本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
ジヒドロピリジン系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[10.1参照]
高血圧症
成人には1日1回1錠(バルサルタンとして80mg及びアムロジピンとして5mg)を経口投与する。本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。
本剤は、バルサルタン80mg及びアムロジピン5mgの配合剤であり、バルサルタンとアムロジピン双方の副作用が発現するおそれがあり、適切に本剤の使用を検討すること。[5.2参照]
バルサルタンを含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中に肝炎等の重篤な肝障害があらわれたとの報告があるので、肝機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[11.1.2参照]
手術前24時間は投与しないことが望ましい。アンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中の患者は、麻酔及び手術中にレニン−アンジオテンシン系の抑制作用による低血圧を起こす可能性がある。
降圧作用に基づくめまい、ふらつき等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
アムロジピンは血中濃度半減期が長く投与中止後も緩徐な降圧効果が認められるので、本剤投与中止後に他の降圧剤を使用するときは、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与は避けること。腎血流量の減少や糸球体濾過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。
9.1.2 高カリウム血症の患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与は避けること。バルサルタンは高カリウム血症を増悪させるおそれがある。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。
9.1.3 脳血管障害のある患者
過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。
9.1.4 厳重な減塩療法中の患者
一過性の急激な血圧低下(失神及び意識消失等を伴う)を起こすおそれがある。[11.1.5参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害(血清クレアチニン値が3.0mg/dL以上)のある患者
腎機能障害を悪化させるおそれがある。
9.2.2 血液透析中の患者
一過性の急激な血圧低下(失神及び意識消失等を伴う)を起こすおそれがある。[11.1.5参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害のある患者、特に胆汁性肝硬変及び胆汁うっ滞のある患者
バルサルタンは主に胆汁中に排泄されるため、血中濃度が上昇するおそれがある。外国において、軽度〜中等度の肝障害患者でバルサルタンの血漿中濃度が、健康成人と比較して約2倍に上昇することが報告されている。また、アムロジピンは主に肝で代謝されるため、肝障害患者では、血中濃度半減期の延長及び血中濃度−時間曲線下面積(AUC)が増大することがある。
9.4 生殖能を有する者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。バルサルタンを含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤並びにアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、妊娠中期〜末期に投与された患者に胎児・新生児死亡、羊水過少症、胎児・新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全、羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、脳、頭蓋顔面の奇形、肺の発育形成不全等があらわれたとの報告がある
。また、海外で実施されたアンジオテンシン変換酵素阻害剤におけるレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある
。また、アムロジピンにおける動物実験で妊娠末期に投与すると妊娠期間及び分娩時間が延長することが認められている。[2.3
参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。バルサルタンにおける動物実験(ラットの授乳期経口投与)の3mg/kg/日で、乳汁中へ移行するとの報告がある。また、アムロジピンはヒトで乳汁中へ移行することが報告されている。更に、バルサルタンにおける動物実験(ラットの周産期及び授乳期経口投与)の600mg/kg/日で出生児の低体重及び生存率の低下が認められており、200mg/kg/日以上で外表分化の遅延が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
バルサルタン単独投与による高齢者での薬物動態試験で、バルサルタンの血漿中濃度が非高齢者に比べて高くなることが認められている。また、アムロジピン単独投与による高齢者での薬物動態試験で、血漿中濃度が高く、血中濃度半減期が長くなる傾向が認められている。
13.1 症状
