1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 本剤の投与により重度の消化管出血があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。重度の出血が認められた場合には本剤を再投与しないこと。[9.1.2、9.1.3、11.1.1参照]
1.3 本剤の投与により消化管穿孔があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。消化管穿孔が認められた場合には本剤を再投与しないこと。[9.1.1、11.1.2参照]
2.1 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナート及びフルオロウラシルとの併用において、通常、成人には2週間に1回、アフリベルセプト ベータ(遺伝子組換え)として1回4mg/kg(体重)を60分かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
8.1 高血圧があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与期間中は定期的に血圧を測定すること。また、高血圧クリーゼがあらわれることがあるので、血圧の推移等に十分注意して投与すること。[7.3、9.1.4、11.1.4参照]
8.2 ネフローゼ症候群、蛋白尿があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与期間中は定期的に尿蛋白を検査すること。[7.4、11.1.5参照]
8.3 好中球減少症、発熱性好中球減少症があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与期間中は定期的に血液検査を行うこと。[7.1、11.1.6参照]
8.4 創傷治癒を遅らせる可能性があるので、手術を予定している場合には手術の前に本剤の投与を中断すること。手術後の投与再開は、患者の状態に応じて判断すること。[9.1.6、11.1.9参照]
8.5 血栓性微小血管症があらわれることがあるので、定期的に検査を行う等観察を十分に行うこと。[11.1.13参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 消化管等腹腔内の炎症を合併している患者
消化管穿孔があらわれるおそれがある。[1.3、11.1.2参照]
9.1.2 消化管出血等の出血が認められている患者
出血が増強されるおそれがある。[1.2、11.1.1参照]
9.1.3 出血素因や凝固系異常のある患者
出血があらわれるおそれがある。[1.2、11.1.1参照]
9.1.4 高血圧症の患者
高血圧が悪化するおそれがある。[7.3、8.1、11.1.4参照]
9.1.5 血栓塞栓症又はその既往歴のある患者
心筋梗塞、脳血管障害、肺塞栓症等があらわれるおそれがある。
9.1.6 大きな手術の術創が治癒していない患者
創傷治癒遅延による合併症があらわれるおそれがある。[8.4、11.1.9参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ウサギ胚胎児試験において、AUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量から催奇形性及び胎児毒性が認められている
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁中への移行は不明である。また、非臨床試験等のデータがなく、ヒトで哺乳中の児における影響は不明である。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
高齢者では下痢及び脱水の発現について十分に観察を行うこと。海外臨床試験において、65歳未満の患者と比較し、65歳以上の患者では下痢、浮動性めまい、無力症、体重減少及び脱水の発現率が高かった。
14.1 薬剤調製前の注意
調製前にバイアル内を目視検査し、溶液に変色あるいは微粒子が認められた場合は使用しないこと。
14.2 薬剤調製時の注意
14.2.1 本剤は無菌的に希釈調製を行うこと。
14.2.2 必要量を注射筒で抜き取り、生理食塩液又は5%ブドウ糖液で希釈し、0.6〜8mg/mLの濃度になるように調製すること。
14.2.3 DEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate:フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕を含むポリ塩化ビニル(PVC)製あるいはポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)製の輸液バッグを使用すること。
14.2.4 希釈後は速やかに使用すること。なお、希釈後やむを得ず保存する場合は、2〜8℃では24時間、25℃では8時間以内に使用すること。
14.2.5 本剤のバイアルは1回使い切りである。バイアル中の未使用残液は適切に廃棄すること。本剤は保存剤を含まない。
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 本剤は0.2ミクロンのポリエーテルスルホン製フィルターを用いて投与すること。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製又はナイロン製のフィルターは使用しないこと。
14.3.2 他の薬剤との配合試験は実施していないため、他剤との混注はしないこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
海外臨床試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている。
15.2 非臨床試験に基づく情報
サルを用いた6ヵ月間反復投与毒性試験において、AUC比較で臨床曝露量の約1.3倍に相当する用量から、椎骨(頸椎、胸椎及び腰椎)等の骨軟骨性外骨腫が認められるとともに、雌雄の受胎能に影響を及ぼす可能性が示唆された
外箱開封後は遮光して保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗凝固剤ヘパリンワルファリン等 | 出血があらわれるおそれがある。 | 出血リスクを増強させるおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 出血(31.1%)
消化管出血(6.2%)、血尿(0.7%)、術後出血(頻度不明)、鼻出血(25.7%)、頭蓋内出血(頻度不明)、肺出血(頻度不明)、喀血(0.9%)等があらわれることがあり、死亡に至る例も報告されている。[1.2、9.1.2、9.1.3参照]
11.1.2 消化管穿孔(頻度不明)
死亡に至る例も報告されている。[1.3、9.1.1参照]
11.1.3 瘻孔(0.9%)
11.1.4 高血圧(37.4%)、高血圧クリーゼ(頻度不明)[7.3、8.1、9.1.4参照]
11.1.5 ネフローゼ症候群(0.3%)、蛋白尿(11.9%)[7.4、8.2参照]
11.1.6 好中球減少症(42.6%)、発熱性好中球減少症(3.7%)[7.1、8.3参照]
11.1.7 重度の下痢(17.1%注))
11.1.8 Infusion reaction(15.8%)
気管支痙攣、呼吸困難、血管浮腫及びアナフィラキシー等のinfusion reactionがあらわれることがある。[7.5参照]
11.1.9 創傷治癒遅延(頻度不明)
創離開、縫合不全(いずれも頻度不明)等の創傷治癒遅延による合併症があらわれることがあるので、創傷治癒遅延による合併症が認められた場合には創傷が治癒するまで本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.4、9.1.6参照]
11.1.10 可逆性後白質脳症症候群(頻度不明)
可逆性後白質脳症症候群(症状:痙攣発作、頭痛、精神状態変化、視覚障害等)があらわれることがある。
11.1.11 動脈血栓塞栓症(2.1%)
一過性脳虚血発作(0.3%)、
11.1.12 静脈血栓塞栓症(7.6%)
深部静脈血栓症(2.1%)、肺塞栓症(3.6%)等があらわれることがある。
11.1.13 血栓性微小血管症(0.4%)
破砕赤血球を伴う貧血、血小板減少、腎機能障害等が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。[7.4、8.5参照]
11.1.14 動脈解離(頻度不明)
大動脈解離を含む動脈解離があらわれることがある
注)臨床試験で認められたGrade3以上の副作用の頻度を記載した。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 5%未満 | 頻度不明 | |
| 血液 | 血小板減少症、白血球減少症 | ||
| 神経系障害 | 頭痛 | ||
| 呼吸器 | 発声障害 | 口腔咽頭痛、鼻漏 | |
| 消化器 | 上腹部痛、食欲減退、下痢、口内炎、腹痛 | アフタ性口内炎、肛門周囲痛、歯痛、虚血性大腸炎、痔核 | |
| 皮膚 | 手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚色素過剰 | ||
| 泌尿器 | 血清クレアチニン上昇 | ||
| 肝臓 | AST上昇、ALT上昇 | ||
| 心臓 | 心不全 | 駆出率低下 | |
| 感染症 | 上気道感染、肺炎、カテーテル留置部位感染、歯感染、尿路感染、鼻咽頭炎 | ||
| その他 | 無力症、脱水、体重減少、疲労 | 顎骨壊死 |
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