本剤は,ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される患者に対してのみ投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
中等度以上(Child-Pugh分類B又はC)の肝機能障害又は非代償性肝疾患のある患者[アスナプレビルの血中濃度が上昇する。](「薬物動態」の項参照)
次の薬剤を使用中の患者
イトラコナゾール,フルコナゾール,ホスフルコナゾール,ボリコナゾール,ミコナゾール(経口剤又は注射剤),クラリスロマイシン,エリスロマイシン,ジルチアゼム,ベラパミル塩酸塩,
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
通常,成人には1回2錠を1日2回食後に経口投与し,投与期間は12週間とする。
肝機能障害,肝予備能低下があらわれ,肝不全に至ることがあるので,投与中は肝機能検査を毎週実施すること。肝機能の悪化が認められた場合には,より頻回に検査を行い,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また,肝酵素上昇の有無にかかわらず,黄疸,腹水,肝性脳症等を伴う肝不全があらわれることがあるので,患者の状態を十分に観察し,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。総ビリルビン値が基準値上限5倍又はALT(GPT)値が基準値上限10倍を超えて上昇した場合,もしくは総ビリルビン及びALT(GPT)が基準値上限の2倍及び5倍を超えて同時に上昇した場合には,直ちに投与を中止し,再投与しないこと。(「重大な副作用」の項参照)
動物実験で,ダクラタスビルによる胚・胎児致死作用及び催奇形性作用等
本剤の投与に際しては,妊娠検査を行い,妊娠していないことを確認すること。
患者には,本剤が胎児等に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し理解させ,本剤投与中及び投与終了後5週間は適切な避妊を徹底するよう指導すること。(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
なお,アスナプレビルは,エチニルエストラジオール含有製剤(経口避妊薬)の血中濃度を低下させるおそれがある。
本剤投与中に妊娠が確認された場合又は疑われた場合には,直ちに投与を中止すること。
B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs抗原陰性,かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において,C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後,C型肝炎ウイルス量が低下する一方B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。本剤投与に先立って,B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者に本剤を投与する場合は,HBV DNA量等のB型肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど,B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。
急性腎障害等の腎機能障害があらわれることがあるので,定期的に腎機能検査を行うなど,観察を十分に行うこと。(「重大な副作用」の項参照)
クレアチニンクリアランス50mL/min未満の腎機能障害患者[血液透析を行っていない場合,アスナプレビルの血中濃度が上昇するおそれがある。](「薬物動態」の項参照)
B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者[再活性化するおそれがある。](「重要な基本的注意」の項参照)
本剤の過量投与に対する解毒剤はない。過量投与時の処置には,バイタルサインのモニタリングや臨床症状の観察等の一般的な支持療法を行う。本剤の成分はいずれも分子量が大きく血漿蛋白結合率が高いため,透析は本剤の血中濃度減少に有効ではない。
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
ダクラタスビル
CYP3A4及びP糖蛋白(P-gp)の基質である。また,P-gp,有機アニオントランスポーター(OATP)1B1,1B3及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の阻害作用を有する。
アスナプレビル
CYP3A,P-gp及びOATP1B1の基質である。また,CYP2D6,OATP1B1,1B3及びP-gpの阻害作用及びCYP3A4の誘導作用を有する。
ベクラブビル
CYP3A,P-gp及びBCRPの基質であり,P-gp,BCRP,OATP1B1及び1B3の阻害作用,CYP3A4の誘導作用を有する。
(「薬物動態」の項参照)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| イトラコナゾール(イトリゾール)フルコナゾール(ジフルカン)ホスフルコナゾール(プロジフ)ボリコナゾール(ブイフェンド)ミコナゾール(経口剤又は注射剤)(フロリード) | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照)肝胆道系の副作用が発現し,また重症化するおそれがある。 | これらの薬剤のCYP3Aの阻害作用により,本剤の代謝が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クラリスロマイシン(クラリス)エリスロマイシン(エリスロシン) | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照)肝胆道系の副作用が発現し,また重症化するおそれがある。 | これらの薬剤のCYP3Aの阻害作用により,本剤の代謝が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジルチアゼム(ヘルベッサー)ベラパミル塩酸塩(ワソラン) | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照)肝胆道系の副作用が発現し,また重症化するおそれがある。 | これらの薬剤のCYP3Aの阻害作用により,本剤の代謝が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(スタリビルド) エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(ゲンボイヤ) ダルナビル エタノール付加物・コビシスタット(プレジコビックス) ダルナビル エタノール付加物・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(シムツーザ) | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照)肝胆道系の副作用が発現し,また重症化するおそれがある。 | これらの薬剤のCYP3Aの阻害作用により,本剤の代謝が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| テラプレビル(テラビック) | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照)肝胆道系の副作用が発現し,また重症化するおそれがある。 | これらの薬剤のCYP3Aの阻害作用により,本剤の代謝が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リトナビル(ノービア)アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ)インジナビル硫酸塩エタノール付加物(クリキシバン)サキナビルメシル酸塩(インビラーゼ)ダルナビルエタノール付加物(プリジスタ)ネルフィナビルメシル酸塩(ビラセプト)ホスアンプレナビルカルシウム水和物(レクシヴァ)ロピナビル・リトナビル(カレトラ)オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル(ヴィキラックス) | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照)肝胆道系の副作用が増加し,また重症化するおそれがある。 | これらの薬剤のCYP3A及び/又はOATP1B1の阻害作用により,本剤の代謝及び/又は本剤の肝臓への取り込みが阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リファンピシン(リファジン)リファブチン(ミコブティン) | 本剤の血中濃度が低下し,治療効果を減弱させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により,本剤の代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェニトイン(アレビアチン)ホスフェニトインナトリウム水和物(ホストイン)カルバマゼピン(テグレトール)フェノバルビタール(フェノバール) | 本剤の血中濃度が低下し,治療効果を減弱させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により,本剤の代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| デキサメタゾン全身投与(デカドロン) | 本剤の血中濃度が低下し,治療効果を減弱させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により,本剤の代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| モダフィニル(モディオダール) | 本剤の血中濃度が低下し,治療効果を減弱させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により,本剤の代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エファビレンツ(ストックリン)エトラビリン(インテレンス)ネビラピン(ビラミューン) | 本剤の血中濃度が低下し,治療効果を減弱させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により,本剤の代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ボセンタン水和物(トラクリア) | 本剤の血中濃度が低下し,治療効果を減弱させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により,本剤の代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | 本剤の血中濃度が低下し,治療効果を減弱させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により,本剤の代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| シクロスポリン(サンディミュン) | アスナプレビルの血中濃度が上昇するおそれがある。アスナプレビルの肝臓への取り込みが減少し,本剤の治療効果を減弱させるおそれがある。 | シクロスポリンのOATP1B1の阻害作用によりアスナプレビルの肝臓への取り込みが阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フレカイニド(タンボコール)プロパフェノン(プロノン) | これらの薬剤の血中濃度が上昇し,不整脈が起こるおそれがある。 | アスナプレビルのCYP2D6阻害作用により,これらの薬剤(治療域が狭いCYP2D6の基質)の代謝が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ロスバスタチン | ロスバスタチンの血中濃度が上昇する。併用する場合には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(「薬物動態」の項参照) | 本剤のOATP1B1及び1B3,BCRP阻害作用により,ロスバスタチンの肝臓への取り込み,肝臓及び腸からの排泄が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アトルバスタチンフルバスタチンシンバスタチンピタバスタチンプラバスタチン | これらの薬剤の血中濃度が上昇するので,注意すること。(「薬物動態」の項参照) | 本剤のOATP1B1及び1B3阻害作用により,これらの薬剤の肝臓への取り込みが阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| デキストロメトルファン臭化水素酸塩メトプロロール | これらの薬剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照)本剤とこれらの薬剤を併用する場合には,患者の状態を十分に観察し,必要に応じてこれらの薬剤の減量を考慮すること。 | アスナプレビルのCYP2D6阻害作用により,これらの薬剤の代謝が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジゴキシン | ジゴキシンの血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照)ジゴキシンを併用する場合には,ジゴキシンの血中濃度をモニタリングし,投与量を調節すること。 | 本剤のP-gp阻害作用により,ジゴキシンのバイオアベイラビリティが増加及び/又は排泄が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ミダゾラム | ミダゾラムの血中濃度が低下するので,注意すること。(「薬物動態」の項参照) | 本剤のCYP3A4誘導作用により,ミダゾラムの代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| オメプラゾールエスシタロプラムセルトラリン | これらの薬剤の血中濃度が低下するので,注意すること。(「薬物動態」の項参照) | 本剤のCYP2C19誘導作用により,これらの薬剤の代謝が促進される可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エチニルエストラジオール含有製剤(経口避妊薬) | エチニルエストラジオールの血中濃度が低下するおそれがある。(「薬物動態」の項参照) | 本剤のCYP3A4の誘導作用により,エチニルエストラジオールの代謝が促進される。 |
国内臨床試験において,217例中123例(56.7%)に副作用が認められた。主な副作用は,ALT(GPT)増加50例(23.0%),AST(GOT)増加42例(19.4%),好酸球増加症37例(17.1%),発熱36例(16.6%),高ビリルビン血症32例(14.7%)等であった。(承認時)
肝機能障害,肝不全
ALT(GPT)増加(13.8%注1)),AST(GOT)増加(9.2%注1)),高ビリルビン血症(5.5%注2)),胆のう障害(2.3%),プロトロンビン時間延長,アルブミン低下等があらわれ,黄疸,腹水,肝性脳症等を伴う肝不全(頻度不明注3))に至ることがある。発熱等の症状が認められた場合には,肝機能検査等を行うなど患者の状態を十分に観察すること。肝機能の悪化が認められた場合には,より頻回に検査を行い,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)
多形紅斑(1.4%)
多形紅斑があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
血小板減少(2.8%)
血小板減少があらわれることがあるので,定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明注3))
間質性肺炎があらわれることがあるので,咳嗽,呼吸困難,発熱,肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には,胸部X線,胸部CT,血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
腎機能障害(頻度不明)
急性腎障害等の腎機能障害があらわれることがあるので,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)
注1)基準値上限5倍超,注2)基準値上限2.5倍超,注3)ダクラタスビル及びアスナプレビルの2剤併用療法で自発報告された副作用
次のような副作用があらわれた場合には,症状に応じて適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 5%以上10%未満 | 5%未満 | |
| 皮膚 | そう痒症 | 発疹 | |
| 血液 | 好酸球増加症(17.1%) | リンパ球減少症 | 貧血,好中球減少症 |
| 全身 | 発熱(16.6%) | 倦怠感 | 疲労 |
| 精神神経系 | 頭痛 | ||
| 消化器 | 食欲減退,下痢 | 上腹部痛,悪心,便秘,嘔吐,腹部不快感,消化不良 | |
| 腎臓 | 血中クレアチニン増加 | ||
| 肝臓胆管系 | ALT(GPT)増加(23.0%),AST(GOT)増加(19.4%),高ビリルビン血症(14.7%) | γ-GTP増加,血中ALP増加,胆のう炎 | |
| 筋骨格系 | 関節痛,筋肉痛 | ||
| その他 | 血中アルブミン減少,CRP増加,血中尿酸増加,リパーゼ増加 |
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