ソホスブビルの動物実験(ラット及びウサギ)、及びベルパタスビルの動物実験(マウス、ラット及びウサギ)において胚・胎児発生に対する影響は見られていない。
9.6 授乳婦
<リバビリンとの併用の場合>
9.6.1 授乳を避けさせること。動物実験(ラット)で、リバビリンの乳汁中への移行が認められている。
<リバビリンと併用しない場合>
9.6.2 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、ソホスブビルの主要代謝物であるGS-331007の乳汁中への移行が認められており、ベルパタスビルの乳汁中への移行が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、既往歴や合併症を伴っていることが多くみられる。
ベルパタスビルは血漿蛋白との結合率が高いため血液透析により除去できる可能性は低いが、循環血液中のソホスブビルの主要代謝物であるGS-331007は、血液透析により53%が除去される(ソホスブビル400mgを投与した場合、4時間の血液透析により投与量換算で約18%)。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
ソホスブビル及びベルパタスビルはトランスポーター(P糖蛋白(P-gp)、乳癌耐性蛋白(BCRP))の基質である。[16.7.1、16.7.2参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リファンピシン(リファジン)[2.3、16.7.2参照] | ソホスブビル及びベルパタスビルの血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 | これらの薬剤のP-gp及びCYPの誘導作用により、ソホスブビル及びベルパタスビルの血漿中濃度が低下するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カルバマゼピン(テグレトール)フェニトイン(アレビアチン)フェノバルビタール(フェノバール)[2.3、16.7.2参照] | ソホスブビル及びベルパタスビルの血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 | これらの薬剤のP-gp及びCYPの誘導作用により、ソホスブビル及びベルパタスビルの血漿中濃度が低下するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品[2.3参照] | ソホスブビル及びベルパタスビルの血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 | これらの薬剤のP-gp及びCYPの誘導作用により、ソホスブビル及びベルパタスビルの血漿中濃度が低下するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 制酸剤水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等 | ベルパタスビルの血漿中濃度が低下し、ベルパタスビルの効果が減弱するおそれがある。 | ベルパタスビルの溶解性は胃内pHの上昇により低下する。胃内pHを上昇させる薬剤との併用によりベルパタスビルの血漿中濃度が低下する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| H2受容体拮抗剤ファモチジン等[16.7.2参照] | ベルパタスビルの血漿中濃度が低下し、ベルパタスビルの効果が減弱するおそれがある。本剤と併用する場合は、H2受容体拮抗剤を本剤と同時に投与又は本剤投与と12時間の間隔をあけて投与すること。 | ベルパタスビルの溶解性は胃内pHの上昇により低下する。胃内pHを上昇させる薬剤との併用によりベルパタスビルの血漿中濃度が低下する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| プロトンポンプ阻害剤オメプラゾール等[16.7.2参照] | ベルパタスビルの血漿中濃度が低下し、ベルパタスビルの効果が減弱するおそれがある。本剤と併用する場合は、本剤の食後投与後、プロトンポンプ阻害剤を4時間の間隔をあけてオメプラゾール換算量として20mgを投与すること。 | ベルパタスビルの溶解性は胃内pHの上昇により低下する。胃内pHを上昇させる薬剤との併用によりベルパタスビルの血漿中濃度が低下する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アミオダロン[8.1参照] | 徐脈等の不整脈があらわれるおそれがあり、海外の市販後においてソホスブビル含有製剤とアミオダロンの併用により死亡例も報告されていることから、本剤とアミオダロンの併用は可能な限り避けること。ただし、やむを得ず本剤とアミオダロンを併用する場合は、不整脈の徴候の発現等に注意して十分に観察し、異常が認められた場合には適切な対応を行うこと。また、β遮断剤を投与中の患者、又は心疾患、重度の肝疾患を有する患者では、アミオダロンの併用により徐脈等の不整脈の発現リスクが増加するおそれがある。 | 機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジゴキシン[16.7.2参照] | ジゴキシンの血漿中濃度が上昇するおそれがある。本剤と併用する場合は、ジゴキシンの血中濃度のモニタリングを行うなど慎重に投与すること。 | ベルパタスビルの腸管でのP-gpの阻害作用により、ジゴキシンの血漿中濃度が増加する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リファブチン[16.7.2参照] | ソホスブビル及びベルパタスビルの血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 | リファブチンのP-gp及びCYP誘導作用により、ソホスブビル及びベルパタスビルの血漿中濃度が低下するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エファビレンツ[16.7.2参照] | ベルパタスビルの血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 | エファビレンツのP-gp及びCYP誘導作用により、ベルパタスビルの血漿中濃度が低下するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含有する製剤[16.7.2参照] | テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含有する製剤と本剤との併用により、テノホビルの血漿中濃度が上昇する。 | 作用機序は不明であるが、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩が基質となるP-gp及びBCRPに対するベルパタスビルの阻害作用が関与すると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ロスバスタチン[16.7.2参照] | ロスバスタチンの血漿中濃度が上昇し、横紋筋融解症を含むミオパチーの発現リスクが高くなるおそれがある。 | ベルパタスビルのBCRP及びOATP阻害作用により、ロスバスタチンの血漿中濃度が増加する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アトルバスタチン[16.7.2参照] | アトルバスタチンの血漿中濃度が上昇し、横紋筋融解症を含むミオパチーの発現リスクが高くなるおそれがある。 | ベルパタスビルのP-gp、BCRP及びOATP阻害作用により、アトルバスタチンの血漿中濃度が増加する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ダビガトラン | 本剤と併用する場合は、ダビガトランの血漿中濃度が増大するおそれがあるので、血液凝固に関する検査値のみならず、出血や貧血等患者の状態を十分に観察すること。 | ベルパタスビルのP-gp阻害作用により、ダビガトランの血漿中濃度が増加する。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<共通>
11.1.1 高血圧(頻度不明)
収縮期血圧180mmHg以上又は拡張期血圧110mmHg以上に至った例も報告されている。[8.3参照]
11.1.2 脳血管障害(頻度不明)
脳梗塞、脳出血等の脳血管障害があらわれることがある。
<リバビリンとの併用の場合>
11.1.3 貧血(21.7%)[8.5参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<リバビリンとの併用の場合>
| 5%未満 | 5%以上10%未満 | 頻度不明 | |
| 感染 | 咽頭炎 | ||
| 神経系 | 頭痛 | ||
| 循環器 | 徐脈 | ||
| 消化器 | 悪心、口内炎 | ||
| 皮膚 | そう痒症、発疹 | 血管性浮腫 | |
| その他 | 倦怠感 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<リバビリンと併用しない場合>
| 5%未満 | 頻度不明 | |
| 神経系 | 頭痛 | |
| 循環器 | 徐脈 | |
| 皮膚 | 発疹 | 血管性浮腫 |
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