バルサルタンの過量投与により、著しい血圧低下が生じ、意識レベルの低下、循環虚脱に至るおそれがある。また、アムロジピンの過量投与により、過度の末梢血管拡張が起こり、ショックを含む著しい血圧低下と反射性頻脈を起こすことがある。
13.2 処置
アムロジピン服用直後に活性炭を投与した場合、アムロジピンのAUCは99%減少し、服用2時間後では49%減少したことから、アムロジピン過量投与時の吸収抑制処置として活性炭投与が有効であるとの報告がある。
心・呼吸機能のモニターを行い、頻回に血圧を測定する。著しい血圧低下が認められた場合は、四肢の挙上、輸液の投与等、心血管系に対する処置を行う。症状が改善しない場合は、循環血液量及び排尿量に注意しながら昇圧剤の投与を考慮する。なお、バルサルタン及びアムロジピンの血漿蛋白結合率はそれぞれ93〜96%、98%であり、血液透析によって除去できない。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
本剤は吸湿性を有するため、服用直前にPTPシートから取り出すこと。[20.参照]
本剤はPTPシートから取り出す際、縁が欠ける又は割れる可能性があるが、品質に問題はない。欠けや割れが生じた場合は全量服用すること。PTPシートからの取り出しは、爪を立てずにゆっくりと押し出すことが望ましい。
本剤は舌の上にのせて唾液を湿潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
15.1 臨床使用に基づく情報
因果関係は明らかでないが、アムロジピンによる治療中に心筋梗塞や不整脈(心室性頻拍を含む)がみられたとの報告がある。
本剤は吸湿性を有するため、PTPシートのまま保存すること。[14.1.2参照]
アムロジピンの代謝には主として薬物代謝酵素CYP3A4が関与していると考えられている。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アリスキレンフマル酸塩ラジレス(糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[2.4参照] | 非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。 | レニン−アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アリスキレンフマル酸塩 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。 | レニン−アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。 | レニン−アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
利尿降圧剤フロセミドトリクロルメチアジド等[11.1.5参照] | 一過性の急激な血圧低下(失神及び意識消失等を伴う)を起こすおそれがある。 | 利尿降圧剤で治療を受けている患者にはレニン活性が亢進している患者が多く、本剤が奏効しやすい。重度のナトリウムないし体液量の減少した患者では、まれに症候性の低血圧が生じることがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
カリウム保持性利尿剤スピロノラクトントリアムテレン等カリウム補給製剤塩化カリウム | 血清カリウム値が上昇することがある。 | バルサルタンのアルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。危険因子:腎機能障害 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール | 血清カリウム値が上昇することがある。 | バルサルタンによる血清カリウム値の上昇とドロスピレノンの抗ミネラルコルチコイド作用によると考えられる。危険因子:腎障害患者、血清カリウム値の高い患者 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
シクロスポリン | 血清カリウム値が上昇することがある。 | 高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
トリメトプリム含有製剤スルファメトキサゾール・トリメトプリム | 血清カリウム値が上昇することがある。 | 血清カリウム値の上昇が増強されるおそれがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)インドメタシン等 | バルサルタンの降圧作用が減弱することがある。 | NSAIDsの腎プロスタグランジン合成阻害作用により、バルサルタンの降圧作用が減弱することがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)インドメタシン等 | 腎機能を悪化させるおそれがある。 | NSAIDsの腎プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。危険因子:高齢者 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ビキサロマー | バルサルタンの血中濃度が約30〜40%に低下したとの報告がある。バルサルタンの作用が減弱するおそれがある。 | リン酸結合性ポリマーにより、同時に服用した場合、バルサルタンの吸収を遅延あるいは減少させる可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
