新型インフルエンザ(H5N1)の予防
通常、0.5mLを3週間以上の間隔をおいて、筋肉内又は皮下に2回注射する。
本剤は、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」及び「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」に準拠して使用すること。
本剤は、免疫原性は確認されており、新型インフルエンザに対する防御あるいは症状の低減が期待できるが、臨床的な有効性は評価されていない。
被接種者またはその保護者に、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること。
被接種者またはその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、注意して接種すること。
本剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある者又はアレルギー反応を呈する可能性がある者。
明らかな発熱を呈している者、急性感染症又は重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者。
予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者。
心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者。
過去にけいれんの既往のある者。
過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者。抗体反応が十分得られない内因的又は医原性の免疫抑制のある者。
間質性肺炎、気管支喘息等の呼吸器疾患を有する者。
血小板減少症、凝固障害のある者、抗凝固療法を施行している者。[筋肉注射部位の出血のおそれがある。]
上記に掲げる者のほか、予防接種を行うに際し、注意を要する状態にある者。
接種時
接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用いる。
容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒した後、注射針をさし込み、所要量を注射器内に吸引する。この操作に当たっては雑菌が迷入しないよう注意する。また、栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用してはならない。
注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
注射針及び注射筒は、被接種者ごとに取り換えなければならない。
本剤は、他剤と混合しないこと。
【細胞培養インフルエンザワクチンH5N1「タケダ」1mLの接種方法】に従い接種すること。
接種部位
接種部位は、アルコールで消毒する。通常、上腕三角筋中央部又は大腿前外側部に筋肉内接種もしくは上腕伸側に皮下接種する。なお、同一接種部位に反復して接種することは避けること。
筋肉内注射に当たっては、組織・神経などへの影響を避けるため下記の点に注意すること。
針長は、筋肉内注射に足る長さで、組織や血管あるいは骨に到達しないよう、被接種者ごとに適切な針長を決定すること。
神経走行部位を避けること。
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
本剤は使用前に室温に戻すこと。
使用前によく振り混ぜること。
投与の前に懸濁液を目視により確認すること。異物混入又は異常な外観の場合は使用しないこと。
ゴム栓に注射針を穿刺後、本剤は速やかに使用すること。穿刺後の安定性は室温で3時間である。
誤って凍結させたものは使用してはならない。
未使用のワクチン又は廃棄材は、地域の規制に従って廃棄すること。
免疫抑制剤による治療を受けている者は本剤の効果が得られないおそれがあるので、併用に注意すること。
国内臨床試験
筋肉内接種
成人(18〜59歳)
健康成人169例を対象とした第II/III相試験において、筋肉内2回接種による副反応は85例中33例(38.8%)であった。
主な副反応の発現頻度は、局所症状では注射部位疼痛11例(12.9%)、全身症状では頭痛、疲労及び倦怠感がそれぞれ8例(9.4%)であった。接種回毎の注射部位局所反応及び全身症状の発現頻度は、それぞれ1回目11.8%及び22.4%、2回目8.4%及び8.4%であった。
高齢者(65歳以上)
健康高齢者85例を対象とした第III相試験において、筋肉内2回接種による副反応は85例中14例(16.5%)であった。主な副反応は倦怠感(5例、5.9%)であった。接種回毎の注射部位局所反応及び全身症状の発現頻度は、それぞれ1回目1.2%及び12.9%、2回目0.0%及び3.6%であった。
小児(6ヵ月〜17歳)
健康小児60例を対象とした第III相試験において、筋肉内2回接種による副反応は60例中16例(26.7%)であった。主な副反応の発現頻度は、注射部位疼痛9例(15.0%)、睡眠障害1例(10.0%、6〜35ヵ月群(10例)、睡眠障害は6〜35ヵ月群でのみ調査)、及び発熱5例(8.3%)であった。接種回毎の注射部位局所反応及び全身症状の発現頻度は、それぞれ1回目16.7%及び13.3%、2回目10.0%及び5.0%であった。
皮下接種
成人(18〜59歳)
健康成人169例を対象とした第II/III相試験において皮下2回接種による副反応は84例中31例(36.9%)であった。
主な副反応の発現頻度は、局所症状では注射部位疼痛11例(13.1%)、注射部位紅斑7例(8.3%)、全身症状では筋肉痛7例(8.3%)、頭痛6例(7.1%)及び疲労5例(6.0%)であった。接種回毎の注射部位局所反応及び全身症状の発現頻度は、それぞれ1回目15.5%及び19.0%、2回目13.8%及び6.3%であった。
海外臨床試験
健康成人及び高齢者(18〜60歳以上)を対象とした海外第I/II相試験(45例)及び海外第III相の2試験(それぞれ561例、2,850例)の合計3,456例において、筋肉内2回接種による副反応は3,456例中1,368例(39.6%)であった。主な副反応の発現頻度は、局所症状では注射部位疼痛367例(10.6%)、全身症状では頭痛364例(10.5%)、疲労297例(8.6%)及び倦怠感216例(6.3%)であった。接種回毎の注射部位局所反応及び全身症状の発現頻度は、それぞれ1回目12.8%及び24.4%、2回目10.8%及び13.1%であった。
免疫不全被験者319例及び慢性疾患患者各300例を対象に実施された海外第III相臨床試験における安全性プロファイルは、健康成人と同等であった。
