1.1 本剤を投与する場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 外国で実施された臨床試験において、中等度及び重度の肝機能障害を有する患者に対して本剤を投与後に真菌感染症により死亡に至った例が報告されていることから、これらの患者への投与の可否を慎重に判断すること。[9.3、16.6.2参照]
2.1 本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある患者
2.2 ブレオマイシン塩酸塩を投与中の患者[10.1参照]
CD30陽性の下記疾患
○ホジキンリンパ腫
○末梢性T細胞リンパ腫
<未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫>
ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジンとの併用において、通常、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として以下の用量を2週間に1回、最大12回点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
・成人には、1回1.2mg/kg(体重)
・小児には、1回48mg/m2(体表面積)
<未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫>
シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩及びプレドニゾロンとの併用において、通常、成人には、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8mg/kg(体重)を最大8回点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
<再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫>
通常、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8mg/kg(体重)を点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
<効能共通>
8.1 Infusion reactionがあらわれることがあるので、本剤の投与は重度のInfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。2回目以降の本剤投与時に初めて重度のInfusion reactionを発現することもあるので、本剤投与中はバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)、臨床検査値及び自他覚症状等、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.5参照]
8.2 骨髄抑制があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。また、好中球減少やリンパ球減少があらわれることがあるので、免疫不全の徴候について綿密な検査を行うこと。[7.2、11.1.2、11.1.4参照]
8.3 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.6参照]
8.4 急性膵炎があらわれることがあるので、定期的に膵酵素を含む検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.8参照]
8.5 劇症肝炎、肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。[11.1.9参照]
<未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫>
8.6 本剤とドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジンとの併用投与、又は本剤とシクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)との併用投与において、高頻度に発熱性好中球減少症が認められたことから、成人に本剤とこれらの薬剤を併用投与する際には、最新のガイドライン等を参考に予防投与(一次予防)を含めたG-CSF製剤の使用を考慮すること。[11.1.4参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 感染症を合併している患者
骨髄抑制等により、感染症が増悪するおそれがある。[11.1.2参照]
9.1.2 末梢神経障害のある患者
末梢神経障害が増悪するおそれがある。[7.3、7.4、7.6、11.1.1参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス値<30mL/min)
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の構成成分であるモノメチルアウリスタチンE(MMAE)の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。MMAEの血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。
外国臨床試験において、中等度及び重度(Child-Pugh分類B及びC)の肝機能障害を有する患者に対して本剤を投与後に真菌感染症により死亡に至った例が報告されている。[1.2、16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
パートナーが妊娠する可能性のある男性患者には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。動物試験(ラット)で精巣毒性が報告されている
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合は、本剤投与による胎児への危険性(流産又は胎児毒性)について患者に十分説明すること。動物試験(ラット)では、ヒト推奨用量(1.8mg/kgを3週に1回投与)と同程度の曝露量となる3mg/kgの投与で、胚・胎児毒性が認められた
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行は不明である。
9.7 小児等
<未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫>
低出生体重児、新生児、乳児又は5歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
<未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
<再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫>
低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 溶解