リチウム | リチウム中毒を起こすことが報告されている。 | バルサルタンのナトリウム排泄作用により、リチウムの蓄積が起こると考えられている。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP3A4阻害剤エリスロマイシンジルチアゼムリトナビルイトラコナゾール等 | エリスロマイシン及びジルチアゼムとの併用により、アムロジピンの血中濃度が上昇したとの報告がある。 | アムロジピンの代謝が競合的に阻害される可能性が考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP3A4誘導剤リファンピシン等 | アムロジピンの血中濃度が低下するおそれがある。 | アムロジピンの代謝が促進される可能性が考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
グレープフルーツジュース | アムロジピンの降圧作用が増強されるおそれがある。 | グレープフルーツに含まれる成分がアムロジピンの代謝を阻害し、アムロジピンの血中濃度が上昇する可能性が考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
降圧作用を有する他の薬剤 | 降圧作用が増強されるおそれがある。 | 共に降圧作用を有するため。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
シンバスタチン | シンバスタチン80mg(国内未承認の高用量)とアムロジピンの併用により、シンバスタチンのAUCが77%上昇したとの報告がある。 | 機序不明 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
タクロリムス | タクロリムスとアムロジピンとの併用によりタクロリムスの血中濃度が上昇し、腎障害等のタクロリムスの副作用が発現するおそれがある。併用時にはタクロリムスの血中濃度をモニターし、必要に応じてタクロリムスの用量を調整すること。 | アムロジピンとタクロリムスは、主としてCYP3A4により代謝されるため、併用によりタクロリムスの代謝が阻害される可能性が考えられる。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血管浮腫(頻度不明)
顔面、口唇、咽頭、舌の腫脹等が症状としてあらわれることがある。
(いずれも頻度不明)[8.2参照]
(頻度不明)
(頻度不明)
11.1.5 ショック、失神、意識消失(いずれも頻度不明)
冷感、嘔吐、意識消失等があらわれた場合には投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。[9.1.4、9.2.2、10.2参照]
(いずれも頻度不明)
11.1.7 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.8 低血糖(頻度不明)
脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病治療中の患者であらわれやすい。
11.1.9 房室ブロック(頻度不明)
徐脈、めまい等の初期症状があらわれることがある。
11.1.10 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるのでこのような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
(いずれも頻度不明)
11.1.12 天疱瘡、類天疱瘡(いずれも頻度不明)
水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談すること。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
0.5%以上 | 0.5%未満 | 頻度不明 | |
皮膚障害 | 発疹 | そう痒症、蕁麻疹 | 紅斑、脱毛症、多汗症、皮膚変色、光線過敏症 |
精神神経系障害 | めまい | 頭痛、頭重、傾眠、不眠症、錯感覚、末梢神経障害 | しびれ、味覚異常、異常感覚、気分動揺、不安、振戦、錐体外路症状 |
血液及びリンパ系障害 | − | 貧血、好酸球数増加、白血球数増加 | 紫斑 |
心臓障害 | − | 期外収縮、心房細動、動悸 | 頻脈、徐脈、洞房ブロック、洞停止 |
血管障害 | − | 低血圧、ほてり | 起立性低血圧、血管炎 |
胃腸障害 | − | 便秘、下痢、腹痛、口内炎、消化不良、腹部膨満、胃腸炎 | 嘔気、嘔吐、膵炎、口内乾燥、排便回数増加 |
肝胆道系障害 | γ-GTP増加、ALT増加 | AST増加、血中ビリルビン増加 | 腹水、ALP増加、LDH増加 |
呼吸器障害 | − | 鼻咽頭炎 | 咳嗽、咽喉頭疼痛、呼吸困難、鼻出血 |
腎及び尿路障害 | 尿中血陽性 | 頻尿、血中クレアチニン増加、尿中蛋白陽性 | 排尿障害、多尿、BUN増加、尿管結石 |
代謝及び栄養障害 | 高脂血症、高尿酸血症、糖尿病 | − | 食欲不振、高血糖、総蛋白減少、尿中ブドウ糖陽性、血中カリウム減少、低ナトリウム血症 |
筋骨格系障害 | − | 腰背部痛、筋痙縮 | 筋肉痛、関節痛、関節腫脹、筋緊張亢進、四肢重感 |
その他 | CK増加 | 浮腫、耳鳴、無力症(脱力感等)、けん怠感 | 胸痛、疲労、口渇、体重増加、体重減少、疼痛、発熱、視力異常、視覚障害、歯肉肥厚、女性化乳房、勃起障害、インフルエンザ、過敏症 |
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効果の強さ
投稿日: 2017/09/15 参考率: 96%(26人/27人)
内科/60代/処方経験あり