1.1 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。
適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の電子添文を参照して十分注意すること。
また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法、レボホリナート・フルオロウラシル療法は本剤の細胞毒性を増強する療法であり、これらの療法に関連したと考えられる死亡例が認められている。これらの療法は高度の危険性を伴うので、投与中及び投与後の一定期間は患者を医師の監督下に置くこと。[8.1参照]
1.3 頭頸部癌及び食道癌に対して、本剤を含むがん化学療法と放射線照射を併用する場合に重篤な副作用や放射線合併症が発現する可能性があるため、放射線照射とがん化学療法の併用治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施すること。[8.3参照]
1.4 テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現するおそれがあるので、併用を行わないこと。[2.2、10.1参照]
2.1 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.2 テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者[1.4、10.1参照]
○下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
胃癌、肝癌、結腸・直腸癌、乳癌、膵癌、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌
ただし、下記の疾患については、他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用することが必要である。
食道癌、肺癌、頭頸部腫瘍
○以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
頭頸部癌、食道癌、治癒切除不能な進行・再発の胃癌
○レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
結腸・直腸癌、小腸癌、治癒切除不能な膵癌、治癒切除不能な進行・再発の胃癌
6.1 単独で使用する場合
1)フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5〜15mg/kgを最初の5日間連日1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。以後5〜7.5mg/kgを隔日に1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
2)フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5〜15mg/kgを隔日に1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
3)フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5mg/kgを10〜20日間連日1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
4)フルオロウラシルとして、通常、成人には1日10〜20mg/kgを週1回静脈内に注射又は点滴静注する。
また、必要に応じて動脈内に通常、成人には1日5mg/kgを適宜注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
6.2 他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用する場合
フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5〜10mg/kgを他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用し、6.1の方法に準じ、又は間歇的に週1〜2回用いる。
6.3 頭頸部癌、食道癌及び治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合
他の抗悪性腫瘍剤との併用療法において、通常、成人にはフルオロウラシルとして1日1000mg/m2(体表面積)までを、4〜5日間連日で持続点滴する。投与を繰り返す場合には少なくとも3週間以上の間隔をあけて投与する。本剤単独投与の場合には併用投与時に準じる。
なお、年齢、患者の状態などにより適宜減量する。
6.4 結腸・直腸癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
1)通常、成人にはレボホリナートとして1回100mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして600mg/m2(体表面積)を22時間かけて持続静注する。これを2日間連続して行い、2週間ごとに繰り返す。
2)通常、成人にはレボホリナートとして1回250mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして2600mg/m2(体表面積)を24時間持続静注する。1週間ごとに6回繰り返した後、2週間休薬する。これを1クールとする。
3)通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして2400〜3000mg/m2(体表面積)を46時間持続静注する。これを2週間ごとに繰り返す。
なお、年齢、患者の状態などにより適宜減量する。
6.5 小腸癌、治癒切除不能な膵癌及び治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして2400mg/m2(体表面積)を46時間持続静注する。これを2週間ごとに繰り返す。
なお、年齢、患者の状態などにより適宜減量する。
<効能共通>
8.1 骨髄機能抑制、激しい下痢等の重篤な副作用が起こることがあるので、定期的(特に投与初期は頻回)に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。
特に、本剤の効果を増強する薬剤を併用した療法(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法、レボホリナート・フルオロウラシル療法等)を実施する場合には、致命的な経過をたどることがあるので各薬剤の電子添文を熟読すること。[1.2、9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.3参照]
8.2 感染症・出血傾向の発現又は悪化に十分注意すること。
<頭頸部癌及び食道癌>
8.3 本剤を含むがん化学療法と放射線照射を併用する場合(特に同時併用する場合)に、重篤な副作用や放射線合併症が発現する可能性があるため、本剤の適切な減量を検討すること。放射線照射野内の皮膚炎・皮膚の線維化・口内炎、経口摂取量低下、血液毒性、唾液減少等が、放射線照射単独の場合と比較して高度となることが知られているので、血液毒性出現時の感染対策、長期の栄養管理、疼痛コントロール、放射線照射時の粘膜浮腫により気道狭窄が増悪した場合の管理等について十分な注意、対応を行うこと。[1.3参照]
<小腸癌及び治癒切除不能な進行・再発の胃癌>
8.4 レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法において、本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:フルオロウラシル(小腸癌)」もしくは「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:フルオロウラシル(治癒切除不能な進行・再発の胃癌)」等)を熟読すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 骨髄機能抑制のある患者
骨髄機能をより強く抑制するおそれがある。[8.1、11.1.3参照]
9.1.2 感染症を合併している患者
骨髄機能抑制により感染症が悪化するおそれがある。[8.1、11.1.3参照]
9.1.3 心疾患又はその既往歴のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.1.4 消化管潰瘍又は出血のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.1.5 水痘患者
