医療用具、器材及び衛生材料の殺菌
被滅菌物を収納した気密な高濃度酸化エチレン(95vol%以上)カートリッジ式滅菌装置の中を排気した後、本品を気化充填して、被滅菌物を滅菌消毒する。
高濃度酸化エチレンカートリッジ式滅菌器の一滅菌工程ごとに、本品1本を用いる。
酸化エチレン濃度400〜735mg/Lにおいて
滅菌温度55℃の時、ガス暴露時間90〜150分
滅菌温度37℃の時、ガス暴露時間150分
の処理を行う。
ポリ塩化ビニール製で放射線滅菌した物については、本品による再滅菌をしない。
被滅菌物中の残留酸化エチレンによる障害をさけるため、滅菌終了後はエアレーション等によりガスの置換を十分に行う。
酸化エチレンの吸入あるいは曝露により頭痛、吐き気、呼吸困難、チアノーゼ、肺浮腫などの急性障害および体重減少、強い疲労感、筋力低下などの慢性障害を起こすことがあるので注意する。
蒸気や乾熱滅菌法が出来ない物に限ってガス滅菌法を使用する。
本品は、可燃性ガス(空気中の燃焼範囲3〜100vol%)のため、火気には十分注意する。
急性毒性
高濃度の酸化エチレンは粘膜を刺激し、中枢神経系の機能を低下させる。また急性中毒の遅発症状としては吐き気、下痢、肺浮腫、麻ひ、けいれん等を起こし、死に至ることがある。
慢性毒性
10ppm、33ppmおよび100ppmの酸化エチレンをFischer344系ラットに吸入させ、骨髄細胞の染色体異常の誘発と酸化エチレンの慢性毒性作用を検査し、奇形学的作用は認められなかったが、100ppmの濃度で1腹当たりの胎仔数の減少と妊娠期間の延長に統計学的有意性が認められたとの報告がある。
Hogstedtらは733人の酸化エチレン曝露を受けた人の疫学調査を行った結果広範囲で断続的な低濃度の酸化エチレン曝露により悪性腫瘍になる危険が増えていると警告している。
突然変異誘発性
種々の原核細胞(バクテリア)系や真核細胞系(動物や高等植物)による結果は酸化エチレンが突然変異を起こすことを示している。
マウスの骨髄細胞や精巣細胞の染色体の突然変異を誘発することを示した報告がなされている。
発がん性
酸化エチレンは人に対して発がん性の疑いのある物質であり、以下のような評価を受けている。
日本産業衛生学会
第1群(人に対して発がん性のある物質)
ACGIH(米国産業衛生監督官会議)
A2(人に対して発がん性が疑われる物質)
IARC(国際ガン研究機関)
グループ1(人に対して発がん性のある物質)
一般的な注意
使用場所には換気扇などを取り付けて換気を良くし、作業環境における酸化エチレン濃度を許容濃度以下に保つ。
使用場所には酸化エチレン検知管(測定範囲0.1〜100ppm)などを備えておき、滅菌装置の開放時などに作業環境を調べ、作業管理を行う。
使用場所などには漏洩検知警報器を設置することが好ましい。
酸化エチレンを常時使用する場所には水による消火設備があることが好ましい。
酸化エチレンは、特定第二類物質及び特別管理物質のため、特定化学物質障害予防規則に従って取扱う。
滅菌作業上の注意
滅菌装置は定期的に漏洩検査を行う。
滅菌装置の操作は安全な滅菌作業に関して教育訓練を受けた者が装置の取扱説明書に従って行う。
滅菌が達成されたことを確認する手段を講じておく。
滅菌後の被滅菌物を保管する部屋などの換気は十分にする。
取扱者への注意
必要なとき以外は滅菌装置の付近にいない。
ガス状の本品を吸入しないように注意する。
液状の本品が目に入ったり手足についた時は多量の水で洗い、医師の手当てを受ける。
酸化エチレン濃度が高い場所に入らなければならないときは空気呼吸器(JIS T 8155)を着用する。
また、有機ガス用防毒マスク(JIS T 8152)を使用する場合は適用範囲に注意する。
本品を多量に吸入したときは、清浄な空気の場所に移し、直ちに人工呼吸あるいは酸素吸入を行い、医師の手当を受ける。
被滅菌物に残留したガスに対する注意
滅菌処理した医療用具に残留する酸化エチレンや、二次生成物であるエチレンクロルヒドリン、エチレングリコールにより、それを使用した患者に発赤、腫脹その他の過敏症状、気道炎症、肺浮腫、溶血反応、血球異常などが起こったとの報告がある。このため滅菌処理後のガスの置換は十分に行う。
容器取扱上の注意
容器は投げつけたり、衝撃を与えないよう静かに取扱う。
使用後の容器は火中に投じない。
貯蔵上の注意
容器は幼児の手の届かないところに保管する。
容器は、直射日光、熱源や電気装置の近くを避け30℃以下で保管する。
容器置場には「火気厳禁」の表示を行い消火器を常備する。
容器の周囲2m以内には、火気又は引火性、発火性の物、腐食性のある化学薬品等と一緒に置かない。
エルナックS-95
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