以下は、インフルエンザHAワクチンの添付文書に記載されている重大な副反応情報である。
ショック、アナフィラキシー(0.1%未満)
があらわれることがあるので、接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(0.1%未満)
があらわれることがある。通常、接種後数日から2週間以内に
発熱、頭痛、けいれん、運動障害、意識障害等があらわれる。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
脳炎・脳症、脊髄炎、視神経炎(頻度不明)
があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
ギラン・バレー症候群(頻度不明)
があらわれることがあるので、
四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
けいれん(頻度不明)
があらわれることがあるので、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
喘息発作(頻度不明)
を誘発することがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
血小板減少性紫斑病、血小板減少(頻度不明)
があらわれることがあるので、
紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等の異常が認められた場合には、血液検査等を実施し、適切な処置を行うこと。
血管炎(アレルギー性紫斑病、アレルギー性肉芽腫性血管炎、白血球破砕性血管炎等)(頻度不明)
があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明)
があらわれることがあるので、
発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状に注意し、異常が認められた場合には、胸部X線等の検査を実施し、適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
ネフローゼ症候群(頻度不明)
があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
国内第II/III相試験における健康成人(18〜59歳)対象の筋肉内接種(85例)または皮下接種(84例)、国内第III相試験における健康高齢者(65歳以上、85例)及び健康小児(6ヵ月〜17歳、60例)対象の筋肉内接種、並びに海外臨床試験における健康成人(18〜59歳、3,056例)、健康高齢者(60歳以上、400例)及び健康小児(6ヵ月〜17歳、489例)対象の筋肉内接種による副反応
筋肉内接種による副反応(18歳以上)注)
5%以上 | 0.1%〜5%未満 | 頻度不明 | |
感染症および寄生虫症 | 鼻咽頭炎 | ||
血液およびリンパ系障害 | リンパ節症 | ||
精神障害 | 不眠症 | ||
神経系障害 | 頭痛 | 傾眠 | 浮動性めまい、感覚障害(錯覚感、異常感覚、口腔知覚不全、感覚鈍麻、味覚異常、灼熱感)、失神 |
免疫系障害 | 過敏症 | ||
眼障害 | 結膜炎、眼刺激 | ||
耳および迷路障害 | 耳痛、回転性めまい、突発難聴 | ||
血管障害 | 低血圧 | ||
呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 喉頭痛、口腔咽頭不快感、口腔咽頭痛 | 呼吸困難、鼻閉、鼻漏、咽喉乾燥、咳嗽 | |
胃腸障害 | 悪心 | 嘔吐、下痢、腹痛、消化不良 | |
皮膚および皮下組織障害 | 多汗症、発疹 | そう痒症、蕁麻疹 | |
筋骨格系および結合組織障害 | 関節痛、筋肉痛 | ||
一般・全身障害および投与部位の状態 | 疲労、倦怠感、注射部位反応(注射部位疼痛) | 悪寒、発熱、注射部位反応(注射部位出血、注射部位熱感) | インフルエンザ様疾患、胸部不快感、注射部位反応(注射部位刺激感、注射部位そう痒感、注射部位運動障害、注射部位硬結、注射部位紅斑、注射部位腫脹) |
注)発現頻度は、健康成人(18〜59歳)を対象とした国内第II/III相試験(85例)及び高齢者を対象とした国内第III相試験(85例)における筋肉内接種例の結果により記載した。なお、海外で実施された臨床試験のみで発現した事象は、頻度不明として記載した。
筋肉内接種による副反応(6ヵ月〜17歳)注)
5%以上 | 0.1%〜5%未満 | 頻度不明 | |
感染症および寄生虫症 | 気管支炎、上気道感染症 | 鼻咽頭炎 | |
代謝および栄養障害 | 食欲減退 | ||
精神障害 | 睡眠障害a) | 不眠症 | |
神経系障害 | 浮動性めまい、頭痛 | 泣き、傾眠、感覚鈍麻 | |
眼障害 | 眼刺激 | ||
耳および迷路障害 | 回転性めまい | ||
呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 喘息 | 咳嗽、口腔咽頭痛、鼻漏 | |
胃腸障害 | 下痢、嘔吐 | 腹痛、悪心 | |
皮膚および皮下組織障害 | 多汗症、そう痒症 | ||
筋骨格系および結合組織障害 | 関節痛、筋肉痛、四肢痛 | ||
一般・全身障害および投与部位の状態 | 発熱、注射部位反応(注射部位疼痛) | 悪寒、疲労、注射部位反応(注射部位紅斑、注射部位出血、注射部位硬結、注射部位腫脹) | 易刺激性、倦怠感、冷感、腋窩痛、注射部位反応(注射部位そう痒感) |
注)発現頻度は、小児を対象とした国内第III相試験(60例)における筋肉内接種例の結果により記載した。なお、海外で実施された臨床試験のみで発現した事象は、頻度不明として記載した。
a)睡眠障害は6〜35ヵ月群(10例)でのみ調査し、当該群で1例に認められた。
皮下接種による副反応(国内第II/III相試験、18〜59歳)
5%以上 | 0.1%〜5%未満 | |
神経系障害 | 頭痛 | 浮動性めまい、鎮静 |
呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 喘息、口腔咽頭痛 | |
皮膚および皮下組織障害 | 多汗症、そう痒症、顔面腫脹 | |
筋骨格系および結合組織障害 | 筋肉痛 | |
一般・全身障害および投与部位の状態 | 疲労、注射部位反応(注射部位疼痛、注射部位紅斑) | 悪寒、倦怠感、注射部位反応(注射部位出血、注射部位硬結、注射部位知覚異常、注射部位腫脹) |
細胞培養インフルエンザワクチンH5N1「タケダ」1mL
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