致命的な全身障害があらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット、マウス)で多指症、口蓋裂等の催奇形作用が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。
9.7 小児等
副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、特に骨髄機能抑制、消化器障害(激しい下痢、口内炎等)、皮膚障害、精神神経系の副作用があらわれやすい。
14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 静脈内投与により、血管痛、静脈炎を起こすおそれがあるので注射部位、注射方法等に十分注意し、注射速度をできるだけ遅くすること。
14.1.2 静脈内投与に際し薬液が血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊死を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないように投与すること。
14.1.3 動脈内投与により、動脈支配領域に疼痛、発赤、紅斑、水疱、びらん、潰瘍等の皮膚障害があらわれ、皮膚・筋壊死にまで至ることがある。また、同領域にしびれ、麻痺等の神経障害があらわれることがある。これらの症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
14.1.4 肝動脈内投与において、標的とする部位以外の動脈への流入により胃・十二指腸潰瘍、出血、穿孔等を起こすことがあるので、造影等によりカテーテルの先端位置、薬剤の分布領域をよく確認し、カテーテルの逸脱・移動、注入速度等に随時注意すること。なお、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 フルオロウラシル系薬剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
15.1.2 フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損等の患者がごくまれに存在し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、神経障害等)が発現するとの報告がある。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)[1.4、2.2参照] | 早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後少なくとも7日以内は本剤を投与しないこと。 | ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェニトイン | 構音障害、運動失調、意識障害等のフェニトイン中毒があらわれることがある。 | 機序は不明であるが、フェニトインの血中濃度を上昇させる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ワルファリンカリウム | ワルファリンカリウムの作用を増強させることがあるので、凝固能の変動に注意すること。 | 機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤 | 重篤な骨髄抑制等の副作用が発現するおそれがある。 | 本剤との併用により、トリフルリジンのDNA取り込みが増加する可能性がある。チピラシル塩酸塩がチミジンホスホリラーゼを阻害することにより、本剤の代謝に影響を及ぼす可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 他の抗悪性腫瘍剤放射線照射 | 骨髄機能抑制、消化管障害等の副作用が増強することがある。 | 副作用が相互に増強される。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 激しい下痢(頻度不明)
脱水症状まで至ることがある。このような症状があらわれた場合には投与を中止し、補液等の適切な処置を行うこと。[8.1参照]
11.1.2 重篤な腸炎(頻度不明)
出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等があらわれることがある。激しい腹痛・下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.3 骨髄機能抑制(頻度不明)
汎血球減少、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少等があらわれることがある。[8.1、9.1.1、9.1.2参照]
11.1.4 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
発疹、呼吸困難、血圧低下等の症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.5 白質脳症等を含む精神神経障害(頻度不明)
白質脳症(初期症状:歩行時のふらつき、四肢末端のしびれ感、舌のもつれ等)、また、錐体外路症状、言語障害、運動失調、眼振、意識障害、痙攣、顔面麻痺、見当識障害、四肢末端のしびれ感、せん妄、記憶力低下、自発性低下、尿失禁等の精神神経症状があらわれることがある。
11.1.6 うっ血性心不全、心筋梗塞、安静狭心症、心室性頻拍(いずれも頻度不明)
11.1.7 重篤な腎障害(頻度不明)
急性腎障害、ネフローゼ症候群等があらわれることがある。
なお、腎障害の知られている抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、メトトレキサート等)との併用時には特に注意すること。
11.1.8 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.9 劇症肝炎、肝不全、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-P、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれ、肝不全まで至ることがある。劇症肝炎があらわれることがある。
11.1.10 肝硬変(頻度不明)
11.1.11 消化管潰瘍、重症な口内炎(いずれも頻度不明)
11.1.12 急性膵炎(頻度不明)
腹痛、血清アミラーゼ上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.13 意識障害を伴う高アンモニア血症(頻度不明)
11.1.14 肝動脈内投与における肝・胆道障害(頻度不明)
胆嚢炎、胆管壊死、肝実質障害等があらわれることがあるので、造影等により薬剤の分布領域をよく確認すること。
11.1.15 手足症候群(頻度不明)
手掌・足蹠の紅斑、疼痛性発赤腫脹、知覚過敏等があらわれることがある。
11.1.16 嗅覚障害(頻度不明)
嗅覚障害(長期投与症例に多い)があらわれ、嗅覚脱失まで至ることがある。
11.1.17 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
11.1.18 溶血性貧血(頻度不明)
注)発現頻度は1970年2月までの副作用頻度調査を含む。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
| 消化器a) | 食欲不振、下痢、悪心・嘔吐 | 味覚異常、口渇、腹部膨満感、腹痛、下血 | 便秘 | 口角炎、舌炎、胸やけ |
| 肝臓 | AST上昇、ALT上昇、ビリルビン上昇等の肝機能検査値異常 | |||
| 腎臓 | 蛋白尿 | BUN上昇、クレアチニン値上昇、クレアチニン・クリアランス低下 | ||
| 精神神経系 | 倦怠感 | めまい、末梢神経障害(しびれ、知覚異常等) | ||
| 皮膚b) | 色素沈着、脱毛、浮腫、びらん、水疱、そう痒感、紅潮 | 爪の異常、光線過敏症 | ||
| 過敏症 | 発疹 | |||
| 循環器 | 心電図異常(ST上昇、T逆転、不整脈等)、胸痛、胸内苦悶 | |||
| 眼 | 流涙、結膜炎 | |||
| 動脈内投与時 | カテーテル先端付近の動脈壁の変性、血栓形成 | |||
| その他 | 発熱、頭痛 | 糖尿、低カルシウム血症、耐糖能異常 |
a)潰瘍又は出血が疑われる場合には投与を中止すること。
b)動脈内投与により、注入側の皮膚にこれらの症状が強くあらわれることがある。
注)発現頻度は1970年2月までの副作用頻度調査を含む。
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