(1)本剤は、1バイアルに日局注射用水10.5mLを加えると、濃度5mg/mLの溶解液になる。溶解の際には、日局注射用水をゆっくりとバイアル内に注入し、泡立てないよう静かに回転させて混和すること。溶解後の液は無色澄明〜わずかに乳白色であることを確認する。変色や粒子が認められた場合は使用しないこと。
<必要量の計算>
体重から換算した投与量
必要量(mL)=用量(mg/kg)×体重注1)(kg)/5(mg/mL)
注1)体重が100kgを超える場合は100kgとして計算する。
体表面積から換算した投与量注2)
必要量(mL)=用量(mg/m2)×体表面積(m2)/5(mg/mL)
注2)未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫の小児患者に対して適用される。
(2)溶解後速やかに希釈しない場合は、2〜8℃(凍結させないこと)で保存し、24時間以内に投与すること。未使用分は廃棄すること。
14.1.2 希釈
(1)必要量をバイアルから抜き取り最終濃度が0.4〜1.2mg/mLとなるように日局生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈する。強く攪拌すると凝集体を形成するおそれがあるので、バッグを静かに回転させて混和すること。他剤と混和してはならない。
(2)希釈後速やかに投与しない場合は、2〜8℃(凍結させないこと)で保存し、溶解後から24時間以内に投与すること。未使用分は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
投与前後には、ラインを生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液でフラッシュすること。
15.1 臨床使用に基づく情報
臨床試験において本剤に対する抗体の産生が報告されている。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 単回投与毒性試験(ラット)及び反復投与毒性試験(ラット及びサル)において胸腺のリンパ組織枯渇が認められた。
15.2.2 本剤のリンカーの構成成分であるマレイミドは、細菌突然変異試験法(エームズ試験)において変異原性が認められた。
個装箱開封後は遮光保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ブレオマイシン塩酸塩(ブレオ)[2.2参照] | 肺毒性(間質性肺炎等)が発現するおそれがある。 | 機序は不明であるが、ブレオマイシン塩酸塩を含む併用化学療法(ABVD療法注))に本剤を併用したところ、非感染性の肺毒性の発現がABVD療法よりも高い頻度で認められた。 |
注)ABVD:ドキソルビシン塩酸塩、ブレオマイシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ダカルバジン
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4阻害剤ケトコナゾール等 | 本剤をケトコナゾールと併用したところ、本剤の血中濃度には変化は認められなかったものの、MMAEの血中濃度のAUC0-∞及びCmaxが34%及び25%増加した。本剤を強力なCYP3A4阻害剤と併用すると、好中球減少症等のMMAEによる毒性の発現頻度が高まる可能性があるので、併用する場合は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | MMAEの代謝には主にCYP3A4が関与しているため、CYP3A4阻害剤との併用により、MMAEの代謝が阻害され、MMAEの血中濃度が増加する可能性がある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 末梢神経障害(
末梢性感覚ニューロパチー(
11.1.2 感染症(
細菌、真菌、ウイルス等による重篤な感染症(肺炎(
11.1.3 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.4 骨髄抑制(
好中球減少(
11.1.5 Infusion reaction(
アナフィラキシー(0.1%)、悪心(2.1%)、悪寒(
11.1.6 腫瘍崩壊症候群(0.4%)
異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[8.3参照]
11.1.7 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.2%)
11.1.8 急性膵炎(0.1%)
腹痛等の膵炎を示唆する症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.4参照]
11.1.9 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(
劇症肝炎、ALT、AST等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.5参照]
11.1.10 肺障害(1.1%)
呼吸不全(0.3%)、肺浸潤(0.3%)、肺臓炎(0.6%)、間質性肺疾患(0.1%)、急性呼吸窮迫症候群(0.1%)、器質化肺炎(頻度不明)等の肺障害があらわれることがある。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 5%以上10%未満 | 5%未満 | |
| 精神・神経系 | 頭痛、味覚異常 | 浮動性めまい、不眠症、嗜眠、記憶障害、知覚過敏 | |
| 消化器 | 悪心( |
|
上腹部痛、口腔咽頭痛、口腔内痛、口腔内潰瘍形成、腹部膨満、腹部不快感、胃食道逆流性疾患、鼓腸、咽頭炎、胃炎、吐血、舌潰瘍 |
| 呼吸器 | 呼吸困難 | 咳嗽、労作性呼吸困難、しゃっくり、湿性咳嗽、肺塞栓症、鼻出血、鼻閉、咽喉絞扼感 | |
| 血液/リンパ系 | リンパ節症、好酸球増加症 | ||
| 皮膚 | 脱毛症 | 斑状丘疹状皮疹、そう痒症、発疹、皮膚乾燥、寝汗、注入部位疼痛、紅斑性皮疹、爪変色、多汗症、斑状皮疹、紅斑、じん麻疹、皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、そう痒性皮疹 | |
| 眼 | 結膜炎、眼充血 | ||
| 代謝異常 | 食欲減退 | 脱水、高血糖、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、低リン酸血症 | |
| その他 | 疲労、発熱 | 体重減少、筋肉痛、関節痛、無力症 | 四肢痛、骨痛、悪寒、上気道感染、筋痙縮、疼痛、背部痛、ほてり、口腔カンジダ症、頻脈、筋骨格痛、倦怠感、口腔ヘルペス、尿路感染、非心臓性胸痛、静脈炎、末梢性浮腫、鼻炎、顎痛、気道感染、帯状疱疹、潮紅、低血圧、単純ヘルペス、腫瘍フレア、毛包炎、頸部痛、LDH増加、AL-P増加、粘膜の炎症 |
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効果の強さ
投稿日: 2015/03/10 参考率: 100%(2人/2人)
内科/60代/処方経験あり